保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

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保阪正康 (ノンフィクション作家)
1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

明治大正史(上・下) [著]中村隆英 [編]原朗・阿部武司

明治大正史(上・下) [著]中村隆英 [編]原朗・阿部武司

■時代を作った人々から見た近代  明治から大正の終わりまでは60年ほどになるが、本書は幕末から説き起こして、この60年を口語体で平易に解説している。2013年に死去した著者の口述記録を門弟が整理して著した書だが、著者の………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年11月22日
[ジャンル]歴史

戦後政治の証言者たち [著]原彬久 日本外交への直言 [著]河野洋平

戦後政治の証言者たち [著]原彬久 日本外交への直言 [著]河野洋平

■人間味浮かぶ、当事者の語り  政治学者・原彬久は政治指導者からのオーラル・ヒストリー(口述史)を歴史・政治研究に持ちこんだ先駆者である。当事者の語る「新しい事実」によって既知の風景とは異なる重層的な史実が明らかになる………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年11月08日
[ジャンル]政治 国際

戦争小説家 古山高麗雄伝 [著]玉居子精宏

戦争小説家 古山高麗雄伝 [著]玉居子精宏

■兵士体験通じて自らの魂と対話  古山高麗雄(ふるやまこまお)は、2002年1月26日に「孤独死」という随想をある新聞の夕刊に書いた。その40日余りあとに実際に自宅で孤独死している。  古山の人生には「戦争」「孤独」そ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年10月25日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

第二次世界大戦 1939—45(上・中・下) [著]アントニー・ビーヴァー

第二次世界大戦 1939—45(上・中・下) [著]アントニー・ビーヴァー

■人類の悪の部分、克明に追いかけ  歴史上、第2次世界大戦とは何を意味するのだろうか。本書はそれを論として分析した書ではない。1939年9月から45年9月までの大戦を克明に追いかけたドキュメントでありながら、読後、読者………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年10月11日
[ジャンル]歴史

昭和天皇の戦後日本―〈憲法・安保体制〉にいたる道 [著]豊下楢彦

昭和天皇の戦後日本―〈憲法・安保体制〉にいたる道 [著]豊下楢彦

■二つの危機しのいだリアリスト  敗戦から講和条約発効までの6年8カ月間、天皇制には二つの危機があった。憲法改正時には天皇制廃止の、そして東西冷戦下では内外の共産主義による天皇制打倒の危機である。この二つを昭和天皇はど………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年09月13日
[ジャンル]歴史

不確かな正義―BC級戦犯裁判の軌跡 [著]戸谷由麻

不確かな正義―BC級戦犯裁判の軌跡 [著]戸谷由麻

■法守らず責任回避の実態を分析  各国が行ったBC級戦犯裁判の資料を精読し、それにもとづいての見解を英書として刊行、その後日本語訳として世に問うた。米英豪比など各国の資料が、太平洋戦争下の日本軍将兵の非人道的実態をどの………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年08月16日
[ジャンル]歴史

アウシュヴィッツを志願した男 ポーランド軍大尉、ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ [著]小林公二

アウシュヴィッツを志願した男 ポーランド軍大尉、ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ [著]小林公二

■権力の非人間性、捨て身で証明  著者によれば、アウシュヴィッツ収容所がポーランド南部に設けられたのが1940年6月。45年1月に連合国軍に解放されるまでに110万人がここで殺害された。生き残った収容者はわずか7千人。………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年08月02日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

遺骨 [著]栗原俊雄・原爆供養塔 [著]堀川惠子

遺骨 [著]栗原俊雄・原爆供養塔 [著]堀川惠子

■無言で語りかける、戦争の愚  両書とも「戦没者遺骨は帝国の負の遺産」という視点の書である。栗原書は新聞記者の目で遺骨の戦後史を追う。堀川書は、広島の原爆供養塔にただ一人通い、遺骨の霊をねぎらい、遺骨を遺族に返すべく奔………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年07月19日
[ジャンル]歴史 社会

九州大学生体解剖事件 七〇年目の真実 [著] 熊野以素

九州大学生体解剖事件 七〇年目の真実 [著] 熊野以素

■人の弱さを追い、医の倫理示す  九州大学生体解剖事件は、戦時下に米軍捕虜8人を生きたまま解剖した非人道的な所業で、医学の原点を問う犯罪行為だった。これまで著名作家による小説、ノンフィクションがあったが、本書は関係医師………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年07月05日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

ルワンダ・ジェノサイド 生存者の証言―憎しみから赦しと和解へ [著]ジョセフ・セバレンジ、ラウラ・アン・ムラネ

ルワンダ・ジェノサイド 生存者の証言―憎しみから赦しと和解へ [著]ジョセフ・セバレンジ、ラウラ・アン・ムラネ

■赦しあえた時、次世代の平和が  ルワンダのジェノサイドは1960年前後を端緒としているが、報道では知り得るものの内部からの被害者の声についてはまったく知る機会がなかった。本書はツチの一族の被害の実態をつぶさに語った書………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年06月07日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

「衝動」に支配される世界―我慢しない消費者が社会を食いつくす [著]ポール・ロバーツ [訳]東方雅美

「衝動」に支配される世界―我慢しない消費者が社会を食いつくす [著]ポール・ロバーツ [訳]東方雅美

■直感的で配慮のない社会を裁断  現代文明論というべき書である。「インパルス・ソサエティ(衝動に支配される社会)」という語を剣として「社会経済システム全体が自己破壊に向かっている様子」を裁断している。  「欲しい」とい………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年05月24日
[ジャンル]政治 経済 社会

帰還兵はなぜ自殺するのか [著]デイヴィッド・フィンケル

帰還兵はなぜ自殺するのか [著]デイヴィッド・フィンケル

■戦闘ストレスの悲劇、鮮烈に  アフガニスタンとイラクに派兵された米軍兵士は約200万人、そのうち50万人はPTSD(心的外傷後ストレス障害)とTBI(外傷性脳損傷)に悩まされている。派兵前は善良な市民だったのに一転し………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年04月26日
[ジャンル]社会

エノケンと菊谷栄—昭和精神史の匿れた水脈 [著]山口昌男

エノケンと菊谷栄—昭和精神史の匿れた水脈 [著]山口昌男

■喜劇王と座付き作者の浅草  長年、故人が思いをこめて書いた稿を、編集者が形を整えて刊行した書である。文化人類学者の著者は、たまたまエノケン(榎本健一)に菊谷栄という座付き作者がいると聞き、それが執筆の動機であったとい………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年04月19日
[ジャンル]人文 社会

玉砕の島々―サイパン・グアム・ペリリュー・硫黄島 [著]平塚柾緒

玉砕の島々―サイパン・グアム・ペリリュー・硫黄島 [著]平塚柾緒

■歪んだ戦いの内実を誠実に記述  3年8カ月余続いた太平洋戦争で、特攻作戦や玉砕は軍事的責任が問われる戦術である。玉砕は最後の一人まで戦うとの戦闘行為だが、1943年5月のアッツ島玉砕を始まりとして、日本軍はなんどかこ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年03月15日
[ジャンル]歴史

過剰診断—健康診断があなたを病気にする [著]H・ギルバート・ウェルチ、リサ・M・シュワルツ、スティーヴン・ウォロシン

過剰診断—健康診断があなたを病気にする [著]H・ギルバート・ウェルチ、リサ・M・シュワルツ、スティーヴン・ウォロシン

■生命観なく医療現場が肥大化  本書は過剰診断を、「決して症状が出たり、そのために死んだりしない人を、病気であると診断すること」と定義づける。ところが、この過剰診断が現代医療の場でどれほど行われているのか、実態はなかな………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年03月01日
[ジャンル]医学・福祉

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