斎藤美奈子(文芸評論家)の書評

写真:斎藤美奈子さん

斎藤美奈子 (文芸評論家)
1956年新潟県生まれ。文芸評論家。編集者を経て94年『妊娠小説』でデビュー。他に『紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』『モダンガール論』『文章読本さん江』(小林秀雄賞)『麗しき男性誌』『物は言いよう』『それってどうなの主義』など。

ヒーロー! [著]白岩玄

ヒーロー! [著]白岩玄

■目を奪われる、いじめ撲滅作戦  デビュー作『野ブタ。をプロデュース』で読者をあっといわせた白岩玄。それから12年がたち作者も大人になったかな、と思ったらそうでもなかった(あ、これ褒め言葉です)。  『野ブタ。』はいじ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年05月22日
[ジャンル]文芸

村に火をつけ、白痴になれ―伊藤野枝伝 [著]栗原康

村に火をつけ、白痴になれ―伊藤野枝伝 [著]栗原康

■体当たりで描く「汚名上等」  漫画か劇画みたいな評伝である。なんたって、表題が『村に火をつけ、白痴になれ』ですからね。  評伝の人物は、あの伊藤野枝(1895~1923)。平塚らいてうの後を継ぐ『青鞜』の二代目編集長………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年05月08日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

イサの氾濫 [著]木村友祐

イサの氾濫 [著]木村友祐

■東北人の重い口から叫びが届く  この小説(の原型)が文芸誌に載った2011年11月から、本になるのを私は待っていたのだよ。そうだよ。もう4年以上も。  そりゃあ、震災や原発事故を取材した作品はその後たくさん書かれたし………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年04月03日
[ジャンル]文芸 社会

唱歌と国語―明治近代化の装置 [著]山東功/「国語」入試の近現代史―入試の近現代史 [著]石川巧

唱歌と国語―明治近代化の装置 [著]山東功/「国語」入試の近現代史―入試の近現代史 [著]石川巧

■こんな歌で学んだ国語もあった  明治の国語教育は、現在の基準に照らすときわめて頓狂、「おもしろすぎるぞ」という場合が少なくない。それを私は「書く教育」すなわち作文教育の歴史を調べる過程で知ったのだったが、「読む教育」………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2008年03月23日
[ジャンル]人文

乳と卵 [著]川上未映子 

乳と卵 [著]川上未映子 

■ラストに胸キュン、泣き笑いの世界  『乳と卵』。お菓子の材料みたいなタイトルだが、乳は乳房で卵は「らん」と読むのだ、と聞いたら印象はがらりと変わるだろう。池澤夏樹氏からは〈最適な量の大阪弁を交えた饒舌(じょうぜつ)な………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2008年03月02日
[ジャンル]文芸

ひげがあろうがなかろうが [作]今江祥智、[絵]田島征三

ひげがあろうがなかろうが [作]今江祥智、[絵]田島征三

■謎めいた設定に反権力の静かな意志  〈あそこは、この世のいきどまりよ〉。お父(とう)がそう呼ぶ切り立った山のこちら側、崖(がけ)のふもとの大竹林のそばで、たけはお父と暮らしていた。家の裏には小屋があり、「裏住みの男」………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2008年02月10日
[ジャンル]文芸

カツラ美容室別室 [著]山崎ナオコーラ 

カツラ美容室別室 [著]山崎ナオコーラ 

■わかりにくくたって、友情は友情  作家のデビュー作はおうおうにして書き手と重なる同性で同世代の人物が主人公の場合が多いけど、山崎ナオコーラは最初からちがった。文芸賞を受賞したデビュー作『人のセックスを笑うな』は19歳………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2008年02月03日
[ジャンル]文芸

みなさん、さようなら [著]久保寺健彦 

みなさん、さようなら [著]久保寺健彦 

■異化された「箱庭の中のヒーロー」  高度成長期には憧(あこが)れの的であったのに、いまでは過疎化と高齢化が進む団地。『みなさん、さようなら』は陰りが見えはじめた80—90年代の団地が主役の物語だ。  物心ついたときか………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2008年01月06日
[ジャンル]文芸

日本橋バビロン [著]小林信彦 

日本橋バビロン [著]小林信彦 

■下町の変転を映す和菓子屋の三代記  レトロだとかなんとかって東京の下町は、雑誌なんかにも特集記事が載る、いまや憧(あこが)れの対象だ。だけど私たちはほんとの下町を知らない。下町と聞いて日本橋をイメージする人も多くはな………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年11月11日
[ジャンル]文芸

犬身 [著]松浦理英子 

犬身 [著]松浦理英子 

■大の犬好きが犬になってみたら…  寡作で知られる松浦理英子の待望の新作である。『裏ヴァージョン』から7年、『親指Pの修業時代』から数えれば14年。もー長かったよ。だけど待っててよかったよ。  こんなとき、犬だったらど………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年11月04日
[ジャンル]文芸

暴走老人! [著]藤原智美

暴走老人! [著]藤原智美

■丸くならない「新老人」を生んだのは  巷(ちまた)ですでに話題沸騰寸前の本である。『暴走老人!』。作家の藤原智美さんによる、「新タイプの老人」考だ。  人は歳(とし)とともに成熟し、分別を身につけて丸くなる——そんな………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年10月14日
[ジャンル]文芸 社会

生のあやうさ―哀悼と暴力の政治学 [著]J・バトラー

生のあやうさ―哀悼と暴力の政治学 [著]J・バトラー

■「9・11以後」の国家の暴力を問う  「9・11以後」はいまや世界を、政治を語るときの欠かせないキー概念になってしまった感がある。現代思想も例外ではなく、というか思想界にこそ、それは衝撃を与えたのかもしれない。日本語………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年10月07日
[ジャンル]政治 人文

ハル、ハル、ハル 古川日出男著 マジやばいっすよ、この小説は

ハル、ハル、ハル 古川日出男著 マジやばいっすよ、この小説は

 きみはもう読んだ? 『ハル、ハル、ハル』。マジやばいっすよ、この小説は。読むとテンションの高さがうつるからね。あと口調も。本を読みながら息がハアハア上がるって、あんまりない体験だと思うんだけど、この小説は呼吸と脈拍に………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年09月16日
[ジャンル]文芸

未来への経済論 映画で読み解く私たちの行方 小村智宏著

未来への経済論 映画で読み解く私たちの行方 小村智宏著

 「エデンの東」にみる分業の本質とは  経済のしくみって、みんな絶対知っておいたほうがいいと思うのね。でも、中高生にもわかる良質な入門書ってなかなかない。吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波文庫)や伊東光晴『君たち………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年09月09日
[ジャンル]経済 アート・ファッション・芸能

とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起 伊藤比呂美著 女友達から届く手紙のような長篇詩

とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起 伊藤比呂美著 女友達から届く手紙のような長篇詩

 伊藤比呂美の本には、詩でもエッセーでも小説でも対談でも、遠く離れた場所にいる女友達から来た、直近の消息と心境を知らせる手紙みたいな効用がある。細かい事情はわからなくても、本を通して彼女の近況を気にしてきた読者は日本中………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年08月05日
[ジャンル]文芸

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