市田隆(本社編集委員)の書評

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市田隆 (本社編集委員)
いちだ・たかし。朝日新聞社編集委員。1964年生まれ。読売新聞社を経て2003年入社。11年から特別報道センターで調査報道を担当する編集委員。これまで主に政官業の癒着や金融業界の不祥事をテーマにした取材を担当。

尻尾と心臓 [著]伊井直行

尻尾と心臓 [著]伊井直行

■会社員それぞれの生き方に共感  「企業小説」とも「経済小説」とも違う「会社員小説」だ。仕事での試行錯誤を通じて変容していく会社員の内面にじっと目をこらす本書を読んでいると、「平凡なサラリーマン」ではない姿が浮かび上が………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年06月19日
[ジャンル]文芸

ザ・カルテル(上・下) [著]ドン・ウィンズロウ

ザ・カルテル(上・下) [著]ドン・ウィンズロウ

■麻薬戦争の絶望を映す娯楽小説  メキシコ麻薬戦争を描いた本書は一気読み保証のエンタメ小説だが、その領域だけにとどまらない。読者はメキシコの絶望的状況を直視し、悩むことになる。  麻薬戦争は2006年以降、メキシコ政権………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年06月12日
[ジャンル]文芸

外道クライマー [著]宮城公博

外道クライマー [著]宮城公博

 本書は、谷間の沢筋をたどる「沢登り」に熱中する登山家の手記だ。著者は、「探検的な要素を含んだ」沢登りにこだわり、国内外の秘境に分け入っていく。2012年には立ち入り禁止のご神体「那智の滝」(和歌山県)に登ろうとして警察………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年05月22日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

スポットライト 世紀のスクープ―カトリック教会の大罪 [編]ボストン・グローブ紙《スポットライト》チーム

スポットライト 世紀のスクープ―カトリック教会の大罪 [編]ボストン・グローブ紙《スポットライト》チーム

■しがらみを越え保身の構図暴く  米国の地方新聞「ボストン・グローブ」は2002年1月、地元ボストンで過去10年間にカトリック教会の司祭計70人が児童に性的虐待を行い、教会組織がそれを隠蔽(いんぺい)してきた事実をスク………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年05月08日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

石川啄木 [著]ドナルド・キーン

石川啄木 [著]ドナルド・キーン

■「欲望のまま」生身の歌人の姿  著者は本書をこう書き出す。「石川啄木は、ことによるとこれまでの日本の歌人の中で一番人気があるかもしれない」  「東海の小島の磯の白砂に/われ泣きぬれて/蟹とたはむる」で始まる歌集「一握………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年04月24日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ガラパゴス(上・下) [著]相場英雄

ガラパゴス(上・下) [著]相場英雄

■労働現場の闇えぐるミステリー  日本の労働現場に広がる底知れない闇をのぞき込み、背筋が凍る思いがした社会派ミステリーだった。  警視庁継続捜査班の刑事田川信一は、団地内の一室で見つかり自殺として処理された若い男性の遺………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年04月10日
[ジャンル]文芸

獅子吼(ししく) [著]浅田次郎

獅子吼(ししく) [著]浅田次郎

■過ぎ去った時代の哀切な余韻  ■過ぎ去った時代の哀切な余韻  人情味豊かな著者の最新短編集。高度成長期の若者、戦時の兵士が、それぞれの時代の中で生きる姿には、ほのかな光を帯びた、確かな存在感がある。著者の練達の文章に………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年03月20日
[ジャンル]文芸

ムーンナイト・ダイバー [著]天童荒太

ムーンナイト・ダイバー [著]天童荒太

■「忘れるな」呼びかける海底の光景  東日本大震災から5年。原発事故による避難生活が長引く福島の人々、終わりが見えない原発の後始末、いまだ問題は解決していないのに、日常生活の中で発生当時の感覚が薄れ、記憶の風化が止まら………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年03月06日
[ジャンル]文芸

2時間で走る―フルマラソンの歴史と「サブ2」への挑戦 [著]エド・シーサ

2時間で走る―フルマラソンの歴史と「サブ2」への挑戦 [著]エド・シーサ

■「神の頂」に迫る栄光と苦悩  人間はエベレストに登頂できたが、フルマラソンの記録はいまだ2時間を切れない。その「神の頂」に迫るトップランナーたちの生き様を追ったノンフィクションだ。  マラソン界をリードするのはケニア………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年02月14日
[ジャンル]人文

ウォーク・イン・クローゼット [著]綿矢りさ

ウォーク・イン・クローゼット [著]綿矢りさ

■主人公の内面の起伏に一喜一憂  著者が描く若い世代の物語に、50代中年男の私でも、ついつい引き込まれてしまうのはなぜか。  本書所収の中編2編のうち表題作では、28歳のOL、早希が失恋の心の隙間を埋めるべく、「対男用………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2016年01月10日
[ジャンル]文芸

天国でまた会おう [著]ピエール・ルメートル

天国でまた会おう [著]ピエール・ルメートル

■称えられる戦死者、捨てられる帰還兵  日本で爆発的な人気を博した海外ミステリーの作者が、初めて手がけた文芸作品。フランスで最も権威ある文学賞のゴンクール賞に選ばれた。期待を裏切らない、読者を魅了する豊潤な物語だ。  ………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2015年12月20日
[ジャンル]歴史 文芸

1★9★3★7(イクミナ) [著]辺見庸

1★9★3★7(イクミナ) [著]辺見庸

■おまえなら殺さなかったのか  書名の由来は日中戦争に突入した「1937年」。同年12月に南京大虐殺が起きた。  「おまえなら果たして殺さなかったのか」。著者は、日本兵による殺害、略奪、強姦(ごうかん)があった戦時に立………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2015年12月06日
[ジャンル]歴史 社会

Killers(上・下) [著]堂場瞬一

Killers(上・下) [著]堂場瞬一

■変貌続ける街が生む殺人衝動  大規模再開発が進む今の東京・渋谷。物語は、その一画で時代に取り残された古アパートの一室から老年男性の遺体が発見される場面から始まる。この男性は、東京オリンピック開催前の1961年から続く………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2015年11月15日
[ジャンル]文芸

欧米社会の集団妄想とカルト症候群 [編著]浜本隆志

欧米社会の集団妄想とカルト症候群 [編著]浜本隆志

■悪夢の歴史、いまだ終わらず  人類が犯してきた古今東西の虐殺に関する歴史書を読んだり、ドキュメンタリーを見たりすることに学生時代から関心があった。その非道さに憤り、残酷さに恐怖し、「なぜこんなことになるのか」の問いが………[もっと読む]

[評者]市田隆(本社編集委員)
[掲載]2015年10月18日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

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