逢坂剛(作家)の書評

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逢坂剛 (作家)
1943年東京都生まれ。広告会社勤務のかたわら80年『暗殺者グラナダに死す』(オール読物推理小説新人賞)でデビュー。86年『カディスの赤い星』で直木賞、日本冒険小説協会大賞、日本推理作家協会賞を受賞。他に『百舌の叫ぶ夜』『暗殺者の森』など。フラメンコギター、将棋の愛好家。

白樫の樹の下で [著]青山文平

白樫の樹の下で [著]青山文平

 今年度の、松本清張賞の受賞作である。  小普請組の御家人、村上登は提灯(ちょうちん)貼りの内職で家計を助けながら、佐和山道場で代稽古を務めている。  登は、町人ながら錬尚館で目録を取るろうそく問屋の巳乃介(みのすけ)か………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年07月31日
[ジャンル]文芸

絆回廊―新宿鮫X [著]大沢在昌

絆回廊―新宿鮫X [著]大沢在昌

■終局へ、感情の起伏を繊細に描写  新宿鮫が、5年ぶりに帰ってきた。シリーズ第10作となる。  シリーズものの小説には、読者にとっておなじみの登場人物が、途中はらはらどきどきさせながらも、最後には事件にきちんと決着をつ………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年07月24日
[ジャンル]文芸

別れの時まで [著]蓮見圭一 

別れの時まで [著]蓮見圭一 

■中年男女の恋愛ものが急展開  編集者の松永は、〈家族〉をテーマにした手記の入選者の一人、毛利伊都子と会って心を引かれる。  伊都子は、松永より四つ年下の35歳で、劇団の女優だ。伊都子には9歳の息子がいるが、夫について………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年07月17日
[ジャンル]文芸

38人の沈黙する目撃者 [著]A・M・ローゼンタール

38人の沈黙する目撃者 [著]A・M・ローゼンタール

■無関心の是非を問いかけ  夜中に、近所で悲鳴が聞こえたら、あなたはどうするだろうか。すぐに警察に通報するか、それともふとんをかぶって、知らぬふりをするか。 1964年3月13日の未明、キティ・ジェノヴィーズという娘が………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年07月03日
[ジャンル]社会

昭和天皇とワシントンを結んだ男―「パケナム日記」が語る日本占領 [著]青木冨貴子

昭和天皇とワシントンを結んだ男―「パケナム日記」が語る日本占領 [著]青木冨貴子

  ■講和条約の裏で暗躍、赤裸々に  太平洋戦争史、占領史の主要な史料はほぼ出尽くしたと思ったが、どっこいまだ残っていた。本書の骨格をなすコンプトン・パケナムの日記も、その一つといえよう。  パケナムは日本生まれのイギ………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年06月26日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

PAPA&CAPA―ヘミングウェイとキャパの17年 [著]山口淳

PAPA&CAPA―ヘミングウェイとキャパの17年 [著]山口淳

■けんかしては仲直りする2人  作家ヘミングウェイと従軍カメラマンのキャパは、スペイン内戦を通じて、親しい友人になった。著者は2人の交流に焦点を絞って、さまざまな資料を渉猟し、本書を書き上げた。子供っぽい理由で二度も三………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年06月12日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

夫の彼女 [著]垣谷美雨

夫の彼女 [著]垣谷美雨

■体が入れ替わる主婦と派遣社員  人物が入れ替わる〈if〉ものは、小説、映画とも珍しくないが、本書もその一つ。 人妻が、夫の浮気の相手と話をつけようと、やり合っている最中に魔法使いが現れ、「相手の立場になってみろ」とば………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年06月05日
[ジャンル]文芸

仔羊の頭 [著]フランシスコ・アヤラ

仔羊の頭 [著]フランシスコ・アヤラ

■スペイン内戦の悲惨、鋭く描く  スペイン内戦がらみの小説は、ヘミングウェイやマルローが傑作を書いたが、当のスペイン作家の作品は政治的な事情もあってか、きわめて少ない。その、珍しい例の一つが本書、アヤラの5作からなる中………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年05月29日
[ジャンル]文芸 国際

天魔ゆく空 [著]真保裕一

天魔ゆく空 [著]真保裕一

戦国時代の隠れた一面を照射  江戸川乱歩賞作家の手になる、戦国時代小説の第二弾である。江戸時代に比べて、この時代は信頼すべき文献史料が少なく、考証的にもめんどうといわれるが、常に未開の土地の開墾に挑戦する、著者らしい選………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年05月15日
[ジャンル]文芸

諜報の天才 杉原千畝― [著]白石仁章

諜報の天才 杉原千畝― [著]白石仁章

■情報収集と分析に優れた才能  1990年代のある時期、第2次大戦中にユダヤ人を救ったことで知られる、外交官の杉原千畝にまつわる本が、続々と刊行された。その数の多さに、いささか辟易(へきえき)した覚えがある。すべてを読………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年04月24日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

錯覚の科学 [著]C・チャブリス、D・シモンズ

錯覚の科学 [著]C・チャブリス、D・シモンズ

■日常生活にあふれる思い込み  著者は2人とも心理学者だが、本書は専門用語を極力避け、平易な表現を心がけているので、非常に読みやすい。  人は日常生活の中で、さまざまな錯覚に陥り、しばしば愚かな行為に走ったり、みずから………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年04月17日
[ジャンル]人文

ギターと出会った日本人たち―近代日本の西洋音楽受容史 [著]竹内貴久雄

ギターと出会った日本人たち―近代日本の西洋音楽受容史 [著]竹内貴久雄

■草創期の隠れた業績を再構築  大衆楽器といわれるわりに、ギターはピアノやバイオリンに比べて、関連文献や研究書が極端に少ない。ギタリストの伝記もめったになく、自伝にいたっては若き日のセゴビアのもの、日本では小原安正のも………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年03月27日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

ブーベ氏の埋葬 [著]ジョルジュ・シムノン

ブーベ氏の埋葬 [著]ジョルジュ・シムノン

■古き良きパリの風俗人情を活写  これは、メグレ警視シリーズ以外の、シムノンの普通小説の一つである。とはいえ、シムノンらしく事件があり、捜査も謎解きもあるので、ミステリーとして読んでも不都合はない。  この作品の主人公………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年02月27日
[ジャンル]文芸

漂流―本から本へ [著]筒井康隆

漂流―本から本へ [著]筒井康隆

■膨大な読書量が広げた精神世界  まれに例外もあるが、作家のほとんどは子供のころから、膨大な量の本を読んで育つのが普通、と理解していた。  それでもなお、本書の著者の読書歴に接すると、その幅の広さと奥行きの深さに、圧倒………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年02月20日
[ジャンル]文芸

下町ロケット [著]池井戸潤

下町ロケット [著]池井戸潤

■大企業と対決、職人集団の誇り  同じ著者による、昨年の吉川英治文学新人賞受賞作『鉄の骨』の系列につながる、中小企業と大企業の対決をテーマにした痛快小説である。  東京都大田区の町工場、佃製作所の社長佃航平は、元宇宙科………[もっと読む]

[評者]逢坂剛(作家)
[掲載]2011年02月06日
[ジャンル]文芸 経済

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