いとうせいこう(作家・クリエーター)の書評

写真:いとうせいこうさん

いとうせいこう (作家・クリエーター)
1961年東京都生まれ。音楽や舞台、映画などの分野でも活躍。小説に『ノーライフキング』『ワールズ・エンド・ガーデン』『波の上の甲虫』『想像ラジオ』、エッセーに『ボタニカル・ライフ』(講談社エッセイ賞)など。奥泉光らとの共著に『文芸漫談』、みうらじゅんとの共著に『見仏記』もある。ホームページは「WATCH SEIKO」

天堂狂想歌 [著]莫言

天堂狂想歌 [著]莫言

■農民の苦難、ユーモラスに  昨年ノーベル文学賞を与えられた中国の莫言が、20年以上前に書いていた長編小説が翻訳された。ガルシア=マルケスに影響を受け、であれば遡(さかのぼ)ってフォークナーに手法を学んだ作家である。 ………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2013年06月09日
[ジャンル]文芸

不浄の血 [著]アイザック・バシェヴィス・シンガー

不浄の血 [著]アイザック・バシェヴィス・シンガー

■民話、呪い、魔物が入り交じる異物  アイザック・B・シンガーは1978年に米国人作家としてノーベル文学賞を受賞した。英語作家としてではなく、多くの地に散るユダヤ人の共同体が守り伝えてきたイディッシュ語作家として。  ………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2013年05月19日
[ジャンル]文芸

完全なるチェス―天才ボビー・フィッシャーの生涯 [著]フランク・ブレイディー

完全なるチェス―天才ボビー・フィッシャーの生涯 [著]フランク・ブレイディー

■謎多き流転の人生、棋譜のように記す  稀代(きだい)の天才チェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーは奇人とも言われがちな人生を送った。ともかく謎が多い。平気で都合何十年も世界から姿をくらました。そして9年前、実は日本に………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2013年05月05日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

手話からみた言語の起源 [著]高田英一

手話からみた言語の起源 [著]高田英一

■言語は身振りから始まった?  手話を使う人が身振りと一緒に音声でしゃべることがある。二つの言語の同時使用を「シムコム」と呼ぶらしい。  著者はまず日本手話の起源などを語りながら、「シムコム」を人類が言語を獲得した起源………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2013年03月24日
[ジャンル]医学・福祉

ヒップホップの詩人たち [著]都築響一

ヒップホップの詩人たち [著]都築響一

■切実でリアルな「路傍の現代詩」  前著『夜露死苦現代詩』の末尾近くで、著者は日本語ラッパーのダースレイダーに取材し、彼の詩を紹介した。いまや多くのラッパーはフリースタイルと呼ばれる即興詩(しかも脚韻を踏む)をリズムに………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2013年03月17日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

メモワール―写真家・古屋誠一との二〇年 [著]小林紀晴

メモワール―写真家・古屋誠一との二〇年 [著]小林紀晴

■なぜ撮ったのか、思考を迫る言葉  小林紀晴は写真家であり、同時に抑制の利いた文章を書く作家である。その小林が取り憑(つ)かれるように写真家・古屋誠一を追った長い年月の記録、思索が本書だ。  最初は1991年。著者は古………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2013年02月03日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

火によって [著]ターハル・ベン=ジェッルーン

火によって [著]ターハル・ベン=ジェッルーン

■今を生き、死ぬ者に捧げる物語  モロッコ出身にしてフランス語で書く作家、ターハル・ベン=ジェッルーンは11冊もの日本語訳を持つ、人気のある文学者だ。  夢幻的でエキゾチックなアラブの物語を紡ぎながら、著者はもう一方で………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2013年01月20日
[ジャンル]文芸

ウェブで政治を動かす! [著]津田大介

ウェブで政治を動かす! [著]津田大介

■新しい民主主義を作るために  タイトルからして、この時期にはおおいに刺激的だ。  しかし、“すわ、ウェブ党の立ち上げか”と敏感になった人は、主にマスメディアによる「政局報道」に心奪われている。いわゆる永田町の論理に洗………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2012年12月02日
[ジャンル]政治 社会

日本小説技術史 [著]渡部直己

日本小説技術史 [著]渡部直己

■異次元的な体験 作品の核心つく  坪内逍遥『小説神髄』から横光利一『純粋小説論』まで、半世紀にわたる文学作品を「技術」というテーマで語り抜く。つまり本書は、これまで“何が語られてきたか”のみを扱ってきた近代文学史に対………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2012年11月25日
[ジャンル]文芸

厳重に監視された列車 [著]ボフミル・フラバル

厳重に監視された列車 [著]ボフミル・フラバル

■現実と対峙する悲痛な純粋  石を詰めた麻袋で背中をどつかれるような衝撃を読書から切実に感じる。汗を始めとする体液の臭いが鼻につく。そういう肉感的な言語体験をさせてくれるのがフラバルやクンデラといったチェコ出身の小説家………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2012年11月11日
[ジャンル]文芸

踊ってはいけない国、日本 風営法問題と過剰規制される社会 [編著]磯部涼

踊ってはいけない国、日本 風営法問題と過剰規制される社会 [編著]磯部涼

■人類的行為を抑圧する不均衡  一般に風営法と呼ばれる法律によって、特にここ数年、大阪を中心としてクラブが摘発され続けている。主に若者を顧客として持ち、DJによる大音響での音楽再生によって踊りを楽しむ方のクラブだ。  ………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2012年10月28日
[ジャンル]政治

奇貨 [著]松浦理英子

奇貨 [著]松浦理英子

■負の感情を糧とする人間こそ  寡作の著者の五年ぶりの小説がやっぱり面白い。  中年男と三十代の女が同居して三年になる。だが、男・本田は女性自体に強い性欲を抱かず、糖尿病によって勃起も十全でない。一方の七島美野はレズビ………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2012年10月21日
[ジャンル]文芸

晰子の君の諸問題 [著]佐々木中

晰子の君の諸問題 [著]佐々木中

■散文と詩の間、交錯する言語  『夜戦と永遠』という大著でデビューした哲学者・佐々木中は旺盛に創作し続ける。  「行こう、君と一緒なら」と始まる小説は、もはや佐々木文体とも言える見慣れぬ単語の衝突に満ちており(「常闇〈………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2012年09月30日
[ジャンル]文芸

この人を見よ [著]後藤明生

この人を見よ [著]後藤明生

■人を喰った構造 脱線につぐ脱線  後藤明生は私にとって特異な作家である。“人はオリジナルな作品を単独で書くのではなく、何か先行作を読んだからこそ書くのだ”という文学理論でも有名だ。  だから、後藤はパロディを強く意識………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2012年09月09日
[ジャンル]文芸

定義集 [著]大江健三郎

定義集 [著]大江健三郎

■素人にしか知り得ない未来  『「伝える言葉」プラス』についで、朝日新聞紙上での著者の連載がまとまった。  そこには中野重治や井上ひさし、多田富雄やバルガス・リョサなど、様々な他者の言葉が引用され、意味や用法が“定義”………[もっと読む]

[評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)
[掲載]2012年08月19日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

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