出久根達郎(作家)の書評

写真:出久根達郎さん

出久根達郎 (作家)
1944年茨城県生まれ。古書店を営みながら執筆活動に入り、古書の知識を生かした小説やエッセー、漱石に関する著作で知られる。小説に『佃島ふたり書房』(直木賞)『御書物同心日記』、エッセーに『本のお口よごしですが』(講談社エッセイ賞)『古本奇譚』『作家の値段』『日本人の美風』など。

万引きの文化史 [著]レイチェル・シュタイア

万引きの文化史 [著]レイチェル・シュタイア

■れっきとした犯罪なのに  古書店の店員になった直後、万引きを目撃した。あの時の衝撃を、今も忘れない。三つ揃(ぞろ)いの紳士が当たり前のように、雑誌を背広の内側に忍ばせたのだ。そのまま店を出ていくのである。私は足がふる………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年11月25日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

わたしは菊人形バンザイ研究者 [著]川井ゆう

わたしは菊人形バンザイ研究者 [著]川井ゆう

■老いも若きも楽しめる珍本  掛け値なしの、珍本である。  何しろ、類書が無い。菊の本は結構ある。菊人形に触れた本もあるにはあるけれど、研究書は無い。同じように私たちは菊人形を見たことはあるが、どのように作られるのかよ………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年11月18日
[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

満洲浪漫 長谷川濬が見た夢 [著]大島幹雄

満洲浪漫 長谷川濬が見た夢 [著]大島幹雄

■『偉大なる王』の訳者の初評伝  額(ひたい)に王の字の模様がある満州虎の生涯を描いた、亡命ロシアの作家バイコフの『偉大なる王』は、戦前わが国で大いに読まれた。翻訳して紹介したのは、長谷川濬である。  父は佐渡中学で、………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年11月11日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

新宿、わたしの解放区 [著]佐々木美智子 [聞き書き]岩本茂之

新宿、わたしの解放区 [著]佐々木美智子 [聞き書き]岩本茂之

■酒場と映画と、女傑の一代記  「女傑」一代記である。  そう言い切ったら、単純すぎる。一人の女の生き方を通して見た戦後史。おおげさすぎるか。一九六、七〇年代の盛り場文化史。いや、文化人酔態録か。まてよ、政治もからむか………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年11月04日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

東京満蒙開拓団 [著]東京の満蒙開拓団を知る会

東京満蒙開拓団 [著]東京の満蒙開拓団を知る会

■大陸へ移住した江戸っ子たち  「目からウロコ」とは、このことだろう。  満蒙開拓団とは旧満州農業移民であるから、長野県や山梨県など農村部の人たちで組織された、と思っていた。事実、そうなのだが、初めての開拓団は東京から………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年10月28日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

天草の豪商・石本平兵衛 1787—1843 [著]河村哲夫

天草の豪商・石本平兵衛 1787—1843 [著]河村哲夫

■忘れられた大商人の素顔  三井・住友・鴻池に次ぐ江戸期の豪商だが、この人の名を知る人は多くないだろう。  薩摩を始め九州諸藩の御用商人として活躍し、唐津藩主だった水野忠邦に取り立てられる。水野の金主となり、彼の昇進を………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年10月21日
[ジャンル]歴史 経済

茂吉 幻の歌集「萬軍」―戦争と斎藤茂吉 [編著]秋葉四郎

茂吉 幻の歌集「萬軍」―戦争と斎藤茂吉 [編著]秋葉四郎

■戦争歌は「時が批判する」  戦争末期、歌人の斎藤茂吉は、出版社の「決戦歌集」シリーズに応じて、自ら詠んだ戦争歌の中から、二百二十余首を選び浄書した。『萬軍(ばんぐん)』と命題し、原稿を送った。  ところが程(ほど)な………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年10月14日
[ジャンル]文芸

光線 [著]村田喜代子

光線 [著]村田喜代子

■胸に迫る夫婦の普通の生活  「東日本大震災」当日、あなたはどこで何をなさっておられただろうか。  『光線』の妻は、ガン(本書の表記に従う。実は評者も漢字が怖い)の疑いで入院している。大震災の翌々日、検査手術をする。前………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年09月30日
[ジャンル]文芸

駐在保健婦の時代―1942—1997 [著]木村哲也

駐在保健婦の時代―1942—1997 [著]木村哲也

■草の根の活動実態、生々しく  戦時下、警察官の駐在勤務にならい、「健民立国」を旗印に、全国に駐在保健婦が配置された。その制度は終戦で解消したが、地勢上、交通不便な高知県は独自に復活させ、地域保健に力を尽くした。これは………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年09月23日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

楚人冠―百年先を見据えた名記者 杉村広太郎伝 [著]小林康達

楚人冠―百年先を見据えた名記者 杉村広太郎伝 [著]小林康達

■明治・大正・昭和をリベラルに    「楚人冠(そじんかん)」と聞いて何をした人か、答えられる者は多くないだろう。明治大正昭和の三代にわたるジャーナリストである。奇妙な号は、楚の将軍項羽が、猿が王冠をつけたようなものと………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年09月16日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

満鉄特急「あじあ」の誕生―開発前夜から終焉までの全貌 [著]天野博之

満鉄特急「あじあ」の誕生―開発前夜から終焉までの全貌 [著]天野博之

■憧れは富と力の象徴ゆえか  昔、古書即売展に、あじあ号をかたどった鉄製の文鎮を出品したら、客が殺到して驚いたことがある。文鎮でなく、試験乗車した客にのみ配られた記念の紙切り小刀、と本書で知った。珍品だったのである。 ………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年09月09日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

世にも奇妙な人体実験の歴史 [著]トレヴァー・ノートン [訳]赤根洋子

世にも奇妙な人体実験の歴史 [著]トレヴァー・ノートン [訳]赤根洋子

■悲惨でも、人類の幸福のために  ピロリ菌、という名称を私たちが耳にしたのは、そんなに昔のことではない。十二指腸や胃の潰瘍(かいよう)の元凶とされる細菌である。酸性の強い胃の中で生きられるはずがない、と言われていた。潰………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年09月02日
[ジャンル]科学・生物

カーボン・アスリート 美しい義足に描く夢 [著]山中俊治

カーボン・アスリート 美しい義足に描く夢 [著]山中俊治

■健常者と同じ土俵で競う  ロンドン・オリンピックの陸上男子四百メートルに、初の義足アスリートが登場し話題になった。スキー板に似た、カーボン繊維製の義足は加速装置か否か。スポーツ仲裁裁判所は、証明不備の現段階では健常者………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年08月26日
[ジャンル]人文

犬はあなたをこう見ている [著]ジョン・ブラッドショー

犬はあなたをこう見ている [著]ジョン・ブラッドショー

■飼う側の頑迷固陋が問われる  ペットが家族の一員とみなされるようになって、久しい。家族だからこそ、喪失のショックも深刻である。昔だってペットロスはあったが、現代ほど重大事に考えられていない。それなら私たちは、どれだけ………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年08月19日
[ジャンル]科学・生物

村山知義 劇的尖端 [編]岩本憲児

村山知義 劇的尖端 [編]岩本憲児

■日本のダ・ヴィンチの謎に迫る  東京の世田谷美術館で「すべての僕が沸騰する 村山知義の宇宙」展が開かれている(9月2日まで)。年初からの各地巡回展だが、なぜ、今、村山知義なのだろうか。  1920年代のモダニズムが新………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年08月05日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

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