松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)の書評

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松永美穂 (早稲田大学教授・ドイツ文学)
1958年愛知県生まれ。著書に『ドイツ北方紀行』『誤解でございます』、訳書にベルンハルト・シュリンク『朗読者』(毎日出版文化賞特別賞)、ジークフリート・レンツ『遺失物管理所』、マーレーネ・シュトレールヴィッツ『ワイキキ・ビーチ』など。

走れ!助産師ボクサー [著]富樫直美

走れ!助産師ボクサー [著]富樫直美

■仕事の傍ら世界に挑戦!  今年のロンドン・オリンピックから正式種目として採用される女子のボクシング。日本には、WBCやWBAなどに公認されている世界チャンピオンが何人もいるらしいが、本書の著者もその一人。しかも、現役………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2012年01月22日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

部屋 [著]エマ・ドナヒュー 

部屋 [著]エマ・ドナヒュー 

■監禁された母子の日々、やがて  どうなるのだろう。もし、見知らぬ男に何年も監禁されたとしたら。男に妊娠させられ、監禁されている部屋で出産するとしたら。誰にも相談できないまま、その赤ん坊を育てるとしたら。男は部屋に鍵を………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2012年01月08日
[ジャンル]文芸

歳月なんてものは [著]久世光彦

歳月なんてものは [著]久世光彦

■名優たちとの思い出、心の風景  名プロデューサー・演出家・作家として活躍した著者の、新聞や雑誌に掲載されたエッセーがまとめられた一冊。前半には、仕事で出会った名優たちとの思い出が綴(つづ)られている。冒頭のエッセーの………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2011年12月18日
[ジャンル]文芸

あつあつを召し上がれ [著]小川糸

あつあつを召し上がれ [著]小川糸

■人生の曲がり角に、食の情景  孤食や欠食が話題になる世の中だ。誰とも言葉を交わさず、目はテレビ画面に向けたまま、そそくさとコンビニ弁当で腹を満たす風景は珍しくない。でもどんな人にも、おいしかった食べものの記憶はあるは………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2011年12月04日
[ジャンル]人文

笑い三年、泣き三月。 [著]木内昇

笑い三年、泣き三月。 [著]木内昇

■戦後の焼け跡、寄り添い合う人々  家族になれるのかな。それともやっぱり無理なのかな。そんなことを考えながら、ハラハラして読んだ。敗戦の翌年、上野駅の風景。上京したての旅芸人が、駅頭で出会った少年に案内され、徒歩で浅草………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2011年11月13日
[ジャンル]文芸

職業は武装解除 [著]瀬谷ルミ子

職業は武装解除 [著]瀬谷ルミ子

■日本人だからこそできる貢献  紛争解決学、あるいは平和構築学という言葉をしばらく前から耳にするようになった。紛争地域に平和な日常を再構築するための理論や実践が、いま注目を集めている。国連がPKOを派遣したり、諸団体が………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2011年11月06日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝 国際

ベルリン 地下都市の歴史 [著]D&I・アルノルト+F・ザルム

ベルリン 地下都市の歴史 [著]D&I・アルノルト+F・ザルム

■出口なきトンネル、迷走の過去ゆえに  東京スカイツリーの工事の進捗(しんちょく)状況が話題になっているが、目につきやすい高層化の一方で、大都市が地下に向けても発展を続けているのは周知の事実だろう。限られた土地を有効利………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2011年10月23日
[ジャンル]歴史 社会

平成猿蟹合戦図 [著]吉田修一

平成猿蟹合戦図 [著]吉田修一

■胸のすくような現代版仇討ち話  昔話の「猿蟹(かに)合戦」は、猿に欺(だま)され、殺されてしまう蟹の敵を、子蟹たちが討つというものだ。悪い者には、いつかその報いが訪れる。以前、『悪人』で「悪」の意味を問い直した吉田修………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2011年10月09日
[ジャンル]文芸

〈私〉だけの神―平和と暴力のはざまにある宗教 [著]ウルリッヒ・ベック

〈私〉だけの神―平和と暴力のはざまにある宗教 [著]ウルリッヒ・ベック

■異なる信仰、いかに共存するか  世界を震撼(しんかん)させた同時多発テロから十年。世界は一向に平和になったように見えない。つい最近も、右翼思想の青年がノルウェーでテロ事件を起こしたばかりだ。グローバル化の進む社会のな………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2011年09月25日
[ジャンル]人文 社会

五十鈴川の鴨 [著]竹西寛子

五十鈴川の鴨 [著]竹西寛子

■気品の筆、一幅の日本画のように  著者の久しぶりの短編集。静かな風景が心に迫る。たとえば、伊勢の内宮に参拝して、夕刻、茶店の硝子(がらす)窓越しに目にした五十鈴川の流れ。親子らしき五羽の鴨(かも)が眼下を泳いでいく。………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2011年09月18日
[ジャンル]文芸

コンニャク屋漂流記 [著]星野博美

コンニャク屋漂流記 [著]星野博美

■屋号の由来は? ルーツを探る  ルーツ探しが新たなブームを迎えているようだ。テレビではNHKの「ファミリーヒストリー」が芸能人の知られざるルーツを紹介しているし、今年の春にはやはりノンフィクション作家が自らのルーツを………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2011年08月28日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

現代文明論講義―ニヒリズムをめぐる京大生との対話 [著]佐伯啓思

現代文明論講義―ニヒリズムをめぐる京大生との対話 [著]佐伯啓思

■整理巧みに白熱の臨場感  副題が示すとおり、大学での講義が一冊にまとめられている。昨年評判になった「ハーバード白熱教室」にヒントを得た、対話形式での授業。学生の意見に教師が入れる突っ込みも面白く、交通整理も巧み。自分………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2011年08月07日
[ジャンル]教育 人文 新書

菜食主義者 [著]ハン・ガン

菜食主義者 [著]ハン・ガン

■肉を食べず、手の届かない世界へ  何の予備知識もなく読み始め、一気に心を持っていかれてしまった。短編集だが、登場人物が共通しているので一つの長編としても読める。この出版社から出る「新しい韓国の文学」シリーズ第一弾だ。………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2011年07月24日
[ジャンル]文芸

逆事 [著]河野多恵子

逆事 [著]河野多恵子

■重層的な構成、書き過ぎない円熟  名前をつけた途端に、動き出すものがある。この「逆事(さかごと)」もそうだ。物事のあるべき順序や秩序から逸脱した事柄を指すらしいが、読んでいるうちに、自分の周りにある「逆事」の数々に目………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2011年07月17日
[ジャンル]文芸

しあわせ節電 [著]鈴木孝夫

しあわせ節電 [著]鈴木孝夫

■嫌々ではなく一種の趣味として  世を挙げて「節電」の大合唱だが、そんななか、言語学者の出した節電の本である。タイトルも可愛らしくて、「おや」と思って手に取った。  「戦前の暮らしを劇的に変化させないで今までやってきま………[もっと読む]

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)
[掲載]2011年07月10日
[ジャンル]経済 社会

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