末國善己(文芸評論家)の書評

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末國善己 (文芸評論家)

帰郷 [著]浅田次郎

帰郷 [著]浅田次郎

■戦中と戦後つなげる想像力喚起  戦争を描くことをライフワークにしている著者の新作は、六作の戦争小説を収めた短編集である。戦争小説は最前線で戦う兵士を主人公にしがちだが、本書は戦争が巻き起こす様々な影響を掘り起こすこと………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年08月14日
[ジャンル]文芸

半席 [著]青山文平

半席 [著]青山文平

 男女の相克を描く短編集『つまをめとらば』で直木賞を受賞した著者の受賞後第一作は、男同士の複雑な関係に迫る連作集である。  御家人の片岡直人は、役職のない小普請から幕府の監察役・徒目付(かちめつけ)に抜擢(ばってき)され………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年07月31日
[ジャンル]歴史

赤い刻印 [著]長岡弘樹

赤い刻印 [著]長岡弘樹

 巧妙な伏線の推理小説で知られる著者の新作は、持ち味が楽しめる短編集だ。  中3の菜月は、時効寸前の事件を捜査している刑事の母・啓子から、祖母が生きていると聞かされ会いに行く。「赤い刻印」は、何げない母子の日常が、予期せ………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年07月17日
[ジャンル]文芸

荒仏師 運慶 [著]梓澤要

荒仏師 運慶 [著]梓澤要

■働く意味や信仰とは何か問う  斬新かつ重厚な歴史小説に定評がある梓澤要の新作は、国宝の東大寺南大門の仁王像を快慶らと作った、仏師の運慶を描いている。  奈良仏師の棟梁(とうりょう)・康慶の嫡男(ちゃくなん)として生ま………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年07月03日
[ジャンル]歴史

謎のアジア納豆―そして帰ってきた〈日本納豆〉 [著]高野秀行

謎のアジア納豆―そして帰ってきた〈日本納豆〉 [著]高野秀行

■ソウルフードの知られざる実態  納豆は日本の伝統食で、おいしさが理解できるのも日本人だけ、と考えている人も多いように思える。  だが世界の辺境を取材し良質なノンフィクションを発表している著者は、実際にアジアの山岳地帯………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年06月26日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

天下一の軽口男 [著]木下昌輝

天下一の軽口男 [著]木下昌輝

■権力者やり込め、胸のすく思い  木下昌輝は、宇喜多直家が梟雄(きょうゆう)になるまでを追ったデビュー作『宇喜多の捨て嫁』で、高校生直木賞、舟橋聖一文学賞などを受賞。人魚の肉を食べた新撰組隊士が異形のモノに変じる第二作………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年05月22日
[ジャンル]歴史 文芸

死仮面 [著]折原一

死仮面 [著]折原一

 折原一の新作は、現実と作中作が同時並行で進む複雑な構成の物語である。  秋月雅代は、急死した内縁の夫の境遇が、秘密に包まれていたと知る。夫が何者かを調べ始めた雅代は、遺品の小説を読み始める。  小説には、同級生が、少年………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年05月15日
[ジャンル]文芸

眩(くらら) [著]朝井まかて

眩(くらら) [著]朝井まかて

■仕事に生き、迷い、悩む女絵師  朝井まかては、歌人・中島歌子の数奇な人生を描く直木賞受賞作『恋歌』、奇矯な井原西鶴が印象に残る『阿蘭陀西鶴』など、文人を題材にした作品を発表してきた。葛飾北斎の娘お栄(応為〈おうい〉)………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年05月08日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

吹けよ風 呼べよ嵐 [著]伊東潤

吹けよ風 呼べよ嵐 [著]伊東潤

■定説と異なる合戦、現代批判も  デビュー当初から戦国時代の関東にこだわっている伊東潤が、ついに川中島合戦を描いた。ほぼ全編が戦闘や謀略という硬派な物語は、原点回帰といえる。  しかも主人公は武田信玄、上杉謙信ではなく………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年04月17日
[ジャンル]文芸

プラハの墓地 [著]ウンベルト・エーコ

プラハの墓地 [著]ウンベルト・エーコ

■陰謀論の嘘にどう向き合うか  今年2月19日に亡くなったウンベルト・エーコは、記号論学者であり、『薔薇(ばら)の名前』など世界的なベストセラーを残した作家でもあった。エーコが2010年に発表した本書も、知的好奇心を刺………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2016年04月03日
[ジャンル]文芸 社会

出星前夜 [著]飯嶋和一 

出星前夜 [著]飯嶋和一 

■圧政と戦った騒乱の本質に迫る  島原の乱といえば、キリシタンが起こした騒乱との印象も強いのではないだろうか。  だが本書は、島原藩主の松倉家が2倍の年貢を取り、凶作にも手を打たなかったことから物語を始めることで、乱が………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2008年09月14日
[ジャンル]歴史

弥勒世(みるくゆー) 上・下 [著]馳星周 

弥勒世(みるくゆー) 上・下 [著]馳星周 

■小説に移し替える「病気や死」  今も米軍の事件が相次ぐ沖縄。返還直前の沖縄を舞台にした『弥勒世(みるくゆー)』は、犯罪小説の手法で沖縄の悲劇の歴史に迫ることで著者が新境地を切り開いている。  英字新聞で働く伊波尚友(………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2008年03月23日
[ジャンル]文芸

メフェナーボウンのつどう道 [著]古処誠二 

メフェナーボウンのつどう道 [著]古処誠二 

■撤退の中、悩んだ看護婦たち  太平洋戦争を題材にしながらも、時代を超えた普遍的なドラマを紡いできた著者が最新作の舞台に選んだのは、大戦末期のビルマ(現ミャンマー)。英印軍の進攻でラングーンの兵站(へいたん)病院からの………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2008年02月17日
[ジャンル]歴史 文芸

月芝居 [著]北重人 

月芝居 [著]北重人 

■江戸留守居役が迫る天保の闇  昨年『蒼火(あおび)』で大藪春彦賞を受賞した著者の受賞後第一作は、巨大利権に群がり甘い汁を吸う魑魅魍魎(ちみもうりょう)の存在を浮かび上がらせる時代ミステリーである。  天保の改革で江戸………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2008年01月27日
[ジャンル]歴史 文芸

中原の虹 [著]浅田次郎 

中原の虹 [著]浅田次郎 

■複雑怪奇な中国近代史を活写  『蒼穹(そうきゅう)の昴』から約十年、続編となる『中原の虹』が完結した。張作霖が一大軍閥を築くまでを派手な活劇を交えて描く冒険小説、張作霖の下で戦う春雷(チュンレイ)、西太后腹心の宦官(………[もっと読む]

[評者]末國善己(文芸評論家)
[掲載]2008年01月06日
[ジャンル]文芸

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