斎藤美奈子(文芸評論家)の書評

写真:斎藤美奈子さん

斎藤美奈子 (文芸評論家)
1956年新潟県生まれ。文芸評論家。編集者を経て94年『妊娠小説』でデビュー。他に『紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』『モダンガール論』『文章読本さん江』(小林秀雄賞)『麗しき男性誌』『物は言いよう』『それってどうなの主義』など。

コンビニ人間 [著]村田沙耶香

コンビニ人間 [著]村田沙耶香

■常識のあやしさ、「水槽」越しに  24時間営業。年中無休。コンビニエンスストアは現代日本に欠かせないインフラだ。でもね、本書の語り手・古倉恵子のコンビニ依存度は並みではない。なぜって彼女は、コンビニという環境の中でし………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年08月07日
[ジャンル]文芸

1974年のサマークリスマス―林美雄とパックインミュージックの時代 [著]柳澤健

1974年のサマークリスマス―林美雄とパックインミュージックの時代 [著]柳澤健

 1970年代、一部の若者たちに熱狂的に支持されたラジオの深夜放送番組があった。TBSのアナウンサー・林美雄がパーソナリティーを務めた「パックインミュージック」である。  当時はまったく無名だった荒井(松任谷)由実や石川………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年07月31日
[ジャンル]文芸

伯爵夫人 [著]蓮實重彦

伯爵夫人 [著]蓮實重彦

■官能の奥に戦争へのまなざし  東大元総長という肩書。三島賞の受賞会見での不機嫌な振る舞い。そんな外形的な情報に惑わされてはなりませぬ。  本書は往年の文学ファンを裏切らない華麗にして淫靡(いんび)な作品ですから。ただ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年07月24日
[ジャンル]文芸

原発プロパガンダ [著]本間龍

原発プロパガンダ [著]本間龍

■巨額の広告費、メディアも陥落  原発に反対する人は国と電力会社を批判する。権力におもねって、正確な報道をしないメディアも批判する。では両者の間をつないでいるのは誰? 広告代理店である。特に上位2社の電通と博報堂は原発………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年07月10日
[ジャンル]社会

日本料理とは何か―和食文化の源流と展開 [著]奥村彪生

日本料理とは何か―和食文化の源流と展開 [著]奥村彪生

■縄文以来の「生食」ごちそう説  見るからに大著の風格。だけど、奥村彪生『日本料理とは何か』の本当の価値は大胆な仮説をさりげなく提示しちゃっている点だ。  和食の源流は縄文文化にあり。ここまではいいとして、著者はなお続………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]人文 社会

時代の正体 vol.2―語ることをあきらめない [著]神奈川新聞「時代の正体」取材班

時代の正体 vol.2―語ることをあきらめない [著]神奈川新聞「時代の正体」取材班

 中立公正ぶっちゃって、近頃の新聞は歯がゆい。そんな不満を抱える読者に神奈川新聞の一撃は新鮮だった。「ええ、偏っていますが、何か」。同紙「時代の正体」シリーズに寄せられた偏向報道だという批判に答えての一文だった。  本書………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年06月12日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

天草エアラインの奇跡。 [著]鳥海高太朗

天草エアラインの奇跡。 [著]鳥海高太朗

 おお、これか! 大小のイルカがデザインされた機体を目にしたときには私も興奮した。熊本県の天草空港を拠点にした第三セクターの天草エアライン。2000年、第1便が天草空港を離陸した直後は搭乗率9割超の人気路線だった。  だ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年05月29日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ヒーロー! [著]白岩玄

ヒーロー! [著]白岩玄

■目を奪われる、いじめ撲滅作戦  デビュー作『野ブタ。をプロデュース』で読者をあっといわせた白岩玄。それから12年がたち作者も大人になったかな、と思ったらそうでもなかった(あ、これ褒め言葉です)。  『野ブタ。』はいじ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年05月22日
[ジャンル]文芸

村に火をつけ、白痴になれ―伊藤野枝伝 [著]栗原康

村に火をつけ、白痴になれ―伊藤野枝伝 [著]栗原康

■体当たりで描く「汚名上等」  漫画か劇画みたいな評伝である。なんたって、表題が『村に火をつけ、白痴になれ』ですからね。  評伝の人物は、あの伊藤野枝(1895~1923)。平塚らいてうの後を継ぐ『青鞜』の二代目編集長………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年05月08日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

イサの氾濫 [著]木村友祐

イサの氾濫 [著]木村友祐

■東北人の重い口から叫びが届く  この小説(の原型)が文芸誌に載った2011年11月から、本になるのを私は待っていたのだよ。そうだよ。もう4年以上も。  そりゃあ、震災や原発事故を取材した作品はその後たくさん書かれたし………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2016年04月03日
[ジャンル]文芸 社会

唱歌と国語―明治近代化の装置 [著]山東功/「国語」入試の近現代史―入試の近現代史 [著]石川巧

唱歌と国語―明治近代化の装置 [著]山東功/「国語」入試の近現代史―入試の近現代史 [著]石川巧

■こんな歌で学んだ国語もあった  明治の国語教育は、現在の基準に照らすときわめて頓狂、「おもしろすぎるぞ」という場合が少なくない。それを私は「書く教育」すなわち作文教育の歴史を調べる過程で知ったのだったが、「読む教育」………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2008年03月23日
[ジャンル]人文

乳と卵 [著]川上未映子 

乳と卵 [著]川上未映子 

■ラストに胸キュン、泣き笑いの世界  『乳と卵』。お菓子の材料みたいなタイトルだが、乳は乳房で卵は「らん」と読むのだ、と聞いたら印象はがらりと変わるだろう。池澤夏樹氏からは〈最適な量の大阪弁を交えた饒舌(じょうぜつ)な………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2008年03月02日
[ジャンル]文芸

ひげがあろうがなかろうが [作]今江祥智、[絵]田島征三

ひげがあろうがなかろうが [作]今江祥智、[絵]田島征三

■謎めいた設定に反権力の静かな意志  〈あそこは、この世のいきどまりよ〉。お父(とう)がそう呼ぶ切り立った山のこちら側、崖(がけ)のふもとの大竹林のそばで、たけはお父と暮らしていた。家の裏には小屋があり、「裏住みの男」………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2008年02月10日
[ジャンル]文芸

カツラ美容室別室 [著]山崎ナオコーラ 

カツラ美容室別室 [著]山崎ナオコーラ 

■わかりにくくたって、友情は友情  作家のデビュー作はおうおうにして書き手と重なる同性で同世代の人物が主人公の場合が多いけど、山崎ナオコーラは最初からちがった。文芸賞を受賞したデビュー作『人のセックスを笑うな』は19歳………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2008年02月03日
[ジャンル]文芸

みなさん、さようなら [著]久保寺健彦 

みなさん、さようなら [著]久保寺健彦 

■異化された「箱庭の中のヒーロー」  高度成長期には憧(あこが)れの的であったのに、いまでは過疎化と高齢化が進む団地。『みなさん、さようなら』は陰りが見えはじめた80—90年代の団地が主役の物語だ。  物心ついたときか………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2008年01月06日
[ジャンル]文芸

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