保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

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保阪正康 (ノンフィクション作家)
1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

玉砕の島々―サイパン・グアム・ペリリュー・硫黄島 [著]平塚柾緒

玉砕の島々―サイパン・グアム・ペリリュー・硫黄島 [著]平塚柾緒

■歪んだ戦いの内実を誠実に記述  3年8カ月余続いた太平洋戦争で、特攻作戦や玉砕は軍事的責任が問われる戦術である。玉砕は最後の一人まで戦うとの戦闘行為だが、1943年5月のアッツ島玉砕を始まりとして、日本軍はなんどかこ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年03月15日
[ジャンル]歴史

過剰診断—健康診断があなたを病気にする [著]H・ギルバート・ウェルチ、リサ・M・シュワルツ、スティーヴン・ウォロシン

過剰診断—健康診断があなたを病気にする [著]H・ギルバート・ウェルチ、リサ・M・シュワルツ、スティーヴン・ウォロシン

■生命観なく医療現場が肥大化  本書は過剰診断を、「決して症状が出たり、そのために死んだりしない人を、病気であると診断すること」と定義づける。ところが、この過剰診断が現代医療の場でどれほど行われているのか、実態はなかな………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年03月01日
[ジャンル]医学・福祉

零戦の子―伝説の猛将・亀井凱夫とその兄弟 [著]武田頼政

零戦の子―伝説の猛将・亀井凱夫とその兄弟 [著]武田頼政

■三者三様の昭和史を丹念に追う  昭和初年代から10年代に各様の生き方をした兄弟伝である。長男の亀井貫一郎は外務官僚から無産運動に転じて政治家に、次男の凱夫(よしお)は海軍軍人になり零戦のパイロットとして歴戦の勇士に、………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年02月22日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ジョン・レディ・ブラック―近代日本ジャーナリズムの先駆者 [著]奥武則

ジョン・レディ・ブラック―近代日本ジャーナリズムの先駆者 [著]奥武則

■日本語新聞を創刊した英国人  本書を読み進むうちに、ジョン・レディ・ブラックという英国人の生き方に強い共感がわいてくる。ジャーナリズム史研究者はこの新聞人の名を知るだろうが、一般にはほとんど知られていない。  しかし………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年01月18日
[ジャンル]政治 社会

「戦場体験」を受け継ぐということ―ビルマルートの拉孟全滅戦の生存者を尋ね歩いて [著]遠藤美幸

「戦場体験」を受け継ぐということ―ビルマルートの拉孟全滅戦の生存者を尋ね歩いて [著]遠藤美幸

■兵士の体験を丹念に聞きとる  1944年6月、拉孟(らもう)(中国雲南地方の要衝)の日本軍守備隊1300人と中国の正規軍4万人余との間で、100日間に及ぶ攻防戦が始まった。守備隊は9月に全滅した。  その苛酷(かこく………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年01月11日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

本があって猫がいる [著]出久根達郎

本があって猫がいる [著]出久根達郎

■社会の一点に据えた視点に華  本書に、「龍馬の梅干」という短文が収められている。著者は、麺にも梅干を入れる極端な梅干好きだが、それを聞いた友人が土蔵から壺(つぼ)に入った天保6年の梅干が出てきたと届ける。坂本龍馬誕生………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年12月07日
[ジャンル]文芸

伊藤熹朔 舞台美術の巨人 [編]俳優座劇場

伊藤熹朔 舞台美術の巨人 [編]俳優座劇場

■職人芸に終わらず理論を確立  伊藤熹朔が逝ってから47年である。その職業名は、(1)舞台装置家(2)セットデザイナー(3)ステージデザイナー(4)舞台美術家というのだが、今では(5)セノグラファーと呼称するそうだ。ど………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年11月30日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

フランクリン・ローズヴェルト(上・下) [著]ドリス・カーンズ・グッドウィン

フランクリン・ローズヴェルト(上・下) [著]ドリス・カーンズ・グッドウィン

■アメリカの苦難、夫妻で乗り越え  本書によれば、フランクリン・ローズヴェルト元大統領とエレノア夫人は、アメリカの苦難の時期を乗り越えた同志であり、戦友といった関係のようだ。ジャーナリストのジョン・ガンサーがエレノアに………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年11月23日
[ジャンル]歴史 政治

シャボン玉 日本—迷走の過ち、再び [著]野坂昭如

シャボン玉 日本—迷走の過ち、再び [著]野坂昭如

■過ぎしことすべて我の血肉なり  「戦後70年」を目前にして、あの戦争は着実に同時代史から歴史にと移行している。軍事が描きだしたあれこれの光景は老作家の脳裏に沈殿している。  その光景をなぞりながら、今を浮きぼりにする………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年11月16日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

上野英信・萬人一人坑—筑豊のかたほとりから [著]河内美穂

上野英信・萬人一人坑—筑豊のかたほとりから [著]河内美穂

■庶民を記録した文筆家を追う  ルポルタージュ作家、あるいは記録作家として、上野英信は幾つかの秀(すぐ)れた作品を残している。爆弾三勇士に関わる論説、ドキュメントは、昭和史の中に貴重な視点を示した。本書では、「歴史上の………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年10月19日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

スターリン―「非道の独裁者」の実像 [著]横手慎二

スターリン―「非道の独裁者」の実像 [著]横手慎二

■20世紀はどんな時代だったのか  20世紀のある時期に誕生し、70年余の生命を保ち、そして崩壊したソ連の社会主義政権。その前半期を担ったのがスターリンである。彼の没後、指導部の一員だったフルシチョフは、「粗暴、大粛清………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年10月12日

民族浄化のヨーロッパ史——憎しみの連鎖の20世紀 [著]ノーマン・M・ナイマーク

民族浄化のヨーロッパ史——憎しみの連鎖の20世紀 [著]ノーマン・M・ナイマーク

■理性崩壊後の教訓を自らに課す  「民族浄化」という語は、1992年5月のボスニア戦争の初期から使われ、そしてユーゴ内戦とともに国際法上の犯罪と同一化された。「常に暴力」を伴い、「人類の生命にかなりの損害を与え」「戦争………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年10月05日
[ジャンル]歴史

「肌色」の憂鬱―近代日本の人種体験 [著]眞嶋亜有

「肌色」の憂鬱―近代日本の人種体験 [著]眞嶋亜有

■外面を通して創造した「近代」  本書にはしばしば、「(近代日本の)エリート層」という語が登場する。たとえば「日本人の背丈や体格、容貌(ようぼう)や肌の色を醜悪視する傾向は、その後(注・日露戦争後)、エリート層のあいだ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年09月28日
[ジャンル]人文

炎を越えて―新宿西口バス放火事件後三十四年の軌跡 [著]杉原美津子

炎を越えて―新宿西口バス放火事件後三十四年の軌跡 [著]杉原美津子

■「被害者」ではない人生描きだす  1980年8月の新宿駅西口バス放火事件。加害者Mは「世間に対して恨みや憤りの感情を持ったことが主たる要因」(判決文)で、停車中のバス車内にガソリンを撒(ま)き、火をつけた。6人が死亡………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年09月21日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

戦後責任 アジアのまなざしに応えて [著]内海愛子・大沼保昭・田中宏・加藤陽子

戦後責任 アジアのまなざしに応えて [著]内海愛子・大沼保昭・田中宏・加藤陽子

■戦争の「罪禍清算」の葛藤史  「戦後責任」という語は、大沼保昭が1980年代から継続的に用いて定着したのだが、当の大沼によればこの語は50年代前半にキリスト者が、続いて武井昭夫と吉本隆明が文学者の戦争責任について論じ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年08月10日
[ジャンル]歴史 社会

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