武田徹(評論家・ジャーナリスト)の書評

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武田徹 (評論家・ジャーナリスト)
1958年東京都生まれ。メディア論などを手がける。主な著書に『暴力的風景論』、『偽満州国論』、『流行人類学クロニクル』(サントリー学芸賞)、『原発報道とメディア』『「核」論――鉄腕アトムと原発事故のあいだ』、『NHK問題』など。

ケネディはベトナムにどう向き合ったか [著]松岡完

ケネディはベトナムにどう向き合ったか [著]松岡完

■米国が仕掛けたもう一つの戦争  1963年5月8日、古都フエで政府と仏教徒の衝突が起きる。ベトナム共和国(南ベトナム)のゴ・ジン・ジェム政権はそこから崩壊に向けて転げ落ち始め、軍のクーデターでジェムと、実質的に権力を………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年09月20日
[ジャンル]歴史

楳図かずお論―マンガ表現と想像力の恐怖 [著]高橋明彦

楳図かずお論―マンガ表現と想像力の恐怖 [著]高橋明彦

■恐怖とギャグ、自在な視点の妙  『漂流教室』等の恐怖マンガで知られる楳図かずおは、一方で『まことちゃん』のようなギャグも描き、赤白の縞(しま)シャツを着てTV出演するコミカルな姿も印象的だった。  それは決して分裂で………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年09月13日
[ジャンル]社会

鈴木さんにも分かるネットの未来 [著]川上量生

鈴木さんにも分かるネットの未来 [著]川上量生

■理詰めで解説、先行くヒント  著者はニコニコ動画で急成長したネット企業の経営者でありながらスタジオジブリの見習社員となった。その入社時に師匠の鈴木敏夫プロデューサーから「ネットとはなにか」をネット事情に疎い自分にも分………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年08月30日
[ジャンル]IT・コンピューター 社会

声―千年先に届くほどに [著]姜信子

声―千年先に届くほどに [著]姜信子

■生命を響かせる気迫鮮烈  たとえば漂泊を続ける朝鮮民族の末裔(まつえい)たち、あるいは戦争や公害の犠牲となった沖縄や水俣の人たち。艱難辛苦(かんなんしんく)に象(かたど)られた彼らの「声」を訪ねて聴いた、それ自体が一………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年08月16日
[ジャンル]文芸

「聖戦」の残像—知とメディアの歴史社会学 [著]福間良明

「聖戦」の残像—知とメディアの歴史社会学 [著]福間良明

■迫力映像が変える戦争の「リアル」  スティーブン・スピルバーグの映画『ジュラシック・パーク』を観(み)た時、多くが「恐竜が本物っぽくて驚いた」と感想を述べた。これは実はおかしな話だ。誰も本物の恐竜を見たことはないのだ………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年08月09日
[ジャンル]歴史 社会

アメリカ文化外交と日本 冷戦期の文化と人の交流 [著]藤田文子

アメリカ文化外交と日本 冷戦期の文化と人の交流 [著]藤田文子

■差異を超えた交流の場を提供  「情報戦」の一環としての米国の対外文化広報は冷戦期に再び活発化する。日本でも各地にアメリカ文化センターが作られ、反共意識の醸成等、占領中の政策を引き継いだ。著者はこうした活動を総合的に調………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年08月02日
[ジャンル]歴史 人文

「からゆきさん」—海外〈出稼ぎ〉女性の近代 [著]嶽本新奈

「からゆきさん」—海外〈出稼ぎ〉女性の近代 [著]嶽本新奈

■理解を妨げる「悲惨な女性」像  「からゆきさん」の語を広く知らしめた山崎朋子『サンダカン八番娼館』の副題は「底辺女性史序章」だった。山崎は近代日本史上最も悲惨な存在として「海外に連れ出され」「異国人を客」とした「出稼………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年07月26日
[ジャンル]社会

国体論はなぜ生まれたか―明治国家の知の地形図 [著] 米原謙

国体論はなぜ生まれたか―明治国家の知の地形図 [著] 米原謙

■近代の鬼門、今を議論する礎に  国体は近代日本史研究の鬼門だ。言論や政局を支配する強力な理念だったが、その内実が捉え難かったからだ。  本書はそんな「国体」の成立過程を辿(たど)る。その語を初めに用いたのは対外関係の………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年07月12日
[ジャンル]歴史 人文

宝塚・やおい、愛の読み替え―女性とポピュラーカルチャーの社会学 [著]東園子

宝塚・やおい、愛の読み替え―女性とポピュラーカルチャーの社会学 [著]東園子

■同性の友愛、サブカルが映す  女性が「男役」と「娘役」を演じる宝塚歌劇に女性観客が嬌声(きょうせい)をあげる。漫画やアニメの男性キャラクターを同性愛関係に仕立て直した「やおい」を女性が同人誌に投稿し、多くの女性読者を………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年06月28日
[ジャンル]政治 アート・ファッション・芸能 社会

多数決を疑うー社会的選択理論とは何か [著]坂井豊貴

多数決を疑うー社会的選択理論とは何か [著]坂井豊貴

■「選挙で勝ったから民意」の危険  2000年の米大統領選では優勢だったゴアがブッシュに敗れた。支持者が重なる市民運動家ネーダーの出馬で票が割れた結果だった。  多数決は必ずしも多数の意思を反映しない。いち早くそれに気………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年06月14日
[ジャンル]政治 社会

人びとはなぜ満州へ渡ったのか―長野県の社会運動と移民 [著]小林信介

人びとはなぜ満州へ渡ったのか―長野県の社会運動と移民 [著]小林信介

■「貧しさゆえに」の移民像を覆す  関東軍の武力を背景に日本が中国東北部で建国を宣言した「満州国」。版図内に一時は百万人を超える日本人が暮らしていた。本書はその約三分の一を占める開拓団員、青少年義勇軍ら、「農業移民」を………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年05月31日
[ジャンル]歴史

人工授精の近代 戦後の「家族」と医療・技術 [著] 由井秀樹

人工授精の近代 戦後の「家族」と医療・技術 [著] 由井秀樹

■「子を産むべき」の呪縛の強さ  人工授精、体外受精、代理母……。次々に新手が現れる不妊対策。その背景に「結婚と出産を一体」のものと認識し、「夫婦と血のつながりがある子を妻が出産する」ことを規範とする家族観があると著者………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年05月17日
[ジャンル]科学・生物

ショッピングモールの法哲学―市場、共同体、そして徳 [著]谷口功一

ショッピングモールの法哲学―市場、共同体、そして徳 [著]谷口功一

■地域の破壊者か 公共性に糸口  著者はニュータウンを走る私鉄に乗り、巨大アウトレットモールの脇を通って勤務先大学に通うという。今やそこかしこで見られるこうした「郊外」状況。著者はそれと真摯(しんし)に対峙(たいじ)し………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年05月10日
[ジャンル]社会

「共倒れ」社会を超えて—生の無条件の肯定へ! [著]野崎泰伸

「共倒れ」社会を超えて—生の無条件の肯定へ! [著]野崎泰伸

■生命に優劣つけていませんか  船が沈没しつつある。救命ボートには乗船者全員が乗れない。で、どうするか。  サンデルの「白熱教室」が契機となったのか、生死を分ける極限状況を想定した思考実験を最近よく見かける。  著者は………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年04月26日
[ジャンル]社会

裏が、幸せ。 [著]酒井順子

裏が、幸せ。 [著]酒井順子

■日本海側から価値観の転回迫る  近代日本は国民国家として統合されるのと同時に「表」と「裏」の分断を経験した。重工業中心の国土開発から取り残されがちだった日本海側、いわゆる裏日本は雪に閉ざされる冬の厳しさもあり、過疎化………[もっと読む]

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)
[掲載]2015年04月12日
[ジャンル]文芸

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