蜂飼耳(詩人・作家)の書評

写真:蜂飼耳さん

蜂飼耳 (詩人・作家)
はちかい・みみ。1974年生まれ。詩集『いまにもうるおっていく陣地』(中原中也賞)、『食うものは食われる夜』(芸術選奨新人賞)、『顔をあらう水』(鮎川信夫賞)、絵本『うきわねこ』(産経児童出版文化賞ニッポン放送賞)。主な小説集に『紅水晶』、文集に『空席日誌』『おいしそうな草』など。

日本の食文化史―旧石器時代から現代まで [著]石毛直道

日本の食文化史―旧石器時代から現代まで [著]石毛直道

■食材も作法も、驚きの変化たどる  日本列島では旧石器時代から現代まで、何がどのように食べられてきたか。いまでは海外でも人気の高い日本食。本書はその変遷を辿(たど)り、見渡す通史。一般的に歴史学で採用される時代区分とは………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2016年01月24日
[ジャンル]文芸

香港パク [著]李承雨

香港パク [著]李承雨

■見えないもの暴く、精神の深層  韓国の作家・李承雨の小説は、たたみかけるように重なる叙述がやがて未知の場を拓(ひら)いてみせるところに、無類の魅力をもつ。そこにある言葉は、見えないものを暴こうとする方向を向き、冷厳で………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年12月20日
[ジャンル]文芸 社会

あこがれ [著]川上未映子

あこがれ [著]川上未映子

■恋愛よりも深い奇跡的な間柄  小学校中学年の「ぼく」は夏休みのある日、スーパーのサンドイッチ売り場の女性をミス・アイスサンドイッチとひそかに名づける。水色に塗られたまぶた。独特の化粧のために大きく見える目に、なぜか強………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年12月06日
[ジャンル]文芸

繭 [著]青山七恵

繭 [著]青山七恵

■相互依存の糸、終わりが始まり  美容師として自分の店を持って働く舞は、仕事の続かない夫・ミスミに度々暴力を振るってしまう。関係の歪(ゆが)みを認識しながらも、変えることができない。この夫婦と同じ集合住宅に住む希子は、………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年11月08日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

琥珀のまたたき [著]小川洋子

琥珀のまたたき [著]小川洋子

■脆くはかない人間の生の輝き  母が作り出した閉塞(へいそく)的な環境で、子どもたちはどのように生き、育つのか。小川洋子の長編小説『琥珀(こはく)のまたたき』は、その環境での日々とやがて訪れる崩壊を、何かを糾弾する視点………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年10月25日
[ジャンル]文芸

レールの向こう [著]大城立裕

レールの向こう [著]大城立裕

■人生の足元、確かめ拡がる世界  沖縄の歴史や文化を主題として執筆を続け、戦後の沖縄文学を牽引(けんいん)してきた大城立裕の作品集。表題作は、八十九歳の作家が綴(つづ)る私小説。  妻が脳梗塞(こうそく)を患って那覇の………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年10月11日
[ジャンル]文芸

鴎外と漱石のあいだで—日本語の文学が生まれる場所 [著]黒川創

鴎外と漱石のあいだで—日本語の文学が生まれる場所 [著]黒川創

■東アジア視野に文学史問い直す  近代の日本語文学史を、東アジア全域を視野に入れる方法で辿(たど)る。日露戦争や大逆事件等によって揺らぐ二十世紀初頭、日本語による読み書きはすでに日本人だけのものではなかった。本書はその………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年10月04日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

颶風の王 [著]河崎秋子

颶風の王 [著]河崎秋子

■馬と一族の宿命、体感的に描写  馬との宿命的な関わりを、こんなふうに大胆且(か)つ体感的に描いた小説がかつてあっただろうか。河崎秋子『颶風(ぐふう)の王』は、馬とともに歩む一族の、六世代にわたる足取りを追いかける作品………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年09月13日
[ジャンル]文芸

独りでいるより優しくて [著]イーユン・リー

独りでいるより優しくて [著]イーユン・リー

■不信と孤独の連鎖を凝視する  解決しない事件が、それに関わった人たちの人生を変えてしまい、生き方を縛りつける。米国に住み英語で執筆を続ける、中国出身の作家イーユン・リーの長編『独りでいるより優しくて』は、人間の孤独と………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年08月23日
[ジャンル]文芸

世界の果てのこどもたち [著]中脇初枝

世界の果てのこどもたち [著]中脇初枝

■人生を支える「優しさ」の記憶  ある場面の記憶が、その後の人生を通して残り続け、生き方を支える。中脇初枝『世界の果てのこどもたち』は、人の優しさを身にしみて感じた記憶が、どのように胸に留(とど)まり展開するかを描いた………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年08月16日
[ジャンル]文芸

文学の空気のあるところ [著]荒川洋治

文学の空気のあるところ [著]荒川洋治

■人間性に係わる実学を見渡す  「文学は実学だ」と現代詩作家の荒川洋治は繰り返し強調する。人間性に係(かか)わり、人間をつくるものという意味で虚学ではない、と。けれど、それを「必要以上に軽んじようとしている空気がある」………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年08月02日
[ジャンル]人文

雨の裾 [著]古井由吉

雨の裾 [著]古井由吉

■老いの時間に渦巻く死と官能  古井由吉はこれまでも、夢と現(うつつ)の境、過去と現在の境を踏みこえる小説を書いてきた。その世界は、揺らぐ幻の像と確固とした質感を併せ持ち、独自の展開を見せる。『雨の裾』はいよいよ極まろ………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年07月19日
[ジャンル]人文

歩道橋の魔術師 [著]呉明益

歩道橋の魔術師 [著]呉明益

■響き合う人生と都市の回想  台湾の台北にはかつて中華商場というショッピングモールが存在した。一九六一年に完工、八棟の建物に千軒以上の商店があり、にぎわった。九二年に全棟が解体されたが、いまもなお当時を知る人々の記憶に………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年07月05日
[ジャンル]文芸

女たち三百人の裏切りの書 [著]古川日出男

女たち三百人の裏切りの書 [著]古川日出男

■改竄された「源氏」、「現代」映す物語の妙  王朝物語の最高傑作として読み継がれてきた『源氏物語』に古川日出男が挑む。小説『女たち三百人の裏切りの書』の舞台は、平安時代後半から院政期にかけての時代だ。紫式部が『源氏物語………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年06月28日
[ジャンル]歴史 文芸 ノンフィクション・評伝

詩に就いて [著]谷川俊太郎

詩に就いて [著]谷川俊太郎

■ウィットと軽み、原点を見つめる  谷川俊太郎の新詩集。タイトルはずばり『詩に就いて』だ。六十年以上詩を書き続けてきた著者が、八十代のいま、改めて投げかける問い。それがこの詩集だ。  どの詩も言葉の立ち姿がくっきりとし………[もっと読む]

[評者]蜂飼耳(詩人・作家)
[掲載]2015年06月07日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

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