保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

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保阪正康 (ノンフィクション作家)
ほさか・まさやす。1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

戦場の性―独ソ戦下のドイツ兵と女性たち [著]レギーナ・ミュールホイザー

戦場の性―独ソ戦下のドイツ兵と女性たち [著]レギーナ・ミュールホイザー

■戦時の性暴力を赤裸々に調査  著者は1971年生まれの歴史学や近代ドイツ文学の女性研究者、第2次世界大戦は史料でしか知らない。  それゆえにということだろうが、41年6月の独ソ開戦とともにドイツ軍が制圧した旧ソ連の国………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年02月28日
[ジャンル]歴史

「思想の科学」私史 まなざし [著]鶴見俊輔

「思想の科学」私史 まなざし [著]鶴見俊輔

■日本語の思想性、次代に問い続け  60年安保時、岸内閣の強行採決に「国家公務員でいるのが恥ずかしい」と鶴見俊輔は東京工業大学を辞職した。61年9月、京都の同志社大学教授に転じた。  その最初の授業で、私は前方の席に座………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年02月07日
[ジャンル]人文

洛陽堂 河本亀之助小伝―損をしてでも良書を出す・ある出版人の生涯 [著]田中英夫

洛陽堂 河本亀之助小伝―損をしてでも良書を出す・ある出版人の生涯 [著]田中英夫

■裏方に徹し才能ある人物を世に    明治42年に出版社洛陽堂を興した河本亀之助の人物像とその業績を克明に辿(たど)った書。  河本は故郷・広島県で小学校の助教を務め、キリスト教への関心を深めたあと数え25歳で上京、印………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年01月31日
[ジャンル]政治 人文 社会

愛国的無関心―「見えない他者」と物語の暴力 [著]内藤千珠子

愛国的無関心―「見えない他者」と物語の暴力 [著]内藤千珠子

■「伏字的死角」に宿る歴史分析  本書には二つのキーワードがある。一つは「愛国的無関心」。「現在の愛国的空気が、近代日本の帝国主義に基づく無関心に起因」と定義づけられる。二つは「伏字(ふせじ)的死角」。近代日本では○や………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2016年01月17日
[ジャンル]政治 社会

中国と日本―批判の刃を己に [著]張承志

中国と日本―批判の刃を己に [著]張承志

■熱狂的な民族主義は「毒薬」  中国語圏で広く読まれている日本人論。著者は北京に住む著名な作家で、かつては日本に滞在し、研究生活も体験している。  日本への関心の深さとその分析が、正鵠(せいこく)を射ていて、日本人も自………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年12月20日
[ジャンル]社会

動くものはすべて殺せ アメリカ兵はベトナムで何をしたか [著]ニック・タース

動くものはすべて殺せ アメリカ兵はベトナムで何をしたか [著]ニック・タース

■病んでいた時代の実像を暴く  ベトナム戦争での米軍の作戦は「索敵殲滅(さくてきせんめつ)作戦」と称された。米兵の任務は「革命軍兵士を見つけ出して殺害する」であった。が、実際は本書のタイトルのような作戦が日々、ベトナム………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年12月13日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

北京・山本照像館―西太后写真と日本人写真師 [著]日向康三郎

北京・山本照像館―西太后写真と日本人写真師 [著]日向康三郎

■中国でも活躍した男の写真人生  近代日本の草創期、一人の写真師がいかに生きたかの書である。安政2年に現在の岡山県に生まれた山本讃七郎が、13歳で写真技術(湿板写真)を知る。16歳で上京、その技術を学んだあとに28歳で………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年11月29日
[ジャンル]歴史

明治大正史(上・下) [著]中村隆英 [編]原朗・阿部武司

明治大正史(上・下) [著]中村隆英 [編]原朗・阿部武司

■時代を作った人々から見た近代  明治から大正の終わりまでは60年ほどになるが、本書は幕末から説き起こして、この60年を口語体で平易に解説している。2013年に死去した著者の口述記録を門弟が整理して著した書だが、著者の………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年11月22日
[ジャンル]歴史

戦後政治の証言者たち [著]原彬久 日本外交への直言 [著]河野洋平

戦後政治の証言者たち [著]原彬久 日本外交への直言 [著]河野洋平

■人間味浮かぶ、当事者の語り  政治学者・原彬久は政治指導者からのオーラル・ヒストリー(口述史)を歴史・政治研究に持ちこんだ先駆者である。当事者の語る「新しい事実」によって既知の風景とは異なる重層的な史実が明らかになる………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年11月08日
[ジャンル]政治 国際

戦争小説家 古山高麗雄伝 [著]玉居子精宏

戦争小説家 古山高麗雄伝 [著]玉居子精宏

■兵士体験通じて自らの魂と対話  古山高麗雄(ふるやまこまお)は、2002年1月26日に「孤独死」という随想をある新聞の夕刊に書いた。その40日余りあとに実際に自宅で孤独死している。  古山の人生には「戦争」「孤独」そ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年10月25日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

第二次世界大戦 1939—45(上・中・下) [著]アントニー・ビーヴァー

第二次世界大戦 1939—45(上・中・下) [著]アントニー・ビーヴァー

■人類の悪の部分、克明に追いかけ  歴史上、第2次世界大戦とは何を意味するのだろうか。本書はそれを論として分析した書ではない。1939年9月から45年9月までの大戦を克明に追いかけたドキュメントでありながら、読後、読者………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年10月11日
[ジャンル]歴史

昭和天皇の戦後日本―〈憲法・安保体制〉にいたる道 [著]豊下楢彦

昭和天皇の戦後日本―〈憲法・安保体制〉にいたる道 [著]豊下楢彦

■二つの危機しのいだリアリスト  敗戦から講和条約発効までの6年8カ月間、天皇制には二つの危機があった。憲法改正時には天皇制廃止の、そして東西冷戦下では内外の共産主義による天皇制打倒の危機である。この二つを昭和天皇はど………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年09月13日
[ジャンル]歴史

不確かな正義―BC級戦犯裁判の軌跡 [著]戸谷由麻

不確かな正義―BC級戦犯裁判の軌跡 [著]戸谷由麻

■法守らず責任回避の実態を分析  各国が行ったBC級戦犯裁判の資料を精読し、それにもとづいての見解を英書として刊行、その後日本語訳として世に問うた。米英豪比など各国の資料が、太平洋戦争下の日本軍将兵の非人道的実態をどの………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年08月16日
[ジャンル]歴史

アウシュヴィッツを志願した男 ポーランド軍大尉、ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ [著]小林公二

アウシュヴィッツを志願した男 ポーランド軍大尉、ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ [著]小林公二

■権力の非人間性、捨て身で証明  著者によれば、アウシュヴィッツ収容所がポーランド南部に設けられたのが1940年6月。45年1月に連合国軍に解放されるまでに110万人がここで殺害された。生き残った収容者はわずか7千人。………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年08月02日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

遺骨 [著]栗原俊雄・原爆供養塔 [著]堀川惠子

遺骨 [著]栗原俊雄・原爆供養塔 [著]堀川惠子

■無言で語りかける、戦争の愚  両書とも「戦没者遺骨は帝国の負の遺産」という視点の書である。栗原書は新聞記者の目で遺骨の戦後史を追う。堀川書は、広島の原爆供養塔にただ一人通い、遺骨の霊をねぎらい、遺骨を遺族に返すべく奔………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年07月19日
[ジャンル]歴史 社会

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