出久根達郎(作家)の書評

写真:出久根達郎さん

出久根達郎 (作家)
1944年茨城県生まれ。古書店を営みながら執筆活動に入り、古書の知識を生かした小説やエッセー、漱石に関する著作で知られる。小説に『佃島ふたり書房』(直木賞)『御書物同心日記』、エッセーに『本のお口よごしですが』(講談社エッセイ賞)『古本奇譚』『作家の値段』『日本人の美風』など。

ナチスのキッチン―「食べること」の環境史  [著]藤原辰史

ナチスのキッチン―「食べること」の環境史  [著]藤原辰史

■台所に介入する独裁者の恐怖  「飽食」時代の人間は、自分の眼(め)や鼻を信じない。賞味期限の数字を信用する。腐ってもいないのに捨てる。五官が衰えると、人は単純なものしか好まぬ。過激な言辞を喜ぶ。独裁者歓迎の素地は、着………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年07月29日
[ジャンル]歴史

柔の恩人 [著]小倉孝保

柔の恩人 [著]小倉孝保

■五輪「女子柔道」の立役者  まもなくロンドン五輪が開幕する。中村美里ら期待される女子柔道だが、この種目が五輪に認められたのは新しい。一九九二年のバルセロナからである。ユダヤ系アメリカ人の女性ラスティの奮闘による。ラス………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年07月08日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

K [著]三木卓

K [著]三木卓

■愛しい女をうつす文章の魔術  書名は、「ぼく」の妻のイニシャルである。妻はメモの最後に、(K)とサインする。自らをマルKと称した。本名、桂子。同年の「ぼく」を、マルミと呼んだ。(三)である。記号のような夫婦だ。Kは癌………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年07月01日
[ジャンル]文芸

老化の進化論―小さなメトセラが寿命観を変える [著]マイケル・R・ローズ

老化の進化論―小さなメトセラが寿命観を変える [著]マイケル・R・ローズ

■苦労人が説く「老いぬ秘訣」  不老長寿を願わぬ者は、いないだろう。それを謳(うた)った書物が目につくわけだ。折しも世は、声高に「アンチエイジング」、へまをすれば理由は「加齢のせい」、つくづく年は取りたくない。  そこ………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年06月24日
[ジャンル]人文

『草枕』の那美と辛亥革命 [著]安住恭子

『草枕』の那美と辛亥革命 [著]安住恭子

■奇抜な女の本当の姿、明らかに  夏目漱石著『草枕』冒頭の一節。「情に棹(さお)させば流される」「兎角(とかく)に人の世は住みにくい」。三十歳の画家が東京を逃れて、那古井(なこい)温泉の志保田(しほだ)家に宿泊する。そ………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年06月17日
[ジャンル]歴史

昭和史を陰で動かした男―忘れられたアジテーター・五百木飄亭 [著]松本健一

昭和史を陰で動かした男―忘れられたアジテーター・五百木飄亭 [著]松本健一

■『坂の上の雲』に登場しない訳  「乏しきを分(わか)ちつくして除夜の鐘」。作者の五百木飄亭は、「文学に於(お)ける一種の天才あり」と正岡子規が評した、子規の俳句仲間であり、ベースボールの友であった。飄亭が日清戦争に召………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年05月27日
[ジャンル]歴史

少女は卒業しない [著]朝井リョウ

少女は卒業しない [著]朝井リョウ

■乙女っぽさに、かつがれる快感  まんまと、一杯くわされた。と思ったが、考えてみれば、私がまぬけで調査不足だったのである。  まず、タイトルに惑わされた。著者名にも、早合点した。坂本龍馬の妻の龍の字を、無意識に当ててい………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年04月22日
[ジャンル]文芸

不妊を語る―19人のライフストーリー [著]白井千晶

不妊を語る―19人のライフストーリー [著]白井千晶

■望んでも子ができないつらさ  書店で、買いづらい本がある。別に、妙な本でもないし、奇抜な書名でもない。むしろ、まじめな、と言っておかしければ、当たり前のタイトルなのである。  本書が、それである。こういう本を求める人………[もっと読む]

[評者]出久根達郎(作家)
[掲載]2012年04月01日
[ジャンル]医学・福祉

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