斎藤美奈子(文芸評論家)の書評

写真:斎藤美奈子さん

斎藤美奈子 (文芸評論家)
1956年新潟県生まれ。文芸評論家。編集者を経て94年『妊娠小説』でデビュー。他に『紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』『モダンガール論』『文章読本さん江』(小林秀雄賞)『麗しき男性誌』『物は言いよう』『それってどうなの主義』など。

犬身 [著]松浦理英子 

犬身 [著]松浦理英子 

■大の犬好きが犬になってみたら…  寡作で知られる松浦理英子の待望の新作である。『裏ヴァージョン』から7年、『親指Pの修業時代』から数えれば14年。もー長かったよ。だけど待っててよかったよ。  こんなとき、犬だったらど………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年11月04日
[ジャンル]文芸

暴走老人! [著]藤原智美

暴走老人! [著]藤原智美

■丸くならない「新老人」を生んだのは  巷(ちまた)ですでに話題沸騰寸前の本である。『暴走老人!』。作家の藤原智美さんによる、「新タイプの老人」考だ。  人は歳(とし)とともに成熟し、分別を身につけて丸くなる——そんな………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年10月14日
[ジャンル]文芸 社会

生のあやうさ―哀悼と暴力の政治学 [著]J・バトラー

生のあやうさ―哀悼と暴力の政治学 [著]J・バトラー

■「9・11以後」の国家の暴力を問う  「9・11以後」はいまや世界を、政治を語るときの欠かせないキー概念になってしまった感がある。現代思想も例外ではなく、というか思想界にこそ、それは衝撃を与えたのかもしれない。日本語………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年10月07日
[ジャンル]政治 人文

ハル、ハル、ハル 古川日出男著 マジやばいっすよ、この小説は

ハル、ハル、ハル 古川日出男著 マジやばいっすよ、この小説は

 きみはもう読んだ? 『ハル、ハル、ハル』。マジやばいっすよ、この小説は。読むとテンションの高さがうつるからね。あと口調も。本を読みながら息がハアハア上がるって、あんまりない体験だと思うんだけど、この小説は呼吸と脈拍に………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年09月16日
[ジャンル]文芸

未来への経済論 映画で読み解く私たちの行方 小村智宏著

未来への経済論 映画で読み解く私たちの行方 小村智宏著

 「エデンの東」にみる分業の本質とは  経済のしくみって、みんな絶対知っておいたほうがいいと思うのね。でも、中高生にもわかる良質な入門書ってなかなかない。吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波文庫)や伊東光晴『君たち………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年09月09日
[ジャンル]経済 アート・ファッション・芸能

とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起 伊藤比呂美著 女友達から届く手紙のような長篇詩

とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起 伊藤比呂美著 女友達から届く手紙のような長篇詩

 伊藤比呂美の本には、詩でもエッセーでも小説でも対談でも、遠く離れた場所にいる女友達から来た、直近の消息と心境を知らせる手紙みたいな効用がある。細かい事情はわからなくても、本を通して彼女の近況を気にしてきた読者は日本中………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年08月05日
[ジャンル]文芸

いい子は家で 青木淳悟著 変身もあり、ヘンテコな家族の日常

いい子は家で 青木淳悟著 変身もあり、ヘンテコな家族の日常

 一昨年、初の小説集『四十日と四十夜のメルヘン』(新潮社)で「すげえ新人が登場した!」と読書界を震撼(しんかん)(または当惑)させた青木淳悟の第2作品集はとびきりヘンテコリンな家族小説だった。  今般の文学界は家族の小………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年07月22日
[ジャンル]文芸

言語学者が政治家を丸裸にする 東照二著 人心も選挙も制す、言葉の力を分析

言語学者が政治家を丸裸にする 東照二著 人心も選挙も制す、言葉の力を分析

 不見識な発言で、先日も閣僚が辞任したばかり。政治家の発言が軽くなっていませんか、と思っている人は多いことだろう。政治家のスピーチには辟易(へきえき)、と思っている人も大勢いるにちがいない。  私もその口だけれども、で………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年07月08日
[ジャンル]政治 人文

フランスから見る日本ジェンダー史 棚沢直子・中嶋公子編

フランスから見る日本ジェンダー史 棚沢直子・中嶋公子編

 曖昧な共犯関係を相対化  学問や思想っていうものは、だいたい西欧の理論の上に成り立っている場合が多い。ジェンダー論もご多分にもれずである。しかし歴史や文化が異なれば、男女や家族の関係にズレがあるのは当然だろう。  1………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年06月24日
[ジャンル]人文

私たちは本当に自然が好きか 塚本正司著 文化から問う「みどり」の百科全書

私たちは本当に自然が好きか 塚本正司著 文化から問う「みどり」の百科全書

 「自然好き」を自任する人は多いと思うけれども、はたして私たち日本人が真に「自然好き」かとなると、じつは甚だあやしいのである。  証拠はいくらだってある。思い出してみてほしい。あなたの住まいの近隣で、近年どれほどの樹木………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年06月17日

コップとコッペパンとペン 福永信著 時間感覚と予定調和を攪乱の醍醐味

コップとコッペパンとペン 福永信著 時間感覚と予定調和を攪乱の醍醐味

 福永信を読むとは、稀有(けう)な読書体験をするってことだ。  実際彼は、小説を現代アートの一種と思っている節さえあり、『アクロバット前夜』では横書きに印刷された文章がページをまたいで延々と右に続いていく造本で読者をコ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年05月27日
[ジャンル]文芸

美術館の政治学 [著]暮沢剛巳

美術館の政治学 [著]暮沢剛巳

■日本独自のあり方と歩み改めて認識  たまたま入った美術館で現代アートの企画展などに遭遇し、ふと感じる「しまった」という気分。著者いわく。  〈確かに「現代美術」の多くは一般的なポピュラリティに乏しく、また作品鑑賞にあ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年05月20日
[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

わたしたちに許された特別な時間の終わり 岡田利規著

わたしたちに許された特別な時間の終わり 岡田利規著

 ラブホ4連泊の「青春」とイラク戦争  若手の演劇人が虎視眈々(こしたんたん)といい小説を書いてるんだよねという印象を私は最近もっている。宮沢章夫や松尾スズキがそうであったように、前田司郎も本谷有希子も、戯曲と小説、両………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年04月22日
[ジャンル]文芸

我、自衛隊を愛す―故に、憲法9条を守る [著]小池清彦・竹岡勝美・箕輪登

我、自衛隊を愛す―故に、憲法9条を守る [著]小池清彦・竹岡勝美・箕輪登

■血を流す立場からの選択は  護憲派の中には自衛隊の存在そのものを認めない人も多い。しかし、憲法9条の改定で直接的な影響を被るのは自衛隊。現実的に血を流すのも自衛隊員だ。内部の人たちは9条をどう見ているのだろうか。  ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年03月25日
[ジャンル]人文

ひとり日和 [著]青山七恵

ひとり日和 [著]青山七恵

■自立の物語、鉄道と駅を舞台装置に  今期芥川賞受賞作である。いろんな感想を私も聞きました。「絶賛されていたけど、どこがいいわけ?」「女の子の自立の物語なんだろうけどなんか薄味」。そして若い女性作家に必ずついて回る「こ………[もっと読む]

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)
[掲載]2007年03月11日
[ジャンル]文芸

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