本郷和人(東京大学教授・日本中世史)の書評

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本郷和人 (東京大学教授・日本中世史)
1960年東京都生まれ。日本中世政治史、中世古文書学、中世寺院史を専門とする一方、「AKB史」にも明るい。著書に『中世朝廷訴訟の研究』『武士から王へ お上の物語』『天皇はなぜ生き残ったか』『謎とき平清盛』『武士とはなにか 中世の王権を読み解く』など。

「自由」はいかに可能か―社会構想のための哲学 [著]苫野一徳

「自由」はいかに可能か―社会構想のための哲学 [著]苫野一徳

■必要なのは法と教育と福祉  いま私たちは、自由・平等であることを、ともすると当たり前のように思っている。それゆえ自由を実現するための「責任」の方を強調してみたり、自由を「もてあます」風潮すらある。  かかる趨勢(すう………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2014年09月14日
[ジャンル]人文

史料としての猫絵 [著]藤原重雄

史料としての猫絵 [著]藤原重雄

■芸術の深淵への知的な冒険  ここに1枚の猫絵がある。リアルに描かれた猫は白地に黒いぶち。首には赤くて太い首輪を結び、金の鈴を下げている。からだを丸まるとかがめたまま静止し、顔をかしげて右ななめ上方を注意深くさぐってい………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2014年08月31日
[ジャンル]歴史

ちいさな城下町 [著]安西水丸

ちいさな城下町 [著]安西水丸

■間を生かし、味わい深い旅の記憶  ○歴史学者A「いいよなあ、小説家は。ろくに調べもしないで書けるんだから」  ○小説家B「ふん。いいよな、歴史学者は。調べさえすりゃあ、書けるんだから」  有名なやりとりだが、AとBの………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2014年08月24日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

キルギスの誘拐結婚 [写真・文]林典子

キルギスの誘拐結婚 [写真・文]林典子

■蛮行を写す、静かで断固たる怒り  かくも虚(うつ)ろな目をした女性の写真を、見たことがあったろうか。ぼくはそう、自分に問いかけずにはいられなかった。これは本当に、つらく、悲しい顔だ。  なぜ彼女たちが一様に生気のない………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2014年08月17日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

地下からの贈り物 新出土資料が語るいにしえの中国 [編]中国出土資料学会

地下からの贈り物 新出土資料が語るいにしえの中国 [編]中国出土資料学会

■古代発掘のロマンが味わえる  古い時代の中国では、地中に冥界があり、人は死ぬと第二の生活を始めると観念されていたらしい。そのため、墓の中にはありとあらゆるもの——奴隷や牛馬の模型から日用品に至る——を副葬品として収め………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2014年08月10日
[ジャンル]歴史 社会

江戸〈メディア表象〉論―イメージとしての〈江戸〉を問う [著]奥野卓司

江戸〈メディア表象〉論―イメージとしての〈江戸〉を問う [著]奥野卓司

■現代人の願望が作りあげた  「ありがたし」は、滅多にないこと。「しあわせ」は、めぐりあわせ。殿が「そちの働き、みごと。褒美を遣わす」と仰せになる。謙虚な侍は「私だけの力ではなく、滅多にないめぐりあわせで、うまくいきま………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2014年08月03日
[ジャンル]歴史

「平成」論 [著]鈴木洋仁

「平成」論 [著]鈴木洋仁

■すべての事象がフラットな時代  他者に意志を伝えるとき、「高さ」は相当に大事な要素となる。学生や聴衆より一段高いところに立って話す。するとビックリするほど場の隅々まで見通せるのだが、聞き手からの反応は鈍くなる。意見を………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2014年07月06日
[ジャンル]社会

『枕草子』の歴史学―春は曙の謎を解く [著]五味文彦

『枕草子』の歴史学―春は曙の謎を解く [著]五味文彦

■自然の背景に人間の営みを見る    著者・五味文彦は私の師である。去年、本書を執筆中に体調を崩し、大好きな酒を控えた時期があった。五味は穏やかに微笑(ほほえ)みながら言った。「お酒がおいしく飲めないんだよ。だから私の………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2014年06月29日
[ジャンル]歴史

王朝小遊記 [著]諸田玲子

王朝小遊記 [著]諸田玲子

■「ホンモノの平安人」の冒険活劇  少し前までは、テレビをつければどこかで時代劇を放映していて、舞台はほとんどが江戸時代であった。古文書、物語、歌舞伎に浮世絵。残された情報が豊富なので、江戸社会を復元するのは、比較的容………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2014年06月15日
[ジャンル]歴史 人文

杜甫のユーモア―ずっこけ孔子 [著]興膳宏

杜甫のユーモア―ずっこけ孔子 [著]興膳宏

■本物の学者が創り出す桃源郷  職業を尋ねられるたび、私は慌て、赤面する。「歴史学者、ですね」「滅相(めっそう)もない。ぼくの研究対象は日本の中世だけです。だいたい、ぼくが学者なんて、おこがましい」「じゃあ何ですか?」………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2014年05月25日
[ジャンル]文芸

「アイドル」の読み方―混乱する「語り」を問う [著]香月孝史

「アイドル」の読み方―混乱する「語り」を問う [著]香月孝史

■「饗宴の場」という新しい定義  昨今はAKB48をはじめとするアイドル全盛の世である。だが、このアイドルという存在。論者によって、微妙に解釈がずれる。だから、畏(おそ)れ多くも菩薩(ぼさつ)に比される山口百恵、かしこ………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2014年05月11日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

剣の法 [著]前田英樹

剣の法 [著]前田英樹

■「刀身一如」が開く玄妙の世界  ○武道の高段者ってナニ?強いのは若いうちでしょ。  ○活人(人を生かす)剣ってナニ? おためごかし?  常々そんな風に勘ぐっていた自分の浅はかさを、この本は厳しく戒めてくれた。  剣術………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2014年04月27日
[ジャンル]人文

私の方丈記 [著]三木卓

私の方丈記 [著]三木卓

■長明の感慨に重ねて想いつづる  世の中はなかなか変えられない。戦争は悪だと皆が心底憎らしく感じているのに、世界の各所で争いが続き、罪なき人が犠牲になるのを止めることができない。また世の中よりもさらに畏(おそ)るべきは………[もっと読む]

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)
[掲載]2014年04月06日
[ジャンル]歴史 人文

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