鷲田清一(大谷大学教授・哲学)の書評

写真:鷲田清一さん

鷲田清一 (大谷大学教授・哲学)
1949年京都市生まれ。大阪大総長をへて大谷大教授。現象学・身体論の視点から、医療や介護、教育の現場などに哲学の思考をつなぐ「臨床哲学」にも取り組む。著書に『モードの迷宮』(サントリー学芸賞)『「聴く」ことの力』(桑原武夫学芸賞)『「ぐずぐず」の理由』(読売文学賞)『メルロ=ポンティ可逆性』など。

驚きの介護民俗学 [著]六車由実

驚きの介護民俗学 [著]六車由実

■ためらいが吹き込む新しい風  書店で本を見つけ、「おお久しぶり」と声が出そうになった。10年近く前、新進の民俗学者として大きな賞を受けたが、次作がとんと出なかった。ある日大学教員をやめ、郷里で介護士として働いていたの………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2012年04月01日
[ジャンル]医学・福祉 社会

にほんの建築家―伊東豊雄・観察記 [著]瀧口範子

にほんの建築家―伊東豊雄・観察記 [著]瀧口範子

■「静かな革命家」に密着して描いた肖像  個々人の情熱、企業の財務、行政との押し問答が複雑に絡まりあうその渦中に立ち、数日の出張でベネチア、ミラノ、パリ、あるいはバルセロナの建設現場や展覧会場を回り、帰国すればこんどは………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2006年03月26日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

ピープルの思想を紡ぐ [著]花崎皋平

ピープルの思想を紡ぐ [著]花崎皋平

■水平的な共生めざす「まつろわぬ」宣言  「本書は……現代日本の政治・思想・文化の状況に対するつよい違和の念に貫かれています」。本書はこのような言葉で始まる。「まつろわぬ」ことの表明である。「まつろわぬもの」、それは坂………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2006年03月19日
[ジャンル]人文

日本の科学/技術はどこへいくのか [著]中島秀人

日本の科学/技術はどこへいくのか [著]中島秀人

■市民との公共的な討議で方向の模索を  大学における研究で科学技術系が占めるウエートは破格的に大きい。研究に投じられる予算はある種バブル状態にあるし、そのぶん、リーダーは性急に成果を求められながら、しかし研究に従事する………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2006年02月26日
[ジャンル]科学・生物

自由 [著]齋藤純一

自由 [著]齋藤純一

■「自己統治」強調で制約がより大きく  少しくらいけがをしてもいいから、自然ともっとふれあい、友だちと取っ組み合いをし、家庭と学校のみならず地域のなかで健やかに育ってゆくべきだと呼びかける一方で、「安全」という標語の下………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2006年01月29日
[ジャンル]政治 社会 国際

西洋音楽史 岡田暁生著 見晴らしのよい「最強の民族音楽」史

西洋音楽史 岡田暁生著 見晴らしのよい「最強の民族音楽」史

 小学生のころ、変に思っていた。音楽室の壁にずらーっと並んでいる音楽家たちの肖像。「音楽の父」バッハからモーツァルト、ベートーベンをへて、ドボルザークあたりまでだったか。音楽って西洋にしかなかったの、音楽ってたかが二百………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2005年12月18日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能 新書

カーテン 7部構成の小説論 ミラン・クンデラ著

カーテン 7部構成の小説論 ミラン・クンデラ著

 LE RIDEAU:ESSAI EN SEPT PARTIES  無視されてきた西欧の辺境で小説は進化した  ミラン・クンデラのこの小説論を読みながら、私はある夕刻のことを思い出していた。  シンポジウムからの帰り道………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2005年12月04日
[ジャンル]文芸 人文

うつし 臨床の詩学 森岡正芳著 微細な応答の積み重ねで「特異」を解く

うつし 臨床の詩学 森岡正芳著 微細な応答の積み重ねで「特異」を解く

 とにかくむずかしい問題を扱っている。問題が抽象的すぎるというのではない。あまりにも近くにありすぎて、そんな〈いのち〉のうごめき、そんな〈いのち〉のかけあいがあろうとすら、ふつうは思いもしない水準の問題である。  たと………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2005年10月30日
[ジャンル]医学・福祉

ダンボールハウス 長嶋千聡著 変化し続ける路上生活者住居の記録

ダンボールハウス 長嶋千聡著 変化し続ける路上生活者住居の記録

 路上生活者のハウスの、2年9か月をかけた調査記録である。グラフや数字ではなく、手書きのスケッチと図面と文章で、住人の住まい方、建築仕様が描かれる。生活費0円に近い暮らしをしている人びと、延べ70件の記録だ。  はじめ………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2005年10月23日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

トラウマの医療人類学 宮地尚子著 体験を引き受けなおす真摯な自己描写

トラウマの医療人類学 宮地尚子著 体験を引き受けなおす真摯な自己描写

 本書をそろそろ閉じる段になって、はじめて一枚の写真に出あう。アフリカ東部の難民キャンプで、家族が心配そうに見守るなか、少女の胸に聴診器を当てる著者が写っている。そしてその写真の「嘘(うそ)」を著者はみずから暴いている………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2005年09月18日
[ジャンル]医学・福祉

岸和田だんじり祭 だんじり若頭日記 江弘毅著

岸和田だんじり祭 だんじり若頭日記 江弘毅著

 半端押しのける、意気といたわりの街  この男、東京の書店でも買える関西の人気タウン誌の辣腕(らつわん)編集長にして、だんじり祭の元若頭である。一年中頭の中が「だんじり」だらけ。「だんじりでゆうたら……」という翻案で思………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2005年09月04日
[ジャンル]文芸

声をなくして 永沢光雄著 <弱さ>晒す人間同士のいたわりの作法

声をなくして 永沢光雄著 <弱さ>晒す人間同士のいたわりの作法

 泣かせるルポを書きついできた永沢光雄。その彼が、下咽頭(いんとう)ガンの手術を受け、声を奪われた。起きるなり首に激しい痛みが襲い、ときに呼吸困難にもなる。手の指を一本動かすのさえぎりぎり痛むことがある。耳鼻科、精神科………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2005年07月31日
[ジャンル]医学・福祉 ノンフィクション・評伝

ゴリラ 山極寿一著 「人間よりも進みすぎた」隣人に学びたい

ゴリラ 山極寿一著 「人間よりも進みすぎた」隣人に学びたい

 細胞にも色艶(いろつや)がある。明けても暮れても試験管をのぞいているうち、その色艶が見分けられるようになると、もう「一心同体になるほどに彼らを愛し」はじめている。だから色艶が悪いと、風邪をひいているのではないかと心配………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2005年07月03日
[ジャンル]科学・生物

眼の冒険 デザインの道具箱 松田行正著 「似ている」から始まる思考の魅力

眼の冒険 デザインの道具箱 松田行正著 「似ている」から始まる思考の魅力

 著者に叱(しか)られるかもしれないが、まず本文最後の二ページを開いていただきたい。  右ページには、催眠効果をもたらすといわれる縦ストライプを夜空に向けサーチライトで投射した、ナチスのニュルンベルク党大会のフィナーレ………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2005年06月26日
[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

職業外伝 秋山真志著 「人生まるごと」の仕事人を訪ねる旅

職業外伝 秋山真志著 「人生まるごと」の仕事人を訪ねる旅

 幼い頃に心躍らせた夜店の賑(にぎ)わい、場末の小屋で見てはいけないものを見て全身金縛りになった体験、長じて出入りするようになった花街の人生模様。その万華鏡のような思い出を彩っていたのが、飴(あめ)細工や見世物(みせも………[もっと読む]

[評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学)
[掲載]2005年05月15日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

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