水無田気流(詩人・社会学者)の書評

写真:水無田気流さん

水無田気流 (詩人・社会学者)
1970年神奈川県生まれ。立教大学社会学部兼任講師。2003年に現代詩手帖賞受賞。詩集に『音速平和』(中原中也賞)『Z境』(晩翠賞)。評論に『無頼化する女たち』、本名の田中理恵子名義で『平成幸福論ノート 変容する社会と「安定志向の罠」』など。

スモールマート革命―持続可能な地域経済活性化への挑戦 [著]マイケル・シューマン

スモールマート革命―持続可能な地域経済活性化への挑戦 [著]マイケル・シューマン

■小さいことは、いいことだ  経済成長と規模の拡大。一般にこの二つは不可分の関係にあると信じられている。たとえば巨大小売企業による大規模な流通支配や、ショッピングモールなど巨大施設の数々は、この「巨大信奉」の結果だろう………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年12月01日
[ジャンル]経済

石田徹也ノート [著]石田徹也

石田徹也ノート [著]石田徹也

■強い視力で描かれた世界  石田徹也の作品を初めて直(じか)に見たのは2008年、「僕たちの自画像」展だった。見終えて出ると、視界が変わっていた。現実への焦点の絞り方が書き換えられ、日常と見慣れぬものが淡々と交錯してい………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年11月17日
[ジャンル]文芸

ルポ 虐待―大阪二児置き去り死事件 [著]杉山春

ルポ 虐待―大阪二児置き去り死事件 [著]杉山春

■浮かび上がる有象無象の矛盾  2010年夏、大阪の繁華街近くのマンションで、3歳と1歳の子どもたちが遺体で見つかった事件は、記憶に新しい。当時23歳のシングルマザーだった母親の育児放棄(ネグレクト)による死と報道され………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年11月03日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝 新書

孤立無業(SNEP) [著]玄田有史

孤立無業(SNEP) [著]玄田有史

■人間の孤立が就労意欲を奪う  日本の若年無業者を「ニート」概念を用いて論じた玄田有史が、新たな分析視角を提唱した。ニートが15歳から34歳の無業者を指すのに対し、本書が取り上げる「孤立無業(Solitary Non‐………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年10月20日
[ジャンル]社会

東京百景 [著]又吉直樹

東京百景 [著]又吉直樹

■ひそやかな場所の記憶めぐり  場所の記憶は、つねに更新されていく。スクラップ・アンド・ビルドな風景が広がる東京は、巨大な記憶の脱臭装置であり、私たちは集団的記憶喪失者として暮らす。だが、ときに重ねられる記憶の層を、静………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年10月06日
[ジャンル]人文

流動化する民主主義―先進8カ国におけるソーシャル・キャピタル [編著]ロバート・D・パットナム

流動化する民主主義―先進8カ国におけるソーシャル・キャピタル [編著]ロバート・D・パットナム

■重要な地域社会の人間関係  絆やつながりの大切さ。東日本大震災以降のひと頃、これが盛んに強調されたのは記憶に新しい。震災より少し前には、孤独死や無縁死が社会問題として大きく取り上げられた。背景にあるのは、地域社会の人………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年09月15日
[ジャンル]政治 社会

スバらしきバス [著]平田俊子

スバらしきバス [著]平田俊子

■乗れば開く「非日常への扉」  公共の乗り物でありながら、徒歩のような気安さを感じさせるバス。電車に乗るよりも敷居は低いが、確実に私たちを運んでくれるバス。通常、人は生活圏の範囲内で必要に応じてバスを利用する。だが平田………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年09月08日
[ジャンル]社会

「AV女優」の社会学―なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか [著]鈴木涼美

「AV女優」の社会学―なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか [著]鈴木涼美

■語ることと語り得ぬことの相剋  おそらくAV(アダルトビデオ)ほど、日常的に消費されながらも、あえてその構造や意義を真摯(しんし)に検討されない分野も少ないだろう。その言説の多くは、(主として男性)消費者の性的ファン………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年08月25日
[ジャンル]社会

犬心 [著]伊藤比呂美

犬心 [著]伊藤比呂美

■むき出しに展開する生老病死  かつて子育てエッセーというジャンルを切り開いた詩人・伊藤比呂美が、今度はペットロス・エッセーを書きあげた。14年間、カリフォルニアでともに暮らしたジャーマン・シェパードのタケ、その最期の………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年08月18日
[ジャンル]文芸

「少女小説」の生成―ジェンダー・ポリティクスの世紀 [著] 久米依子

「少女小説」の生成―ジェンダー・ポリティクスの世紀 [著] 久米依子

■規範と逸脱の麗しき輪舞  近代日本の「少女小説」。このジャンルの独自性は、日本の近代化と文化表象の特異性を裏書きしている。少女小説が登場したのは、明治30年代のこと。その系譜は近年のコバルト文庫に至るまで、百年にもわ………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年08月11日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

私たちが、すすんで監視し、監視される、この世界について [著]ジグムント・バウマン、デイヴィッド・ライアン

私たちが、すすんで監視し、監視される、この世界について [著]ジグムント・バウマン、デイヴィッド・ライアン

■「我見られる、ゆえに我あり」  高速で移動する資本や情報、流動化する雇用のあり方などを踏まえ、現代社会の特性を、液状化する近代(リキッド・モダニティー)と論じたジグムント・バウマン。情報化とともに巧妙さを増す監視社会………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年08月04日
[ジャンル]社会

聖痕 [著]筒井康隆

聖痕 [著]筒井康隆

■明るいニヒリズムの喪失譚  1973年、5歳の葉月貴夫は突如襲われ性器を切断される。彼の神々しいまでの美貌(びぼう)に魅入られた変質者による凶行であった。「聖痕」、貴夫は喪失の跡をそう名づけ、やがて自らの存立基盤とし………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年07月14日
[ジャンル]文芸

少女と魔法―ガールヒーローはいかに受容されたのか [著]須川亜紀子

少女と魔法―ガールヒーローはいかに受容されたのか [著]須川亜紀子

■日本生まれの強く可愛い魔女  日本の魔法少女物アニメ番組は、過去40年以上にもわたり放映されているという。少女メディア文化において、これは世界的にも稀(まれ)なケースだと筆者は指摘する。西欧では魔女は成人女性の力、美………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年07月07日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 社会

スカル・ブレーカ [著]森博嗣

スカル・ブレーカ [著]森博嗣

■時代小説の形借りた言語ゲーム  強さとは何か。この主題には古今多くの作品が取り組んできた。ましてや剣豪の若者が主役の時代小説とあれば、一般的には自己鍛錬を通した成長物語となるのが必定。だが、本作の眼目はそこにない。本………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年06月30日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

プライドの社会学―自己をデザインする夢 [著]奥井智之

プライドの社会学―自己をデザインする夢 [著]奥井智之

■所属の不安定化で源泉がゆらぐ  プライドとは、個人的な満足によるものなのだろうか。それとも、社会的な評価を要するものなのだろうか。たとえば、尊敬される地位、高い学歴、美しい容姿……等々は、個人的な資源でありつつも、社………[もっと読む]

[評者]水無田気流(詩人・社会学者)
[掲載]2013年06月23日
[ジャンル]社会

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