原武史(放送大学教授・政治思想史)の書評

写真:原武史さん

原武史 (放送大学教授・政治思想史)
はら・たけし。1962年東京都生まれ。近現代の天皇・皇室研究のほか、鉄道や団地などの「空間政治学」を提唱。著書に『「民都」大阪対「帝都」東京』(サントリー学芸賞)『滝山コミューン一九七四』(講談社ノンフィクション賞)『昭和天皇』(司馬遼太郎賞)など。

クレムリン―赤い城塞の歴史 [著]キャサリン・メリデール

クレムリン―赤い城塞の歴史 [著]キャサリン・メリデール

■時代の栄光、凝縮された空間  周りを2キロあまりの城壁で囲まれ、さまざまな時代の様式による宮殿や聖堂、教会、塔などが林立する空間。それがクレムリンである。決して広いとはいえない空間のなかに、江戸城の本丸や皇居の宮殿や………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年10月09日
[ジャンル]歴史

忘却された支配―日本のなかの植民地朝鮮 [著]伊藤智永

忘却された支配―日本のなかの植民地朝鮮 [著]伊藤智永

■隠された記憶と責任をたどる  もう20年以上も前のことだ。小郡(現・新山口)からJR宇部線に乗った。平凡な車窓風景に見飽きてきた頃、不意に左手の視界が開け、周防灘が現れた。だがそれよりもっと驚いたのは、海岸に点在する………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年09月25日
[ジャンル]歴史 政治

北の富士流 [著]村松友視

北の富士流 [著]村松友視

■数字で評価できない人間的魅力  1972年1月場所8日目、横綱北の富士と関脇貴ノ花の一番を、小学3年だった私はテレビで観戦していた。北の富士が外掛けで倒そうとしたところを貴ノ花が捨て身の上手投げで返し、北の富士の右手………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年08月28日
[ジャンル]歴史 人文

鉄道は誰のものか [著]上岡直見

鉄道は誰のものか [著]上岡直見

■「交通は人権」の視点に立つ評論  ブルートレインなどの廃止が発表されると、駅のホームには「最後の雄姿」を撮ろうとマニアが詰めかける。鉄道会社が決めたことは既成の事実となり、誰も批判しようとはしない。また鉄道ライターの………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年08月21日
[ジャンル]経済

三島由紀夫 幻の皇居突入計画 [著]鈴木宏三

三島由紀夫 幻の皇居突入計画 [著]鈴木宏三

■理想としての天皇を守るとは  1960年代後半は、学生運動が高揚した時代だった。68年10月21日の国際反戦デーで騒乱の巷(ちまた)と化した東京を見た三島由紀夫は、その1年後に同様の光景が再び現れ、自衛隊が治安出動す………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年07月24日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

日本の女性議員―どうすれば増えるのか [編著]三浦まり

日本の女性議員―どうすれば増えるのか [編著]三浦まり

■低レベルの比率、政治風土映す  現在、衆議院の女性議員比率は9・5%で191カ国中156位、台湾を加えると192カ国・地域中157位という最低レベルにある。地方議会はもっと深刻で、全体の2割を超える市町村議会ではいま………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年06月26日
[ジャンル]政治 社会

求愛 [著]瀬戸内寂聴

求愛 [著]瀬戸内寂聴

 私が自ら女性になることはないし、90歳を超えて生き続けることもないと考えている。だから瀬戸内寂聴のように、90歳を超えても活躍し続ける女性というのは、自分から最も遠く離れたところにいるものと思い込んでいた。  掌編小説………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]文芸

亡き人へのレクイエム [著]池内紀

亡き人へのレクイエム [著]池内紀

■生死を超え親しく言葉交わす  同じ電車に乗り合わせた客たちとは、同じ時間を生きている。だがそのうちの一人として名前すら知らない。逆に愛読している本の著者は、もうこの世にいなかったりする。限られた人生のなかで実際に出会………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年06月12日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

武者小路実篤とその世界 [著]直木孝次郎

武者小路実篤とその世界 [著]直木孝次郎

■90歳代でなお鋭い仮説を提起  直木孝次郎の名を初めて知ったのは、1964年発表の「持統天皇と呂(りょ)太后」という論文であった。天武天皇とその皇后だった持統天皇が、漢の皇帝高祖(劉邦)とその皇后の呂后を意識していた………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年05月29日
[ジャンル]歴史 人文 ノンフィクション・評伝

シニア左翼とは何か [著]小林哲夫

シニア左翼とは何か [著]小林哲夫

 昨年夏から秋にかけて、国会前には連日のように安保関連法案に反対する人々が集まった。そこで注目されたのはSEALDs(シールズ)と呼ばれる大学生たちであったが、人数では60代以上の世代の方がまさっていた。著者は彼らを「シ………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年05月08日
[ジャンル]社会

温泉妖精 [著]黒名ひろみ

温泉妖精 [著]黒名ひろみ

 ラーメンについて辛口の評価を下すブログで点数の高い店に行ったら、大した味でなくがっかりした——この種の体験をした人もいるだろう。本書の主人公の女性は、ゲルググというハンドルネームをもつ男性の温泉に関する辛口のブログを愛………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年04月10日
[ジャンル]文芸

バラカ [著]桐野夏生

バラカ [著]桐野夏生

■震災の暗黒郷を描き、時代を照らし出す  あの日の震災で、福島第一原発がすべて爆発した。東京は避難勧告地域に指定されて住民は西に逃げた。首都機能は大阪に移り、天皇も京都御所に移住した。2020年のオリンピックは大阪に開………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年03月27日
[ジャンル]文芸 社会

たんぽぽ団地 [著]重松清

たんぽぽ団地 [著]重松清

■時空を超える不思議な一体感  児童文学作家の古田足日(たるひ)は1972年に『ぼくらは機関車太陽号』を出版した。「赤旗日曜版」に掲載されたこの物語は、学校行事について自ら考え行動する団地の小学生たちを主人公とし、彼ら………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]文芸

わが記憶、わが記録—堤清二×辻井喬オーラルヒストリー [編]御厨貴・橋本寿朗・鷲田清一

わが記憶、わが記録—堤清二×辻井喬オーラルヒストリー [編]御厨貴・橋本寿朗・鷲田清一

■自覚的に背負った矛盾とユートピア  晩年の辻井喬さんに何度かお会いしたことがある。御茶ノ水や銀座や北京のホテルで、私が勤める大学の大教室で、さらには朝鮮学校無償化除外に反対する会場などで対話を重ねてきた。  もっぱら………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年02月21日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

都市と暴動の民衆史―東京・1905—1923年 [著]藤野裕子

都市と暴動の民衆史―東京・1905—1923年 [著]藤野裕子

■暴力を誘発、「男らしさ」の論理  1905年、日露戦争の講和条約に反対する集会をきっかけとして、日比谷焼打(やきうち)事件が起こった。この事件から18年の米騒動までの間、東京をはじめとする都市では民衆暴動が相次いだ。………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2016年02月07日
[ジャンル]歴史

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