原武史(放送大学教授・政治思想史)の書評

写真:原武史さん

原武史 (放送大学教授・政治思想史)
はら・たけし。1962年東京都生まれ。近現代の天皇・皇室研究のほか、鉄道や団地などの「空間政治学」を提唱。著書に『「民都」大阪対「帝都」東京』(サントリー学芸賞)『滝山コミューン一九七四』(講談社ノンフィクション賞)『昭和天皇』(司馬遼太郎賞)など。

日本鉄道歌謡史―1 鉄道開業〜第二次世界大戦、2 戦後復興〜東日本大震災 [著]松村洋

日本鉄道歌謡史―1 鉄道開業〜第二次世界大戦、2 戦後復興〜東日本大震災 [著]松村洋

■国土意識を形成、民衆の声も代弁  キューロクが9600形蒸気機関車の愛称であることを知っている人は、よほどのマニアだろう。本書の冒頭で、著者は八高線にキューロクやデコイチ(D51形蒸気機関車)の撮影に出掛けた過去を懐………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年09月20日
[ジャンル]歴史

鉄道デザインの心―世にないものをつくる闘い [著]水戸岡鋭治

鉄道デザインの心―世にないものをつくる闘い [著]水戸岡鋭治

■効率より空間と時間にこだわる  水戸岡鋭治さんは鉄道のデザイナーとして有名だが、全国の鉄道に乗っているわけではない。京浜工業地帯を走るJR鶴見線に同乗したときには、首都圏にもこんな線があるのかと驚かれ、運河や工場の夜………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年09月13日
[ジャンル]経済

下山事件 暗殺者たちの夏 [著]柴田哲孝

下山事件 暗殺者たちの夏 [著]柴田哲孝

■昭和史最大の謎、執着する覚悟  1949年7月5日に初代国鉄総裁の下山定則が行方不明となり、6日に遺体が発見された「下山事件」は、昭和史最大の謎の事件と言われている。そもそも下山は自殺したのか、それとも他殺だったのか………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年08月30日
[ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝

生きて帰ってきた男―ある日本兵の戦争と戦後 [著]小熊英二

生きて帰ってきた男―ある日本兵の戦争と戦後 [著]小熊英二

■父が息子に託す、希望こそが指針  小熊英二という人はどこまでも前向きだ。3・11のあとに反原発デモが高まり、一時は官邸前に20万人が集まったのに、2012年12月の総選挙では自民党が圧勝した。脱力感が漂うなか、著者は………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年08月16日
[ジャンル]歴史

終戦詔書と日本政治—義命と時運の相克 [著]老川祥一

終戦詔書と日本政治—義命と時運の相克 [著]老川祥一

■玉音放送の草稿修正箇所に注目  1945年8月15日の玉音放送は、天皇自身が詔書を読み上げることで儒教的な「天子」として振る舞おうとするものだった。だからこそ、陽明学者の安岡正篤(まさひろ)は「義命ノ存スル所」という………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年07月19日
[ジャンル]歴史 社会

権力の空間/空間の権力—個人と国家の〈あいだ〉を設計せよ [著]山本理顕

権力の空間/空間の権力—個人と国家の〈あいだ〉を設計せよ [著]山本理顕

■建築家が読む斬新なアレント  政治というのは抽象的な思考に回収されない。そうではなく、複数の人間が共生するための実践行為である以上、必ず具体的な空間を伴うはずである。だが、政治思想史の研究者の多くは、思想家が残したテ………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年06月21日
[ジャンル]社会

界 [著]藤沢周

界 [著]藤沢周

■人間の複雑怪奇、浮かび上がる  例えば、「市民」という政治学の用語がある。男だろうが女だろうが市民は市民であり、そこに違いがあってはならないはずだ。  しかし現実はより複雑である。この連作短編集は、男女の間に横たわる………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年06月14日
[ジャンル]文芸

宗教と政治の転轍点 保守合同と政教一致の宗教社会学 [著] 塚田穂高

宗教と政治の転轍点 保守合同と政教一致の宗教社会学 [著] 塚田穂高

■政党作る団体に切り込む行動力  泡沫(ほうまつ)候補という言葉がある。選挙で当選する見込みがきわめて薄い候補者のことだ。彼らは、たとえ一時的に話題に上がることはあっても、時間がたつにつれ忘れ去られてゆく。政治学の世界………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年05月17日
[ジャンル]政治 人文 社会

遊楽としての近世天皇即位式―庶民が見物した皇室儀式の世界 [著]森田登代子

遊楽としての近世天皇即位式―庶民が見物した皇室儀式の世界 [著]森田登代子

■「広場」に変貌した御所の南庭  江戸時代の天皇は幕府の厳重な管理のもとに置かれ、京都御所に事実上幽閉されていて、生身の姿を一般庶民にさらすこともなかった。そう思い込んでいる人々は多い。天皇の研究をしているにもかかわら………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年05月10日
[ジャンル]歴史

西太后秘録―近代中国の創始者(上・下) [著]ユン・チアン

西太后秘録―近代中国の創始者(上・下) [著]ユン・チアン

■「悪役」の像崩し、人間性浮き彫り  20世紀初頭までの中国の歴史のなかで、女性が皇帝となったのは武則天(則天武后)しかいない。だが、19世紀から20世紀にかけての清末の時代、事実上の皇帝の座に40年近くも君臨し続けた………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年04月12日
[ジャンル]歴史 政治 社会

狗賓童子の島 [著]飯嶋和一

狗賓童子の島 [著]飯嶋和一

■「辺境」から見たもう一つの維新  隠岐に島後(どうご)と呼ばれる円形の島がある。古来、流人の島と呼ばれたこの島に、大坂近郊の河内(かわち)から一人の少年が送られてくる。少年の名は西村常太郎(じょうたろう)。父の履三郎………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年03月29日
[ジャンル]歴史

台湾の歓び [著]四方田犬彦

台湾の歓び [著]四方田犬彦

■自由を最大限与えてくれた土地  還暦になったとき、四方田犬彦は一つの決断をした。大学を辞め、日本から、いや国家そのものからしばらく離れることである。そして向かったのは、日本や米国や中国が正式の国交を結ぼうとせず、国家………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年03月08日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

公会堂と民衆の近代-歴史が演出された舞台空間 [著]新藤浩伸

公会堂と民衆の近代-歴史が演出された舞台空間 [著]新藤浩伸

■政治集会や娯楽でつくる「公」  明治以降の日本では、天皇を中心とする政治体制が確立される一方、公園、広場、図書館、駅など、不特定多数の見知らぬ人々が集まる空間がつくられていった。公会堂もその一つである。  読んで字の………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年02月01日
[ジャンル]歴史

折口信夫 [著]安藤礼二

折口信夫 [著]安藤礼二

■画期的な天皇論、新資料交え分析  総索引が付いた全集ばかりか講義録まで完備している。個人の思想を研究するのに、一見これほど恵まれた環境はない。けれども、いったんその「森」に足を踏み入れるや、あまりに鬱蒼(うっそう)と………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年01月25日
[ジャンル]人文 社会

病いの共同体―ハンセン病療養所における患者文化の生成と変容 [著]青山陽子

病いの共同体―ハンセン病療養所における患者文化の生成と変容 [著]青山陽子

■「みんな」に奉仕する自治会  西武池袋線と西武新宿線にはさまれた東京都の西東京市から東村山市にかけての一帯には、独特の風景が広がっている。関東ローム層の堆積(たいせき)する平坦(へいたん)な台地に、大団地や結核療養所………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年01月18日
[ジャンル]政治 社会

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

ページトップへ戻る