■「普遍」と「特殊」、二つの観点交差 著者は私が最も信頼する現代中国の思想家である。魯迅研究者として出発した著者は、天安門事件で弾圧された後、より広い領域に踏み入った。しかし、ある意味で、彼はより魯迅的な道を歩んでい………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2011年03月06日
[ジャンル]歴史 人文 国際
■相互扶助の出現、無法状態でなく 大災害が起きると、秩序の不在によって暴動、略奪、レイプなどが生じるという見方が一般にある。しかし、実際には、災害のあと、被害者の間にすぐに相互扶助的な共同体が形成される。著者はその例………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2011年02月06日
[ジャンル]社会
■胸の底に流れる、定住以前の記憶 私はこの作品に、久しく小説に対して抱いたことのない興味を覚えた。一見すると、これは、キルギスや内モンゴルへの観光旅行記である。とりたてて事件はないし、物語性もない。淡々たる記述の流れ………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2011年01月09日
[ジャンル]文芸 国際
■異質なものの遭遇、新たな意味へ 量子力学以前の物理学では、観察者を超えた、超越的な視点あるいは超越的な何かが仮定されてきた。たとえば、相対性理論も光速を一定と仮定することで成り立っている。ところが、量子力学がもたら………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年11月21日
[ジャンル]科学・生物 社会
■チベットへの憧れ、「鏡」としての歴史 本書は、仏教が西洋においていかに受容されてきたかを古代・中世から包括的に考察するものである。その場合著者は、西洋人は仏教の理解を通して、実際は、自らの問題を表現してきただ………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年10月24日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝
■一日を再現、積年の疑問解けた 本書は、古代ローマ最盛期の社会を、一人の人物(語り手)の一日の経験として描くものだ。もちろん、フィクションであるが、細部に関しては最新の史料にもとづいている。私は古代ローマの政治や経済………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年10月10日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝
■■18世紀欧州に発する「否定」を批判 今日世界のいたるところに「反米」の風潮がある。本書はその原因を現代の世界状況に見るかわりに、反米という観念の源泉に遡(さかのぼ)って考える。いいかえれば、否定的なシンボルとして………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年08月29日
[ジャンル]人文 国際
■「神学」の復活、宗教批判を批判 本書は、イギリスのマルクス主義者・文芸批評家として知られる著者が書いた宗教論である。著者はつぎのようにいう。《およそ似つかわしくない人たち(わたし自身もそのひとり)が、なぜ、突如とし………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年08月08日
[ジャンル]人文
■地方と中央の相互交流 参勤交代といえば、「下にい、下にい」というかけ声とともにゆっくりと進む壮麗な大名行列で知られているが、それは、たとえば土佐藩の場合、四国山脈の高地を越えるような、長い苦しい旅であった。また、移………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年07月18日
[ジャンル]歴史
■文学と革命の「友情」、意味があった80年代 1982年ノーベル文学賞を受賞したガルシア=マルケスの名声は、スペイン語圏はいうまでもなく、世界中に広がった。“マジック・リアリズム”と呼ばれたその作風が、近代文学(リア………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年06月20日
[ジャンル]政治 ノンフィクション・評伝 国際
■内部から公然とシオニズム批判 ユダヤ教徒は、長く離散の状態にあって、約束の地、シオン(エルサレム)に帰還する時を待ち望んできた。しかし、帰還のために実際に何かをしたわけではない。そうすることは神の意志を先取ることだ………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年05月16日
[ジャンル]歴史 政治 国際
■「未開」通念を根本的にくつがえす 数年前に「秘境アマゾン巨大文明」と題したテレビの報道番組が話題になった。それは、日本とボリビア合同チームによる調査で、アマゾン上流にあるモホス大平原に、大規模な農業と都市のあとを見………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年04月18日
[ジャンル]歴史 人文 科学・生物
■「視差」戦略的に全面的に再編成 カントは『純粋理性批判』で、たとえば、「世界には始まりがある」というテーゼと「始まりがない」というアンチテーゼが共に成立することを示した。それはアンチノミー(二律背反)を通してものを………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年03月07日
[ジャンル]人文
■「神の存在証明」必要だった理由 ヨーロッパの中世哲学の一流のレベルから見れば、デカルトの『省察』は大学生の卒論程度だ、と著者は「あとがき」に書いている。私はこの大言壮語にあきれて本書を読み始めたのだが、読み終わると………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2010年02月07日
[ジャンル]歴史 人文
■「地域精神保健」という試み 著者は元新聞記者で、1970年にアルコール依存症を装って精神病院の鉄格子の中に入り、その体験を朝日新聞に「ルポ・精神病棟」として連載した。それは地獄のような世界であった。その後も著者は、………[もっと読む]
[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2009年12月13日
[ジャンル]医学・福祉 社会 ノンフィクション・評伝
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広告終わり
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