杉田敦(政治学者・法政大学教授)の書評

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杉田敦 (政治学者・法政大学教授)
1959年群馬県生まれ。著書に『権力の系譜学』『デモクラシーの論じ方―論争の政治』『境界線の政治学』『政治への想像力』『政治的思考』『3・11の政治学 震災・原発事故のあぶり出したもの』、共著に『これが憲法だ!』など。

火と灰—アマチュア政治家の成功と失敗 [著]マイケル・イグナティエフ

火と灰—アマチュア政治家の成功と失敗 [著]マイケル・イグナティエフ

■敗北しても失わぬ政治への敬意  良き政治学者は良き政治家たりうるのか。著者は体験から答える、「ノー」と。思想史をふまえ福祉国家を論じた『ニーズ・オブ・ストレンジャーズ』などで知られるイグナティエフは、アメリカの有名大………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2015年05月03日

相互扶助の経済—無尽講・報徳の民衆思想史 [著]テツオ・ナジタ

相互扶助の経済—無尽講・報徳の民衆思想史 [著]テツオ・ナジタ

■したたかな現実主義と弱さ  講、無尽、頼母子(たのもし)、もやいなど、さまざまに呼ばれる民衆の相互扶助組織。「契約」を交わした人びとが互いに資金を出し合い、抽選などによって貸付(かしつけ)を受け、一定期間で返済する仕………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2015年04月26日
[ジャンル]経済

正義はどう論じられてきたか―相互性の歴史的展開 [著]デイヴィッド・ジョンストン

正義はどう論じられてきたか―相互性の歴史的展開 [著]デイヴィッド・ジョンストン

■連帯立て直す人びとの「感覚」  正義とは何か。アメリカの哲学者ジョン・ロールズの多大な影響の下に、近年では正義は、ある社会全体での富の正しい分配の仕方として論じられてきた。これに対してジョンストンは、歴史をひもとけば………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2015年04月12日
[ジャンル]政治 社会

加藤周一と丸山眞男 日本近代の〈知〉と〈個人〉 [著]樋口陽一 / 学問/政治/憲法—連環と緊張 [編]石川健治

加藤周一と丸山眞男 日本近代の〈知〉と〈個人〉 [著]樋口陽一 / 学問/政治/憲法—連環と緊張 [編]石川健治

■個人・社会・国家、あるべき姿探る  自民党改憲草案では、現憲法の「個人」という言葉が「人」に差し替えられている。些細(ささい)な違いとも見えるが、個人を基礎とする国家という近代の基本枠組みの否定となりかねないというの………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2015年02月08日
[ジャンル]社会

いと高き貧しさ―修道院規則と生の形式 [著]ジョルジョ・アガンベン [訳]上村忠男・太田綾子

いと高き貧しさ―修道院規則と生の形式 [著]ジョルジョ・アガンベン [訳]上村忠男・太田綾子

■所有権を否定して生きる試み  ヨーロッパで発達した修道院は、厳格な規律で知られる。厳密な時間管理の下、共同の労働に勤(いそ)しむ姿は、産業化されたわれわれの社会にまでつながっているように見える。  しかしながら本書で………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2014年12月21日
[ジャンル]人文

帝国の慰安婦―植民地支配と記憶の闘い [著]朴裕河

帝国の慰安婦―植民地支配と記憶の闘い [著]朴裕河

■根源は家父長制・国民国家体制  いわゆる従軍慰安婦問題をめぐっては、日本軍の関与を強調し、政府の責任を追及する立場と、それを単なる売春であったと見なし、政府の責任を否定する立場とが厳しく対立し、外交関係にまで影を落と………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2014年12月07日
[ジャンル]政治

言論抑圧―矢内原事件の構図 [著]将基面貴巳

言論抑圧―矢内原事件の構図 [著]将基面貴巳

■今も切実、真の愛国心とは何か  東京帝大の矢内原忠雄教授が、雑誌での反戦発言などをめぐって辞職に追い込まれた事件(1937年)は、滝川事件、天皇機関説事件と共に、自由主義的知識人への一連の政治弾圧の一コマとされがちで………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2014年11月02日
[ジャンル]歴史

別荘 [著]ホセ・ドノソ

別荘 [著]ホセ・ドノソ

■終わりなき征服と抵抗の物語  金箔(きんぱく)取引で富を築いた一族は、毎夏、地方の広大な別荘で、使用人たちにかしずかれ、蕩尽(とうじん)を続けた。しかし、その日々は、大人たちが日帰りの(はずの)ハイキングに出たのをき………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2014年09月28日
[ジャンル]文芸

人類が永遠に続くのではないとしたら [著]加藤典洋

人類が永遠に続くのではないとしたら [著]加藤典洋

■欲望と有限性が折り合う思想  私たちはいま、人類そのものの「有限性」を真剣に受けとめるべき時期にさしかかっているのではないか。『敗戦後論』などで、日米の非対称的な関係を分析してきた著者が、この論点を意識するようになっ………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2014年08月31日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

寝そべる建築 [著]鈴木了二

寝そべる建築 [著]鈴木了二

■いまだ廃墟にもなれない原発  詩人・立原道造は、建築家でもあった。早すぎる死ゆえに、建てられたものは何もないが、彼が残したわずかな図面や断片的な建築論には、その後の建築史の展開に逆行する「もう一方の方向性」がひそんで………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2014年08月10日
[ジャンル]社会

谷川雁——永久工作者の言霊 [著]松本輝夫

谷川雁——永久工作者の言霊 [著]松本輝夫

■闘争から教育へ、ひそむ一貫性  筑豊の炭鉱で闘争を組織し、「原点が存在する」「連帯を求めて孤立を恐れず」など、鮮烈な言葉を放った谷川雁。彼の文化活動「サークル村」は、全共闘や石牟礼道子らにも強い影響を及ぼした。  し………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2014年07月13日
[ジャンル]人文 社会

ハンナ・アーレント [著]矢野久美子 / 戦争と政治の間 ハンナ・アーレントの国際関係思想 [著]パトリシア・オーウェンズ

ハンナ・アーレント [著]矢野久美子 / 戦争と政治の間 ハンナ・アーレントの国際関係思想 [著]パトリシア・オーウェンズ

■世界の複数性、思考し続けて  映画でも話題になった政治思想家アーレント。ドイツ哲学に学んだ後、ナチス迫害を逃れてアメリカに亡命した彼女について、簡にして要を得た評伝が出た(『ハンナ・アーレント』)。理論中心の従来のア………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2014年06月01日
[ジャンル]歴史 政治

亡国の安保政策―安倍政権と「積極的平和主義」の罠 [著]柳澤協二

亡国の安保政策―安倍政権と「積極的平和主義」の罠 [著]柳澤協二

■介入を正当化する集団的自衛権  安倍政権が進める憲法の解釈変更。その問題点はどこにあるのか。元防衛官僚で、第1次安倍政権では官邸の中枢にいた著者が、専門的な安全保障論の観点から徹底的に批判を加える。  国連PKO活動………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2014年05月25日
[ジャンル]政治

ジャン=ジャック・ルソーの政治哲学―一般意志・人民主権・共和国 [著]ブリュノ・ベルナルディ

ジャン=ジャック・ルソーの政治哲学―一般意志・人民主権・共和国 [著]ブリュノ・ベルナルディ

■意外なほど現代的な思想家  フランス革命の源流としてのルソー。こうした像を覆す近年の再解釈の中心人物がベルナルディであり、本書は日本での彼の連続講演に基づく。周到なテキスト読解から浮かび上がるのは、意外なほど現代的な………[もっと読む]

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)
[掲載]2014年04月06日
[ジャンル]政治 社会

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