田中優子(法政大学教授・近世比較文化)の書評

写真:田中優子さん

田中優子 (法政大学教授・近世比較文化)
1952年横浜市生まれ。専門は江戸近世文化・アジア比較文化。著書に『江戸の想像力』(芸術選奨文部大臣新人賞)『江戸百夢』(サントリー学芸賞)『カムイ伝講義』『布のちから―江戸から現在へ』『樋口一葉「いやだ!」と云ふ』」など。田中優子プライベートサイト

中国と茶碗と日本と [著]彭丹

中国と茶碗と日本と [著]彭丹

■陶磁の謎解き、スリリングに  著者は着物を着て茶をたて、能を舞い、幸田露伴を読み、寺に出入りし、そして日本語で小説も書く日本学者だ。欧米人の日本学者には、伝統文化に身体ごと入り込んでゆく人々が多いが、アジアの日本学者………[もっと読む]

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)
[掲載]2012年09月30日
[ジャンル]歴史

光圀伝 [著]冲方丁

光圀伝 [著]冲方丁

■今として書かれた歴史の躍動感  水戸黄門として知られる徳川光圀の生涯だが、偉人伝ではない。ひとりの人間が苦しみ、迷い、多くの人の死を直視しながら新しい時代を作ろうとする物語である。  全編に光圀の息づかいが聞こえる。………[もっと読む]

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)
[掲載]2012年09月16日
[ジャンル]歴史 文芸

ナリワイをつくる―人生を盗まれない働き方 [著]伊藤洋志

ナリワイをつくる―人生を盗まれない働き方 [著]伊藤洋志

■就職の対極にある生き方を  仕事に困っている人、必読である。とにかく面白いし、力が湧く。  ナリワイとは生活そのもの、あるいはそのための仕事の意味だ。本書での定義を要約すると、時間と健康をお金に換えるのではなく、頭と………[もっと読む]

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)
[掲載]2012年08月12日
[ジャンル]経済

妖怪手品の時代 [著]横山泰子

妖怪手品の時代 [著]横山泰子

■江戸文化の本質が見えてくる  妖怪研究者として知られる著者の本はいつも注目に値する。今度は手品だ。「妖怪手品」とは、幽霊などを人為的に創(つく)り出す仕掛けのことだ。  江戸時代の日本人は座敷へ天狗(てんぐ)を呼びつ………[もっと読む]

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)
[掲載]2012年07月15日
[ジャンル]歴史 人文

「辺境」からはじまる 東京/東北論 [編著]赤坂憲雄・小熊英二

「辺境」からはじまる 東京/東北論 [編著]赤坂憲雄・小熊英二

■東北とは何か、根底から考える  十人の論者による東北論集だが、どれを読んでも、見えなかったものが見えて来る。  山下祐介は「疑似原発群」というキーワードで、中央から地方に持ち込まれるあらゆる地域開発の意味を暴く。大規………[もっと読む]

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)
[掲載]2012年07月08日
[ジャンル]社会

河原ノ者・非人・秀吉 [著]服部英雄

河原ノ者・非人・秀吉 [著]服部英雄

■歴史上の人間に生々しく迫る  あまりにも生々しく、時に本を閉じた。歴史の専門書を読んでそういう気持ちになることはほとんど無い。そこに本書の方法的な特徴がある。極めて具体的かつ詳細で、小説を読むような臨場感がある。が、………[もっと読む]

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)
[掲載]2012年07月01日
[ジャンル]歴史

棺一基 大道寺将司全句集 [著]大道寺将司

棺一基 大道寺将司全句集 [著]大道寺将司

■自らの死と向き合うまなざし  『棺一基』という書名は、本書の中の句「棺一基四顧茫々(しこぼうぼう)と霞(かす)みけり」から採られた。霞は春の季語。「四顧」とあるからには、そこにまわりを見渡す者がいる。それは誰なのか?………[もっと読む]

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)
[掲載]2012年06月17日
[ジャンル]人文

健康不安と過剰医療の時代―医療化社会の正体を問う [編著]井上芳保

健康不安と過剰医療の時代―医療化社会の正体を問う [編著]井上芳保

■「何かおかしい」と思う人に  現代は江戸時代より「進化」していると言われる。進化のシンボルが科学技術の発展である。確かに江戸時代までは高度医療も保険制度もなく薬は高かった。であるから病気にならないことが重要で、「養生………[もっと読む]

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)
[掲載]2012年05月27日
[ジャンル]医学・福祉

股間若衆―男の裸は芸術か [著]木下直之

股間若衆―男の裸は芸術か [著]木下直之

■別の鑑賞法でがぜん面白く  駅前や公園に立つ裸体彫刻を見るたびに「なぜこのようなものがここに?」と不思議に思っていた。申し訳ないが、全く芸術的感動が無いからである。しかし本書を読めば見方が変わる。いや、芸術的価値に目………[もっと読む]

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)
[掲載]2012年05月13日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

2050年の世界地図―迫りくるニュー・ノースの時代 [著]ローレンス・C・スミス

2050年の世界地図―迫りくるニュー・ノースの時代 [著]ローレンス・C・スミス

■北の高緯度地域「新しい中心」に  2050年の世界を予測している。「ニューノース」は、北極の変化がもたらす高緯度地域の繁栄のことだ。占いの本ではない。ユーモアにあふれた面白い本だが、実はコンピューターモデルのもっとも………[もっと読む]

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)
[掲載]2012年05月06日
[ジャンル]国際

夢よりも深い覚醒へ―3・11後の哲学 [著]大澤真幸

夢よりも深い覚醒へ―3・11後の哲学 [著]大澤真幸

■原子力も世界破壊への信仰  この素敵(すてき)な題名は見田宗介の言葉だという。悪夢から現実へ覚醒するのではなく、夢により深く内在することで覚醒する、という意味で使われている。三・一一の出来事は各々(おのおの)の生の中………[もっと読む]

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)
[掲載]2012年04月29日
[ジャンル]人文

下り坂では後ろ向きに 静かなスポーツのすすめ [著]丘沢静也

下り坂では後ろ向きに 静かなスポーツのすすめ [著]丘沢静也

■競技スポーツからの脱出を  ただのハウツーものではない。「より速く、より強く、より高く」という競技スポーツから脱出しよう、という価値観の転換を提起している。競技スポーツは競争社会における仕事と同じ文法であって、「静か………[もっと読む]

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)
[掲載]2012年04月08日
[ジャンル]人文

森林の江戸学 [編]徳川林政史研究所

森林の江戸学 [編]徳川林政史研究所

■日本の山、どう再生させたか  戦後の復興期から高度経済成長時代には、目の前の利益だけを考えた量産、拡大政策が推進された。その結果、原子力のみならず多くのものが問題を抱えている。そのひとつが「森林崩壊」である。  森林………[もっと読む]

[評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)
[掲載]2012年04月01日
[ジャンル]歴史

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