鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)の書評

写真:鴻巣友季子さん

鴻巣友季子 (翻訳家、エッセイスト)
1963年東京都生まれ。翻訳家、エッセイスト。訳書にジョン・クッツェー『恥辱』、トマス・クック『緋色の記憶』、マーガレット・アトウッド『昏き目の暗殺者』、ルル・ワン『睡蓮の教室』、ブロンテ新訳『嵐が丘』、著書に『翻訳のココロ』『明治大正翻訳ワンダーランド』など。

エクストラテリトリアル [著]西成彦

エクストラテリトリアル [著]西成彦

■「文学における治外法権」の行使とは  政治的弾圧と逆境の中で人々が芸術を創造しうるとすれば、それは、おのおのの言語と文化を用いて、自分たちなりの自由を行使しえた時だ。これを、本書は文学における治外法権=エクストラテリ………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2008年04月20日
[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

プルーストと身体-『失われた時を求めて』における病・性愛・飛翔 [著]吉田城

プルーストと身体-『失われた時を求めて』における病・性愛・飛翔 [著]吉田城

■小説に移し替える「病気や死」  プルーストの草稿・生成研究者で名高い著者の遺稿集だ。氏はかつて著書の中で、テクスト生成論の主眼は、作家の側ではなく作品の側を探索することにあると書いた。転換点は90年代に訪れたようだ。………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2008年03月23日
[ジャンル]人文

オブ・ザ・ベースボール [著]円城塔 

オブ・ザ・ベースボール [著]円城塔 

■空から降ってくる人を打ち返そうと  空からなにかが降ってくる。聖書では黙示的な意味合いだ。「マグノリア」という映画では蛙(かえる)が、村上春樹の『海辺のカフカ』では魚が、降ってきた。本書では、約一年に一度、空から人が………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2008年03月09日
[ジャンル]文芸

Y氏の終わり [著]スカーレット・トマス 

Y氏の終わり [著]スカーレット・トマス 

■理論をちりばめ、魔書の謎を追う  謎の禁断の書が登場したり、一冊の書物が人の生殺与奪に与(あずか)るといった“ミステリー”には、ひねりのある名作が多い。エーコの『薔薇(ばら)の名前』、フィシュテルの『私家版』、ダニン………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2008年02月17日
[ジャンル]文芸

越境の声 [著]リービ英雄 

越境の声 [著]リービ英雄 

■言葉の自明性をうち砕く意志  西洋出身初の日本語作家である越境の作家にとって、文学を分かつのは国でも人種でもなく、「その言語に違和感をつきつけられる言葉をもつか否か」のようだ。日本語が完熟したのは古今和歌集で、あとは………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2008年02月03日
[ジャンル]文芸

音楽が聞える [著]高橋英夫 

音楽が聞える [著]高橋英夫 

■心をゆさぶる「元素」を探し求めて  詩が生まれ出るとき、詩人はおのずと音楽家になっている。高橋氏のことばを借りれば、「詩は音楽になる以外にどんな通路も持っていない」し、「詩を読むということは(自身が)音楽の状態になる………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2008年01月20日
[ジャンル]文芸 アート・ファッション・芸能

白暗淵(しろわだ) [著]古井由吉 

白暗淵(しろわだ) [著]古井由吉 

■生まれ死んで還っていく「闇」の中へ  本書の題名は天地創造前の闇を表す聖書の「地は定形(かたち)なく、曠(むな)しくして、黒暗淵(やみわだ)の面にあり」から来ている。十二の連作において、男は己の始まりをたずね、たずね………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2008年01月13日
[ジャンル]文芸

ロリータ、ロリータ、ロリータ [著]若島正

ロリータ、ロリータ、ロリータ [著]若島正

■クールだが愛にあふれた読解  文学の読み方に答えはないと言われるが、本当だろうか? 『ロリータ』の訳者・若島正氏は、少なくともナボコフの読解においては、読み方のルールさえ掴(つか)んでいれば一つの「正解」を得ることが………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2007年12月16日
[ジャンル]文芸

現代日本の小説 [著]尾崎真理子

現代日本の小説 [著]尾崎真理子

■電子ツールで激変する文学  文芸記者による直接の現場取材とその実感に徹底して基づいた現代日本文学のガイドブックである。通史として読みごたえがある。著者によれば、ワープロや電子ツールのせいで、近年「作家の人格と活字の間………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2007年11月25日
[ジャンル]文芸

走ることについて語るときに僕の語ること [著]村上春樹

走ることについて語るときに僕の語ること [著]村上春樹

■「文学の悪」に負けない作家の気迫    「我走る、ゆえに我あり」——百キロ走のウルトラマラソンではこんな没我の境地まで経験したランナー作家によるメモワールである。近年、ノーベル文学賞に最も近い日本人の一人と言われなが………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2007年11月18日
[ジャンル]文芸

有頂天家族 [著]森見登美彦

有頂天家族 [著]森見登美彦

■洛中にあやしいキャラがぞろぞろと  桓武天皇の御代、万葉の地をあとにして入来たる人々の造りあげたのが京都である——と、これはあくまで人間の見た歴史だ。狸(たぬき)に言わせれば、平家物語に出てきた武士、貴族、僧侶のうち………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2007年11月04日
[ジャンル]文芸

文字の都市―世界の文学・文化の現在10講 [編著]柴田元幸

文字の都市―世界の文学・文化の現在10講 [編著]柴田元幸

■浮かび上がる「文化の交差点」の風景  「あの高いのは都庁と違います〜?」「ぅぉおうぅ、そうやろか!」。新宿で観光客が指していたのは、某高級ホテル。プリンストン大学のエメリック氏は、このコミカルな取り違えから「首都(キ………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2007年10月14日
[ジャンル]文芸 人文

タタド [著]小池昌代 

タタド [著]小池昌代 

■生と死の境、攫われる時を予感しつつ  なにかにふっと持っていかれそうになる感覚の狂おしさが、この短編集をうっすらとおおっている。引き潮、引力、堰(せき)を切って溢(あふ)れるもの……。川端康成文学賞作の「タタド」を含………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2007年09月23日
[ジャンル]文芸

アサッテの人 諏訪哲史著 小説に真っ向勝負挑む「熱い前衛」

アサッテの人 諏訪哲史著 小説に真っ向勝負挑む「熱い前衛」

 先日、翻訳同業者の間で、芥川賞受賞作『アサッテの人』を英訳したらどうなるか、という話になり、「題名の『アサッテ』をどう訳す?」とか「『ポンパ』や『チリパッハ』が訳せない」などと言いあった。「おいそれと訳せない」という………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2007年09月09日
[ジャンル]文芸

青年の完璧な幸福 片岡義男短編小説集 片岡義男著

青年の完璧な幸福 片岡義男短編小説集 片岡義男著

 閃き授ける女たち、小説が芽吹く瞬間  本書の4編にはそれぞれ、小説家をめざす青年が登場する。小説は、小説家は、いかにしてつくられるのか?  米国の大学には古くから創作科や講座があり、そこからカーヴァーやアーヴィングが………[もっと読む]

[評者]鴻巣友季子(翻訳家、エッセイスト)
[掲載]2007年08月19日
[ジャンル]文芸

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