斎藤環(精神科医)の書評

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斎藤環 (精神科医)
1961年岩手県生まれ。精神科医。著書に『社会的ひきこもり―終わらない思春期』『戦闘美少女の精神分析』『家族の痕跡―いちばん最後に残るもの』『母は娘の人生を支配する―なぜ「母殺し」は難しいのか』『「文学」の精神分析』『キャラクター精神分析』など。

スピノザの方法 [著]國分功一郎

スピノザの方法 [著]國分功一郎

■哲学を可能にした「方法」を問う  神に酔える哲学者、スピノザ。汎神(はんしん)論やコナトゥスといったその“肯定性の哲学”は日本でも人気が高い。超訳ニーチェに続き超訳スピノザが売れたとしても私は驚かない。  ところで本………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年04月10日
[ジャンル]人文

話の終わり [著]リディア・デイヴィス

話の終わり [著]リディア・デイヴィス

■感情の記憶の堆積、恋情の地層  なんとも不思議な恋愛譚(たん)だ。恋の甘やかさよりは退屈さやしんどさに描写の比重が置かれ、恋人が去ってからの思いや後日談が物語の大半を占めている。  著者のリディア・デイヴィスは『ほと………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年03月20日
[ジャンル]文芸

アーカイヴの病―フロイトの印象 [著]ジャック・デリダ

アーカイヴの病―フロイトの印象 [著]ジャック・デリダ

■破壊と再生もたらした両義性  フロイトについて語るデリダ。おなじみの精神分析批判かと思いきや、なにやら様子が違う。語られているのは、(直接には)フロイトについてでも精神分析についてでもない。テーマは「アーカイヴ」だ。………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年02月27日
[ジャンル]人文

芸術闘争論 [著]村上隆

芸術闘争論 [著]村上隆

■マネジメントの文脈で語るアート  村上隆。ゼロ年代の日本のアートシーンを牽引(けんいん)し、国際的にも最大級の成功をおさめたアーティスト。彼は「スーパーフラット」なるコンセプトのもと、日本のオタク文化を世界に向けて啓………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年01月30日
[ジャンル]教育 経済 アート・ファッション・芸能

科学の科学 コレージュ・ド・フランス最終講義 [著]ピエール・ブルデュー著

科学の科学 コレージュ・ド・フランス最終講義 [著]ピエール・ブルデュー著

■科学の現場の「構造」、明らかに  1998年、新3種混合ワクチンの接種が自閉症の原因となるとする論文が発表され、大きな反響を呼んだ。ところが最近の調査で、この報告が執筆者である医師のでっちあげだったと判明した。なぜ科………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2011年01月09日
[ジャンル]教育 人文 科学・生物

飽きる力 [著]河本英夫 

飽きる力 [著]河本英夫 

■選択のための隙間を開く力  本書で説かれるのは「飽きる」ことの積極的意義だ。一見よくある引き算系の自己啓発書にみえて、実はそうではない。わが国におけるオートポイエーシス(細胞や神経系などの自己言及的な生成システム)理………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2010年12月05日
[ジャンル]人文 新書

切りとれ、あの祈る手を―〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話 [著]佐々木中

切りとれ、あの祈る手を―〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話 [著]佐々木中

■「すべてが情報」疑う 躍動する文体の挑発    著者のデビュー作『夜戦と永遠 フーコー・ラカン・ルジャンドル』(以文社)は、超重量級の思想書であるにも関(かか)わらず、まるで小説のように広く読まれた。かつて浅田彰の、………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2010年11月28日
[ジャンル]人文

身体の歴史3―20世紀 まなざしの変容 [監修]A・コルバン、J・J・クルティーヌ、G・ヴィガレロ

身体の歴史3―20世紀 まなざしの変容 [監修]A・コルバン、J・J・クルティーヌ、G・ヴィガレロ

■身体イメージの驚くべき支配力  身体はイメージである。それは時代と文化、あるいは政治によって深く規定され、変容をこうむる。質量ともに圧倒的な三部作全編を通じて、このモチーフが徹底的に検証される。まさに前人未到の達成で………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2010年11月21日
[ジャンル]人文 科学・生物

知はいかにして「再発明」されたか―アレクサンドリア図書館からインターネットまで [著]I・F・マクニーリーほか

知はいかにして「再発明」されたか―アレクサンドリア図書館からインターネットまで [著]I・F・マクニーリーほか

■〈消えゆく媒介者〉たちの変遷    知とは「情報」である。私たちはそう信じている。しかしそれは、現代における「信仰」のひとつなのかもしれない。  口承文化だった古代ギリシャ時代、知は人間そのものだった。ソクラテスは話………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2010年11月07日
[ジャンル]歴史 人文

こんなときどうする?―臨床のなかの問い [著]徳永進

こんなときどうする?―臨床のなかの問い [著]徳永進

■正解はない、困惑も率直に吐露    著者は長年終末期医療の現場に関(かか)わり、現在は「野の花診療所」で末期がん患者のホスピスケアにあたる内科医である。  「困った事例の対応マニュアル?」というタイトルからの連想はこ………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2010年10月17日
[ジャンル]医学・福祉 ノンフィクション・評伝

半分のぼった黄色い太陽 [著]チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

半分のぼった黄色い太陽 [著]チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

■幻の共和国舞台に他者の他者を想う  見つけた。何を? 「物語」の新大陸を。ナイジェリアに芽吹き、アメリカで育まれ、みごとな大輪の花を咲かせる希代の語り部。彼女はチママンダ(私の神は倒れない)という美しい名を持つ。  ………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2010年10月03日
[ジャンル]文芸 国際

〈死の欲動〉と現代思想 [著]トッド・デュフレーヌ

〈死の欲動〉と現代思想 [著]トッド・デュフレーヌ

■精神分析の二度目の“死”に照準  20世紀は「精神分析の世紀」だった。いまや精神分析は、効果の疑わしい過去の治療法として、共産主義よりは緩慢な死を迎えつつある。  精神分析は二度死ぬ。一度目は治療の技法として。二度目………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2010年09月19日
[ジャンル]人文

ドキュメント ひきこもり-「長期化」と「高年齢化」の実態 [著]池上正樹

ドキュメント ひきこもり-「長期化」と「高年齢化」の実態 [著]池上正樹

■高齢化する「ひきこもり」の現状  マスコミに「ひきこもり」という言葉が普及して約10年。著者はその最初期から、当事者や支援者などの現場で取材を続けてきたジャーナリストだ。さきごろ内閣府は、ひきこもり人口を推定70万人………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2010年09月12日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝 新書

Kitano par Kitano-北野武による「たけし」 [著]北野武、ミシェル・テマン

Kitano par Kitano-北野武による「たけし」 [著]北野武、ミシェル・テマン

■ 「末期の目」に似た孤独な自意識  複数の分野にエポックをもたらした人を天才と呼ぶなら、北野武はまぎれもない天才だ。「お笑い」と「映画」における彼の達成を否定できるものはいまい。しかしそれらは正当に評価されてきただろ………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2010年09月05日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

獣の樹 舞城王太郎著 目が離せない、成雄サーガ

獣の樹 舞城王太郎著 目が離せない、成雄サーガ

 本作の主人公は超人的な俊足少年・成雄だ。そう、同じ作家による『SPEEDBOY!』や『山ん中の獅見朋成雄(しみともなるお)』に連なる物語である。成雄は雌馬の腹から産み落とされ、背中に鬣(たてがみ)を持つ謎の少年だ。 ………[もっと読む]

[評者]斎藤環(精神科医)
[掲載]2010年08月08日
[ジャンル]文芸 科学・生物

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