諸富徹(京都大学教授・経済学)の書評

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諸富徹 (京都大学教授・経済学)
もろとみ・とおる。1968年大阪府生まれ。環境税や政策課税の問題などを研究。著書に『環境税の理論と実際』(国際公共経済学会賞、日本地方財政学会佐藤賞など)『地域再生の新戦略』(日本公共政策学会著作賞)『私たちはなぜ税金を納めるのか 租税の経済思想史』など。

認知資本主義―21世紀のポリティカル・エコノミー [編]山本泰三

認知資本主義―21世紀のポリティカル・エコノミー [編]山本泰三

■創造・知・ネットの時代の入門書  世界経済が混迷を深め、その先行きを見通せない不安からか、資本主義の本質を問う出版が相次ぐ。本書もその一つだ。「認知資本主義」とは耳慣れないが、経済を動かす力が、物質的な資産から非物質………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年07月03日
[ジャンル]経済

公害から福島を考える―地域の再生をめざして [著]除本理史

公害から福島を考える―地域の再生をめざして [著]除本理史

 福島第一原発事故では、放射性汚染のために多くの農家が生業を絶たれた。例えば、福島県飯舘村は、工場誘致による地域開発から、地域固有資源を活(い)かした内発型地域振興に舵(かじ)を切っていた。肉用牛の振興によるブランド化を………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年06月26日
[ジャンル]社会

ガルブレイス―アメリカ資本主義との格闘 [著]伊東光晴

ガルブレイス―アメリカ資本主義との格闘 [著]伊東光晴

■現実に挑んだ、本質射抜く言葉  名著『ケインズ』を擁する著者が、20世紀アメリカを代表する経済学者ガルブレイスに取り組み、その思想がもつ現代的意義を見事に浮かび上がらせた。  ガルブレイスは、アメリカ資本主義の批判的………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年06月12日
[ジャンル]経済

時間かせぎの資本主義―いつまで危機を先送りできるか [著]ヴォルフガング・シュトレーク

時間かせぎの資本主義―いつまで危機を先送りできるか [著]ヴォルフガング・シュトレーク

■脅かされる国民福祉と民主主義  資本主義経済の運営がなぜうまく行かないのか。成長率は回復せず、国家債務は増大の一途をたどるばかりだ。各国の中央銀行は競って量的緩和策に乗り出すが、問題の根本治癒に至らない。時間を買って………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年05月22日
[ジャンル]経済

内子座―地域が支える町の劇場の100年 [編著]『内子座』編集委員会

内子座―地域が支える町の劇場の100年 [編著]『内子座』編集委員会

■自治で生んだ宝、自治育む場に  愛媛県の内子町(うちこちょう)民による、町の共有資産に対する愛情に溢(あふ)れた一冊だ。内子座は大正時代に創建された和風様式の劇場である。内子町は幕末から明治にかけて高質な木蝋(もくろ………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年05月08日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 社会

脱原発の哲学 [著]佐藤嘉幸・田口卓臣

脱原発の哲学 [著]佐藤嘉幸・田口卓臣

■構造的差別の連鎖に終止符を  熊本地震で改めて、原発と地震の関係が注目されている。私たちが活断層から免れられない以上、「地震大国日本と原発は共存できるか」という根源的な問いは避けられない。原発を根底から問い直す本書を………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年05月01日
[ジャンル]科学・生物

開発なき成長の限界―現代インドの貧困・格差・社会的分断 [著]アマルティア・セン、ジャン・ドレーズ

開発なき成長の限界―現代インドの貧困・格差・社会的分断 [著]アマルティア・セン、ジャン・ドレーズ

■民主主義が開く貧困層の未来  世界が経済の変調に翻弄(ほんろう)される中、インド経済が好調だ。2015年度成長率はなんと7・6%。いまや中国を上回り、最も急速に成長する国の一つだ。だがその成長の果実は公平に分配され、………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]政治 経済

医療政策を問いなおす [著]島崎謙治/貧困大国ニッポンの課題 [著]橘木俊詔

医療政策を問いなおす [著]島崎謙治/貧困大国ニッポンの課題 [著]橘木俊詔

■「人々の幸福」見据えた改革とは  日本の医療制度が様々な問題を抱えているのは事実だ。他方でそれは、世界で最も成功している医療制度でもある。国際比較に照らしてみれば、日本の医療は国民皆保険のもと、誰もが医療機関にアクセ………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年03月06日
[ジャンル]経済 医学・福祉 社会

アメリカの真の支配者―コーク一族 [著]ダニエル・シュルマン

アメリカの真の支配者―コーク一族 [著]ダニエル・シュルマン

■富豪兄弟、大統領選にも存在感  「コーク兄弟」の名を知ったのは、アメリカで気候変動対策としての「排出量取引制度」導入が挫折した背景に、彼らの巨大な影響力があったと知った時だ。兄弟は、父から引き継いだ事業を巨大ビジネス………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年02月07日
[ジャンル]政治 社会 ノンフィクション・評伝

議会の進化―立憲的民主統治の完成へ [著]ロジャー・D・コングルトン

議会の進化―立憲的民主統治の完成へ [著]ロジャー・D・コングルトン

■「合理的選択」が導く民主化    本書は、王政から議会制民主主義への移行という統治構造の変化に対し、首尾一貫した理論的説明を与える試みである。  本書が採用するのは、「合理的選択」という視点だ。合理的な個人が、利己的………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年01月31日
[ジャンル]政治 社会

限界費用ゼロ社会―〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭 [著]ジェレミー・リフキン

限界費用ゼロ社会―〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭 [著]ジェレミー・リフキン

■所有からシェアへ、変革を予言  社会主義経済体制は崩壊、資本主義にオールタナティブはないと我々は思い込んできた。しかし本書は大胆にも、それが「共有型経済」にとって代わられると予言する。  変化を引き起こすのは、「モノ………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2016年01月17日
[ジャンル]社会

震災復興の政治経済学―津波被災と原発危機の分離と交錯 [著]齊藤誠

震災復興の政治経済学―津波被災と原発危機の分離と交錯 [著]齊藤誠

■費用負担のあり方、鋭く問う  東日本大震災の復興政策の枠組みを根本的に問い直す、優れた著作がついに現れた。高名なマクロ経済学者である著者が、現実と格闘して真実を掴(つか)み出そうとするその姿は感動的ですらあり、引き出………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2015年12月20日
[ジャンル]経済 社会

コトラー 世界都市間競争 [著]フィリップ・コトラー、ミルトン・コトラー 資本主義に希望はある [著]フィリップ・コトラー

コトラー 世界都市間競争 [著]フィリップ・コトラー、ミルトン・コトラー 資本主義に希望はある [著]フィリップ・コトラー

■大都市圏の浮沈、多国籍企業が鍵  「大阪ダブル選挙」が大いに注目を浴びた。だが大阪の抱える、企業と若年人口の東京流出、貧困問題、財政危機といった諸課題は、「二重行政の解消」では簡単に解決できない。真にチャレンジングな………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2015年12月06日
[ジャンル]政治 社会

世界の権力者が寵愛した銀行―タックスヘイブンの秘密を暴露した行員の告白 [著]エルヴェ・ファルチャーニほか

世界の権力者が寵愛した銀行―タックスヘイブンの秘密を暴露した行員の告白 [著]エルヴェ・ファルチャーニほか

■脱税支える巨大銀行との闘い  「事実は小説より奇なり」とは、まさに本書のことを指すのか。これは、世界最大級の銀行HSBCから、約13万人分の機密顧客リストを引き出した元行員の物語だ。各国政府によるHSBCへの訴追、巨………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2015年11月22日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

財務省と政治―「最強官庁」の虚像と実像 [著]清水真人

財務省と政治―「最強官庁」の虚像と実像 [著]清水真人

■官→政 「力」の移行と銀行救済  古代律令制以来の「大蔵省」の金看板を、省庁再編で2001年に降ろした「財務省」。なぜこの省は、長らく「最強官庁」であり続けたのか。あらゆる政策は、予算の裏づけがなければ「形」にならな………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2015年11月08日
[ジャンル]政治 社会 新書

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