柄谷行人(哲学者)の書評

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柄谷行人 (哲学者)
からたに・こうじん。1941年兵庫県生まれ。著書に『漱石詩論』(群像新人文学賞)『マルクスその可能性の中心』(亀井勝一郎賞)『坂口安吾と中上健次』(伊藤整文学賞)『日本近代文学の起源』『隠喩としての建築』『トランスクリティーク』『ネーションと美学』『歴史と反復』『世界史の構造』など。

民主主義のあとに生き残るものは [著]アルンダティ・ロイ

民主主義のあとに生き残るものは [著]アルンダティ・ロイ

■インドにおける恐るべき抑圧  本書は、インドにおける政府、大企業、財団、ヒンドゥー原理主義者による恐るべき抑圧を伝えるものである。たとえば、カシミール地方では大量のイスラム教徒が、また、中部山地では、強制的な開発に抵………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2012年10月28日
[ジャンル]国際

狼の群れと暮らした男 [著]ショーン・エリス+ペニー・ジューノ

狼の群れと暮らした男 [著]ショーン・エリス+ペニー・ジューノ

■「カミ」になりたいという欲望?  一般に狼(オオカミ)は、凶暴で狡猾(こうかつ)な動物だと見なされている。しかし、太古から人間と狼は、狩猟仲間として仲良くやってきたのだと、著者はいう。狼を恐れるイギリスの田舎に育った………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2012年10月14日
[ジャンル]科学・生物 ノンフィクション・評伝

フロイト講義〈死の欲動〉を読む [著]小林敏明

フロイト講義〈死の欲動〉を読む [著]小林敏明

■分子生物学の研究成果で裏付け  フロイトは63歳になって『快感原則の彼岸』(1920年)という論文を発表し、その中で「死の欲動」という概念を提起した。それまでの精神分析では生の(性的)欲動が主であったから、画期的な変………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2012年07月29日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

未完のファシズム 「持たざる国」日本の運命 [著]片山杜秀

未完のファシズム 「持たざる国」日本の運命 [著]片山杜秀

■経済力に劣る日本、玉砕戦法だけ残った  現在の日本には、つぎのような見方が行き渡っている。それは、日露戦争までの日本人は、合理的・現実的・普遍志向的であったのに、以後、日本人は非合理的・非現実的・反普遍的となってしま………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2012年07月08日
[ジャンル]歴史

ミシェル・フーコー講義集成13 真理の勇気 自己と他者の統治2 [著]ミシェル・フーコー

ミシェル・フーコー講義集成13 真理の勇気 自己と他者の統治2 [著]ミシェル・フーコー

■「真の生」開く哲学、ソクラテスに探る  本書はフーコー最晩年(1984年)の講義録であり、その主題は「パレーシア」である。それはギリシャ語で「真理を語る」という意味だ。真理を語るといっても、いろんなケースがある。真理………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2012年06月03日
[ジャンル]人文 社会

「自己啓発病」社会 [著]宮崎学

「自己啓発病」社会 [著]宮崎学

■切り離せぬ「自助」と「相互扶助」  1990年代以後「自己啓発」のための本がブームとなってきた。このような本は昔からあったように思えるが、著者によると、80年代に流行したのは「自己開発」のための本である。どちらも自己………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2012年04月08日
[ジャンル]社会

日米衝突の根源 1858―1908 [著]渡辺惣樹

日米衝突の根源 1858―1908 [著]渡辺惣樹

■19世紀後半に発する太平洋戦争の原因  一般に「日米衝突」は1930年代ぐらいから生じたと考えられている。それ以前の日米関係というと、米国の「黒船」が幕末の日本に現れて開国を迫ったことや徳川幕府が咸臨丸で使節を派遣し………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2011年12月11日
[ジャンル]歴史

イスラームから見た「世界史」 [著]タミム・アンサーリー

イスラームから見た「世界史」 [著]タミム・アンサーリー

■欧州・日本、中心史観を相対化  日本人がもつ「世界史」の観念は、基本的にヨーロッパ中心である。むろん、日本人はそれだけでなく、東アジアから世界史を見る視点ももっている。しかし、その間にある西アジアに関しては、無知も同………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2011年10月09日
[ジャンル]歴史

近代日本の中国認識―徳川期儒学から東亜協同体論まで [著]松本三之介

近代日本の中国認識―徳川期儒学から東亜協同体論まで [著]松本三之介

■日清戦争が分岐点、的確に通観  本書は、徳川時代から日中戦争にいたるまでの日本人の中国認識を的確に通観した好著である。日本人の中国への評価が極端に変わるのは、日清戦争後である。それまで抱いていた敬意、あるいは両義的な………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2011年09月18日
[ジャンル]人文

本音で語る沖縄史 [著]仲村清司

本音で語る沖縄史 [著]仲村清司

■複眼的視点、世界史の中で通観  昨年まで普天間基地の移転をめぐる騒動があったことは、震災後に忘れられている。しかし、近い将来、沖縄の問題がもっと深刻な争点になることはまちがいない。これは、その危険が明らかなのに、事故………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2011年08月28日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

いま、憲法は「時代遅れ」か―〈主権〉と〈人権〉のための弁明(アポロギア) [著]樋口陽一

いま、憲法は「時代遅れ」か―〈主権〉と〈人権〉のための弁明(アポロギア) [著]樋口陽一

■「国家権力縛る」基本は今日的  本書はつぎのエピソードから始まっている。伊藤博文は明治の憲法制定に関する会議で、「そもそも憲法を設くる趣旨は、第一、君権を制限し、第二、臣民の権利を保全することにある」と発言した。この………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2011年07月10日
[ジャンル]政治 社会

ジェイコブズ対モーゼス―ニューヨーク都市計画をめぐる闘い [著]アンソニー・フリント

ジェイコブズ対モーゼス―ニューヨーク都市計画をめぐる闘い [著]アンソニー・フリント

■住民運動が阻んだ巨大プロジェクト  本書は、一口でいうと、1950年代から60年代にかけて、モーゼスという人物が強引に推進したニューヨークの再開発を、ジェイコブズという主婦が阻止した事件をあつかっている。モーゼスが推………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2011年05月15日
[ジャンル]人文

世界史のなかの中国―文革・琉球・チベット [著]汪暉

世界史のなかの中国―文革・琉球・チベット [著]汪暉

■「普遍」と「特殊」、二つの観点交差  著者は私が最も信頼する現代中国の思想家である。魯迅研究者として出発した著者は、天安門事件で弾圧された後、より広い領域に踏み入った。しかし、ある意味で、彼はより魯迅的な道を歩んでい………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2011年03月06日
[ジャンル]歴史 人文 国際

災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか  [著]レベッカ・ソルニット

災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか  [著]レベッカ・ソルニット

■相互扶助の出現、無法状態でなく  大災害が起きると、秩序の不在によって暴動、略奪、レイプなどが生じるという見方が一般にある。しかし、実際には、災害のあと、被害者の間にすぐに相互扶助的な共同体が形成される。著者はその例………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2011年02月06日
[ジャンル]社会

黄金の夢の歌 [著]津島佑子

黄金の夢の歌 [著]津島佑子

■胸の底に流れる、定住以前の記憶  私はこの作品に、久しく小説に対して抱いたことのない興味を覚えた。一見すると、これは、キルギスや内モンゴルへの観光旅行記である。とりたてて事件はないし、物語性もない。淡々たる記述の流れ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2011年01月09日
[ジャンル]文芸 国際

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