奥泉光(作家)の書評

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奥泉光 (作家)
1956年山形県生まれ。作家、近畿大学教授。著書に『滝』『ノヴァーリスの引用』(野間文芸新人賞)『「吾輩は猫である」殺人事件』『石の来歴』(芥川賞)『グランド・ミステリー』『浪漫的な行軍の記録』『新・地底旅行』『神器』(野間文芸賞)『シューマンの指』など。

ブロデックの報告書 [著]フィリップ・クローデル

ブロデックの報告書 [著]フィリップ・クローデル

■封印された事件の記録を頼まれた男    中央ヨーロッパの、どことも知れぬ僻遠(へきえん)の村に一人の男が現れる。名前も目的も分からぬまま「よそ者」とだけ呼ばれる男は、村人の集団によって殺害される。村に住むブロデックな………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2009年03月29日
[ジャンル]文芸

漱石の漢詩を読む [著]古井由吉 

漱石の漢詩を読む [著]古井由吉 

■小説とは別の形の言葉の宇宙を開示  夏目漱石の漢詩には、専門家からの高い評価が以前よりあるものの、広く読まれてこなかったせいもあり、小説家のちょっとした余技くらいのイメージが一般的なのではないかと思う。連続講義の記録………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2009年03月01日
[ジャンル]文芸

TAP [著]グレッグ・イーガン 

TAP [著]グレッグ・イーガン 

■「もの」化された人間の不気味さ光る  本格SF小説作家といわれて、アシモフやクラークの名前を思い出す人はなお多いのかもしれないが、いまならグレッグ・イーガンを真っ先にあげるべきだろう。20世紀の終わりから今世紀、英語………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2009年02月01日
[ジャンル]文芸

糸と痕跡 [著]カルロ・ギンズブルグ

糸と痕跡 [著]カルロ・ギンズブルグ

■歴史叙述を小説と対比して思考  20世紀半ばからこちら、歴史叙述は国家のイデオロギーに染め上げられ、ときに捏造(ねつぞう)さえ行われて、その結果、歴史は信用を失ってしまった。歴史とは、結局のところ、国家や民族にアイデ………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2009年01月25日
[ジャンル]歴史 文芸

対テロ戦争株式会社 [著]ソロモン・ヒューズ/戦争サービス業 [著]ロルフ・ユッセラー 

対テロ戦争株式会社 [著]ソロモン・ヒューズ/戦争サービス業 [著]ロルフ・ユッセラー 

■軍事の「民営化」の問題点をえぐる  イラクをはじめ、世界の紛争地域で現在起こっている出来事は、20世紀的な戦争のイメージでは捉(とら)えきれないものになっている。その最大の要因は、戦地での軍事行動の多くの部分が私企業………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2008年12月07日
[ジャンル]社会 国際

地図男 [著]真藤順丈 

地図男 [著]真藤順丈 

■地図の上に生まれる物語の迷宮  地図男——。彼は所有する国土地理院発行の「29cm×19cmの関東地域大判地図帖(ちょう)」に無数の物語を記しつつある。それは具体的な場所で生まれた物語であり、地図上の当の場所に細かな………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2008年11月02日
[ジャンル]文芸

老魔法使い―種村季弘遺稿翻訳集 [著]フリードリヒ・グラウザー

老魔法使い―種村季弘遺稿翻訳集 [著]フリードリヒ・グラウザー

■目利きが晩年に選んだ翻訳  『ダ・ヴィンチ・コード』のヒットが記憶に新しいが、西洋稗史(はいし)を素材にした物語は日本でも人気が高いわけで、この分野の我が国第一人者といったら、渋沢龍彦と並んで、04年に亡くなった種村………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2008年09月07日
[ジャンル]文芸

収容所文学論 [著]中島一夫 

収容所文学論 [著]中島一夫 

■資本制の過酷さを撃つ批評の言葉  いわゆるグローバリゼーションの進展とともに、資本制のシステムは露骨な支配力を発揮しはじめた。過労死の悲惨、あるいは派遣労働や名ばかり管理職の過酷さなどに端的に現れているように、労働力………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2008年08月24日
[ジャンル]経済 人文

決壊 [著]平野啓一郎 

決壊 [著]平野啓一郎 

■自在な語りで無差別殺人を思想劇に  「悪魔」と名乗る人物のメッセージの付されたバラバラ死体が発見される。殺されたのは家族持ちの平凡な勤め人。一見は無差別殺人が疑われるが、果たして真相は?  と書くと、ミステリーなんだ………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2008年08月10日
[ジャンル]文芸

玉ねぎの皮をむきながら [著]ギュンター・グラス

玉ねぎの皮をむきながら [著]ギュンター・グラス

■隠された場面もほじくり出すように  まだ作家になる以前、デュッセルドルフにいたグラスは仲間とジャズバンドを結成し、レストランで週に3回演奏していた。そこへある日、客の一人がトランペットを吹き鳴らしつつ乱入してきて、ス………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2008年06月15日
[ジャンル]文芸

ユダヤとイスラエルのあいだ―民族/国民のアポリア [著]早尾貴紀

ユダヤとイスラエルのあいだ―民族/国民のアポリア [著]早尾貴紀

建国と現在の矛盾に立ち向かいつつ  今年はイスラエル建国から60年にあたるそうだ。しかしめでたいと思う人があまりいないのは、パレスチナ領有をめぐる紛争がいまだ解決されぬどころか、一時は希望と見えたオスロ合意と、これに基………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2008年05月18日
[ジャンル]人文 国際

イヴァン・ツァンカル作品選 [著]イヴァン・ツァンカル

イヴァン・ツァンカル作品選 [著]イヴァン・ツァンカル

■強靱な意志力で求め続けた「正義」  イヴァン・ツァンカルは19世紀末から20世紀初頭に生きた、中欧の国スロヴェニアの作家である。本書には掌編と長編が一つずつ収録されたが、長編「使用人イェルネイと彼の正義」は日本語では………[もっと読む]

[評者]奥泉光(作家)
[掲載]2008年04月13日
[ジャンル]文芸

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