柄谷行人(哲学者)の書評

写真:柄谷行人さん

柄谷行人 (哲学者)
1941年兵庫県生まれ。著書に『漱石詩論』(群像新人文学賞)『マルクスその可能性の中心』(亀井勝一郎賞)『坂口安吾と中上健次』(伊藤整文学賞)『日本近代文学の起源』『隠喩としての建築』『トランスクリティーク』『ネーションと美学』『歴史と反復』『世界史の構造』など。

量子の社会哲学―革命は過去を救うと猫が言う [著]大澤真幸

量子の社会哲学―革命は過去を救うと猫が言う [著]大澤真幸

■異質なものの遭遇、新たな意味へ  量子力学以前の物理学では、観察者を超えた、超越的な視点あるいは超越的な何かが仮定されてきた。たとえば、相対性理論も光速を一定と仮定することで成り立っている。ところが、量子力学がもたら………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年11月21日
[ジャンル]科学・生物 社会

仏教と西洋の出会い [著]フレデリック・ルノワール

仏教と西洋の出会い [著]フレデリック・ルノワール

■チベットへの憧れ、「鏡」としての歴史     本書は、仏教が西洋においていかに受容されてきたかを古代・中世から包括的に考察するものである。その場合著者は、西洋人は仏教の理解を通して、実際は、自らの問題を表現してきただ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年10月24日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

古代ローマ人の24時間―よみがえる帝都ローマの民衆生活 [著]アルベルト・アンジェラ

古代ローマ人の24時間―よみがえる帝都ローマの民衆生活 [著]アルベルト・アンジェラ

■一日を再現、積年の疑問解けた  本書は、古代ローマ最盛期の社会を、一人の人物(語り手)の一日の経験として描くものだ。もちろん、フィクションであるが、細部に関しては最新の史料にもとづいている。私は古代ローマの政治や経済………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年10月10日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

反米の系譜学 近代思想の中のアメリカ [著]ジェームズ・W・シーザー

反米の系譜学 近代思想の中のアメリカ [著]ジェームズ・W・シーザー

■■18世紀欧州に発する「否定」を批判  今日世界のいたるところに「反米」の風潮がある。本書はその原因を現代の世界状況に見るかわりに、反米という観念の源泉に遡(さかのぼ)って考える。いいかえれば、否定的なシンボルとして………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年08月29日
[ジャンル]人文 国際

宗教とは何か [著]テリー・イーグルトン 

宗教とは何か [著]テリー・イーグルトン 

■「神学」の復活、宗教批判を批判  本書は、イギリスのマルクス主義者・文芸批評家として知られる著者が書いた宗教論である。著者はつぎのようにいう。《およそ似つかわしくない人たち(わたし自身もそのひとり)が、なぜ、突如とし………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年08月08日
[ジャンル]人文

日本人と参勤交代 [著]コンスタンチン・ヴァポリス 

日本人と参勤交代 [著]コンスタンチン・ヴァポリス 

■地方と中央の相互交流  参勤交代といえば、「下にい、下にい」というかけ声とともにゆっくりと進む壮麗な大名行列で知られているが、それは、たとえば土佐藩の場合、四国山脈の高地を越えるような、長い苦しい旅であった。また、移………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年07月18日
[ジャンル]歴史

絆と権力ーガルシア=マルケスとカストロ [著]アンヘル・エステバン、ステファニー・パニチェリ

絆と権力ーガルシア=マルケスとカストロ [著]アンヘル・エステバン、ステファニー・パニチェリ

■文学と革命の「友情」、意味があった80年代  1982年ノーベル文学賞を受賞したガルシア=マルケスの名声は、スペイン語圏はいうまでもなく、世界中に広がった。“マジック・リアリズム”と呼ばれたその作風が、近代文学(リア………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年06月20日
[ジャンル]政治 ノンフィクション・評伝 国際

ユダヤ人の起源 [著]シュロモー・サンド /トーラーの名において [著]ヤコヴ・M・ラブキン

ユダヤ人の起源 [著]シュロモー・サンド /トーラーの名において [著]ヤコヴ・M・ラブキン

■内部から公然とシオニズム批判  ユダヤ教徒は、長く離散の状態にあって、約束の地、シオン(エルサレム)に帰還する時を待ち望んできた。しかし、帰還のために実際に何かをしたわけではない。そうすることは神の意志を先取ることだ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年05月16日
[ジャンル]歴史 政治 国際

アマゾン文明の研究ー古代人はいかにして自然との共生をなし遂げたのか [著]実松克義

アマゾン文明の研究ー古代人はいかにして自然との共生をなし遂げたのか [著]実松克義

■「未開」通念を根本的にくつがえす  数年前に「秘境アマゾン巨大文明」と題したテレビの報道番組が話題になった。それは、日本とボリビア合同チームによる調査で、アマゾン上流にあるモホス大平原に、大規模な農業と都市のあとを見………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年04月18日
[ジャンル]歴史 人文 科学・生物

パララックス・ヴュー [著]スラヴォイ・ジジェク

パララックス・ヴュー [著]スラヴォイ・ジジェク

■「視差」戦略的に全面的に再編成  カントは『純粋理性批判』で、たとえば、「世界には始まりがある」というテーゼと「始まりがない」というアンチテーゼが共に成立することを示した。それはアンチノミー(二律背反)を通してものを………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年03月07日
[ジャンル]人文

天使はなぜ堕落するのか―中世哲学の興亡 [著]八木雄二

天使はなぜ堕落するのか―中世哲学の興亡 [著]八木雄二

■「神の存在証明」必要だった理由  ヨーロッパの中世哲学の一流のレベルから見れば、デカルトの『省察』は大学生の卒論程度だ、と著者は「あとがき」に書いている。私はこの大言壮語にあきれて本書を読み始めたのだが、読み終わると………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年02月07日
[ジャンル]歴史 人文

精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本 [著]大熊一夫

精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本 [著]大熊一夫

■「地域精神保健」という試み  著者は元新聞記者で、1970年にアルコール依存症を装って精神病院の鉄格子の中に入り、その体験を朝日新聞に「ルポ・精神病棟」として連載した。それは地獄のような世界であった。その後も著者は、………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2009年12月13日
[ジャンル]医学・福祉 社会 ノンフィクション・評伝

ドゥルーズとガタリ-交差的評伝 [著]フランソワ・ドス

ドゥルーズとガタリ-交差的評伝 [著]フランソワ・ドス

■対照的な2人 思想史の事件  フランスの現代思想は1960年代から世界中に影響を与えた。構造主義者やポスト構造主義者と呼ばれる、大勢の思想家の中で、最もユニークなのは、ドゥルーズとガタリであった。それは、彼らがたんに………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2009年11月08日
[ジャンル]歴史 人文 ノンフィクション・評伝

印象派はこうして世界を征服した [著]フィリップ・フック

印象派はこうして世界を征服した [著]フィリップ・フック

■登場の初めから美術市場が前提  1980年代後半の日本に、フランス印象派絵画を買い集めるブームがあった。その中でも有名なのは、一人の日本人がゴッホの絵画をオークション史上最高の価格で落札した事件である。それは大昭和製………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2009年09月27日
[ジャンル]経済 アート・ファッション・芸能

オスマン帝国はなぜ崩壊したのか [著]新井政美

オスマン帝国はなぜ崩壊したのか [著]新井政美

■西洋への分裂した対応、日本でも  1990年以後、旧ユーゴスラビアやイスラム圏で噴出する問題を考えると、かつてそれらを統合していたオスマン帝国(1299〜1922年)に行き着く。オスマン帝国は、アナトリア地域にトルコ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2009年09月06日
[ジャンル]歴史

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