保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

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保阪正康 (ノンフィクション作家)
ほさか・まさやす。1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

不確かな正義―BC級戦犯裁判の軌跡 [著]戸谷由麻

不確かな正義―BC級戦犯裁判の軌跡 [著]戸谷由麻

■法守らず責任回避の実態を分析  各国が行ったBC級戦犯裁判の資料を精読し、それにもとづいての見解を英書として刊行、その後日本語訳として世に問うた。米英豪比など各国の資料が、太平洋戦争下の日本軍将兵の非人道的実態をどの………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年08月16日
[ジャンル]歴史

アウシュヴィッツを志願した男 ポーランド軍大尉、ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ [著]小林公二

アウシュヴィッツを志願した男 ポーランド軍大尉、ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ [著]小林公二

■権力の非人間性、捨て身で証明  著者によれば、アウシュヴィッツ収容所がポーランド南部に設けられたのが1940年6月。45年1月に連合国軍に解放されるまでに110万人がここで殺害された。生き残った収容者はわずか7千人。………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年08月02日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

遺骨 [著]栗原俊雄・原爆供養塔 [著]堀川惠子

遺骨 [著]栗原俊雄・原爆供養塔 [著]堀川惠子

■無言で語りかける、戦争の愚  両書とも「戦没者遺骨は帝国の負の遺産」という視点の書である。栗原書は新聞記者の目で遺骨の戦後史を追う。堀川書は、広島の原爆供養塔にただ一人通い、遺骨の霊をねぎらい、遺骨を遺族に返すべく奔………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年07月19日
[ジャンル]歴史 社会

九州大学生体解剖事件 七〇年目の真実 [著] 熊野以素

九州大学生体解剖事件 七〇年目の真実 [著] 熊野以素

■人の弱さを追い、医の倫理示す  九州大学生体解剖事件は、戦時下に米軍捕虜8人を生きたまま解剖した非人道的な所業で、医学の原点を問う犯罪行為だった。これまで著名作家による小説、ノンフィクションがあったが、本書は関係医師………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年07月05日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

ルワンダ・ジェノサイド 生存者の証言―憎しみから赦しと和解へ [著]ジョセフ・セバレンジ、ラウラ・アン・ムラネ

ルワンダ・ジェノサイド 生存者の証言―憎しみから赦しと和解へ [著]ジョセフ・セバレンジ、ラウラ・アン・ムラネ

■赦しあえた時、次世代の平和が  ルワンダのジェノサイドは1960年前後を端緒としているが、報道では知り得るものの内部からの被害者の声についてはまったく知る機会がなかった。本書はツチの一族の被害の実態をつぶさに語った書………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年06月07日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

「衝動」に支配される世界―我慢しない消費者が社会を食いつくす [著]ポール・ロバーツ [訳]東方雅美

「衝動」に支配される世界―我慢しない消費者が社会を食いつくす [著]ポール・ロバーツ [訳]東方雅美

■直感的で配慮のない社会を裁断  現代文明論というべき書である。「インパルス・ソサエティ(衝動に支配される社会)」という語を剣として「社会経済システム全体が自己破壊に向かっている様子」を裁断している。  「欲しい」とい………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年05月24日
[ジャンル]政治 経済 社会

帰還兵はなぜ自殺するのか [著]デイヴィッド・フィンケル

帰還兵はなぜ自殺するのか [著]デイヴィッド・フィンケル

■戦闘ストレスの悲劇、鮮烈に  アフガニスタンとイラクに派兵された米軍兵士は約200万人、そのうち50万人はPTSD(心的外傷後ストレス障害)とTBI(外傷性脳損傷)に悩まされている。派兵前は善良な市民だったのに一転し………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年04月26日
[ジャンル]社会

エノケンと菊谷栄—昭和精神史の匿れた水脈 [著]山口昌男

エノケンと菊谷栄—昭和精神史の匿れた水脈 [著]山口昌男

■喜劇王と座付き作者の浅草  長年、故人が思いをこめて書いた稿を、編集者が形を整えて刊行した書である。文化人類学者の著者は、たまたまエノケン(榎本健一)に菊谷栄という座付き作者がいると聞き、それが執筆の動機であったとい………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年04月19日
[ジャンル]人文 社会

玉砕の島々―サイパン・グアム・ペリリュー・硫黄島 [著]平塚柾緒

玉砕の島々―サイパン・グアム・ペリリュー・硫黄島 [著]平塚柾緒

■歪んだ戦いの内実を誠実に記述  3年8カ月余続いた太平洋戦争で、特攻作戦や玉砕は軍事的責任が問われる戦術である。玉砕は最後の一人まで戦うとの戦闘行為だが、1943年5月のアッツ島玉砕を始まりとして、日本軍はなんどかこ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年03月15日
[ジャンル]歴史

過剰診断—健康診断があなたを病気にする [著]H・ギルバート・ウェルチ、リサ・M・シュワルツ、スティーヴン・ウォロシン

過剰診断—健康診断があなたを病気にする [著]H・ギルバート・ウェルチ、リサ・M・シュワルツ、スティーヴン・ウォロシン

■生命観なく医療現場が肥大化  本書は過剰診断を、「決して症状が出たり、そのために死んだりしない人を、病気であると診断すること」と定義づける。ところが、この過剰診断が現代医療の場でどれほど行われているのか、実態はなかな………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年03月01日
[ジャンル]医学・福祉

零戦の子―伝説の猛将・亀井凱夫とその兄弟 [著]武田頼政

零戦の子―伝説の猛将・亀井凱夫とその兄弟 [著]武田頼政

■三者三様の昭和史を丹念に追う  昭和初年代から10年代に各様の生き方をした兄弟伝である。長男の亀井貫一郎は外務官僚から無産運動に転じて政治家に、次男の凱夫(よしお)は海軍軍人になり零戦のパイロットとして歴戦の勇士に、………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年02月22日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ジョン・レディ・ブラック―近代日本ジャーナリズムの先駆者 [著]奥武則

ジョン・レディ・ブラック―近代日本ジャーナリズムの先駆者 [著]奥武則

■日本語新聞を創刊した英国人  本書を読み進むうちに、ジョン・レディ・ブラックという英国人の生き方に強い共感がわいてくる。ジャーナリズム史研究者はこの新聞人の名を知るだろうが、一般にはほとんど知られていない。  しかし………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年01月18日
[ジャンル]政治 社会

「戦場体験」を受け継ぐということ―ビルマルートの拉孟全滅戦の生存者を尋ね歩いて [著]遠藤美幸

「戦場体験」を受け継ぐということ―ビルマルートの拉孟全滅戦の生存者を尋ね歩いて [著]遠藤美幸

■兵士の体験を丹念に聞きとる  1944年6月、拉孟(らもう)(中国雲南地方の要衝)の日本軍守備隊1300人と中国の正規軍4万人余との間で、100日間に及ぶ攻防戦が始まった。守備隊は9月に全滅した。  その苛酷(かこく………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2015年01月11日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

本があって猫がいる [著]出久根達郎

本があって猫がいる [著]出久根達郎

■社会の一点に据えた視点に華  本書に、「龍馬の梅干」という短文が収められている。著者は、麺にも梅干を入れる極端な梅干好きだが、それを聞いた友人が土蔵から壺(つぼ)に入った天保6年の梅干が出てきたと届ける。坂本龍馬誕生………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年12月07日
[ジャンル]文芸

伊藤熹朔 舞台美術の巨人 [編]俳優座劇場

伊藤熹朔 舞台美術の巨人 [編]俳優座劇場

■職人芸に終わらず理論を確立  伊藤熹朔が逝ってから47年である。その職業名は、(1)舞台装置家(2)セットデザイナー(3)ステージデザイナー(4)舞台美術家というのだが、今では(5)セノグラファーと呼称するそうだ。ど………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年11月30日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

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