佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)の書評

写真:佐倉統さん

佐倉統 (東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
さくら・おさむ。1960年東京都生まれ。進化生物学を軸に、生物学史、科学技術論、科学コミュニケーション論を専門とする。著書に『現代思想としての環境問題』『進化論の挑戦』『進化論という考えかた』『「便利」は人を不幸にする』など。

中谷宇吉郎—人の役に立つ研究をせよ [著]杉山滋郎

中谷宇吉郎—人の役に立つ研究をせよ [著]杉山滋郎

■雪氷の科学者の意外な一面  「雪は天から送られた手紙である」。中谷宇吉郎といえばこの一節。世界に冠たる雪氷の研究者だ。彼と同じ北海道大学で教鞭(きょうべん)をとっていた科学史家の筆になるこの評伝は、地の利を活(い)か………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年09月06日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

動物たちの武器―闘いは進化する [著]ダグラス・J・エムレン

動物たちの武器―闘いは進化する [著]ダグラス・J・エムレン

■人と動物、軍拡競争の自然誌  たとえばカブトムシの角、ゾウの牙、シオマネキのハサミ。身体に不釣り合いに大きな器官が、動物にはよく見られる。単に生き延びることを考えればむしろ邪魔になりそうだ。なんでこんなものが進化して………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年08月23日
[ジャンル]科学・生物

ホワット・イフ?―野球のボールを光速で投げたらどうなるか [著]ランドール・マンロー

ホワット・イフ?―野球のボールを光速で投げたらどうなるか [著]ランドール・マンロー

■奇抜な質問、科学の面白さ破格  こういう小ネタ集は面白くても書評しにくいんだよなあ、と思いながら読み始めたら、なんとまあ、その面白さの破格であることよ! これを紹介しないのは罪であると確信した。著者のウェブサイトに寄………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年08月16日
[ジャンル]文芸

意識はいつ生まれるのか—脳の謎に挑む統合情報理論 [著]マルチェッロ・マッスィミーニ、ジュリオ・トノーニ

意識はいつ生まれるのか—脳の謎に挑む統合情報理論 [著]マルチェッロ・マッスィミーニ、ジュリオ・トノーニ

■科学的な追求で、謎に突破口  意識とは何か? この永遠の謎に、俊英2人が挑む。  意識研究は哲学や心理学、情報科学などさまざまな分野が関係し、さらに厄介なことに「誰もが自分の意識については専門家」なので、議論は混迷の………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年07月26日
[ジャンル]科学・生物

二重螺旋―完全版 [著] ジェームズ・D・ワトソン

二重螺旋―完全版 [著] ジェームズ・D・ワトソン

■生命科学の時代と露骨な競争の幕開け  著者のジム・ワトソンは生命科学界のスティーヴ・ジョブズだ。本質をズバリとつかみとる強烈な直観力、高速回転する頭脳、沸き立つエネルギー、身体中から放射されるオーラ、なんとしても目標………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年07月12日
[ジャンル]科学・生物 ノンフィクション・評伝

スタニスワフ・レム コレクション 短篇ベスト10 [著] スタニスワフ・レム

スタニスワフ・レム コレクション 短篇ベスト10 [著] スタニスワフ・レム

■SFをダシに哲学、今も新鮮  スタニスワフ・レムは、いろいろな顔をもつ作家だ。映画化された長編『ソラリス』のように知性とは何かを追求したり、情報と生命はどこが違うのかを真っ向から扱ったり、自我意識の虚構性をあっさりと………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年07月05日
[ジャンル]文芸

ある国にて—南アフリカ物語 [著]ローレンス・ヴァン・デル・ポスト

ある国にて—南アフリカ物語 [著]ローレンス・ヴァン・デル・ポスト

■差別への絶望と良心の相克描く  舞台は1930年代の南アフリカ。アパルトヘイト体制確立前夜。ボーア戦争で負けたオランダ系白人は勝者のイギリス人に見下され、世をはかなみ、その屈折した思いをさらに原住民の差別へと増幅させ………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年06月21日
[ジャンル]歴史 社会

人は火山に何を見るのか 環境と記憶/歴史[著] 寺田匡宏

人は火山に何を見るのか 環境と記憶/歴史[著] 寺田匡宏

■読んで見つめる多様な社会  副題の三語をキーワードに、著者の書評や映画評を集めた論集。単なる寄せ集めではなく、連作書評集とでも言うべき形式だ。  「本を読む」という行為によって、人は広い意味での環境、つまり、周りの人………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年06月14日
[ジャンル]文芸

はじめての福島学 [著] 開沼博

はじめての福島学 [著] 開沼博

■データを共有し「イメージ」正す  東日本大震災の年に『「フクシマ」論』で衝撃のデビューを果たし、以後、被災地の「内側」からのメッセージを全力で発信し続けてきた著者の、震災から4年目にしての新境地。  元来彼は質的な調………[もっと読む]

[評者]ビジネス
[掲載]2015年05月24日
[ジャンル]経済 社会

ウィーン大学生フロイト 精神分析の始点 [著] 金関猛

ウィーン大学生フロイト 精神分析の始点 [著] 金関猛

■不条理な心、合理的な分析貫く  フロイトの精神分析は、しばしば胡散臭(うさんくさ)く非科学的とされる。だが本書は、ウィーン大学の学生時代にフロイトが何をどう学んだかを丹念に復元することにより、そのような見方が皮相的で………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年05月17日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

人工知能は人間を超えるか [著]松尾豊 エニグマ アラン・チューリング伝(上) [著]アンドルー・ホッジス

人工知能は人間を超えるか [著]松尾豊 エニグマ アラン・チューリング伝(上) [著]アンドルー・ホッジス

■「計算」の概念を変え、新世界の扉開いた  ここのところ、人工知能がめきめきと賢くなっている。将棋で一流のプロ棋士と対等に渡り合うほどになり、やがては人類を滅ぼすかもしれないと警告する科学者もいるほどだ。ちょっと前は、………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年05月10日
[ジャンル]科学・生物

骨相学—能力人間学のアルケオロジー [著]平野亮

骨相学—能力人間学のアルケオロジー [著]平野亮

■疑似科学、近代の欧米を席巻  頭の形を見れば、その人の能力が分かる——。こんな怪しげな主張で19世紀前半のヨーロッパやアメリカを席巻したのが骨相学である。今でこそ疑似科学の典型ともされるが、提唱者らが目指したのは、実………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年05月03日
[ジャンル]社会

恋する文化人類学者―結婚を通して異文化を理解する [著]鈴木裕之

恋する文化人類学者―結婚を通して異文化を理解する [著]鈴木裕之

■学問の掟破り的暴挙が面白い  学問は客観的で普遍的な知識の体系を目指している。そこから得られる展望はとても豊かなものがあるのだけど、普遍的であるが故に、日々の生活や個別の実感とは結びつかないことも多い。学問が進めば進………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年04月12日
[ジャンル]人文

放射線被曝の理科・社会—四年目の『福島の真実』 [著]児玉一八、清水修二、野口邦和

放射線被曝の理科・社会—四年目の『福島の真実』 [著]児玉一八、清水修二、野口邦和

■国民の「自覚なき容認」を問う  福島原発事故の後、低線量被曝(ひばく)についての良い本がたくさん出版されたが、書名に「社会」と銘打ったものはこれが初めてである。事故から4年が経ち、「放射能」は理科から社会の領域に移っ………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年03月08日
[ジャンル]科学・生物 社会

文体の科学 [著]山本貴光

文体の科学 [著]山本貴光

■文章の生態系に肉薄する野心作  大学浪人時に通っていた予備校の国語の先生が、こんなことを言っていた。単語と単語の関係についての規則、つまり文法は、だいぶ体系化されているが、文と文の関係についての規則は、まだほとんど手………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2015年03月01日
[ジャンル]人文

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

ページトップへ戻る