柄谷行人(哲学者)の書評

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柄谷行人 (哲学者)
からたに・こうじん。1941年兵庫県生まれ。著書に『漱石詩論』(群像新人文学賞)『マルクスその可能性の中心』(亀井勝一郎賞)『坂口安吾と中上健次』(伊藤整文学賞)『日本近代文学の起源』『隠喩としての建築』『トランスクリティーク』『ネーションと美学』『歴史と反復』『世界史の構造』など。

ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国 [著]田中克彦

ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国 [著]田中克彦

■背景、意味 モンゴル人の視点で    ノモンハン戦争は、1939年、満州帝国とモンゴル共和国の国境におこった、日本とソ連の戦争である。このとき日本は大敗したが、戦争の事実そのものが日本側では秘密にされた。この戦争に関………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2009年08月02日
[ジャンル]歴史 新書

伊勢神宮―魅惑の日本建築 [著]井上章一

伊勢神宮―魅惑の日本建築 [著]井上章一

■日本固有なのか、その通念を否定  伊勢神宮は、その簡素な白木の建物と、式年遷宮(20年ごとに造り替える)で知られている。しかし、これをたんに建築としてだけ見ることはできない。伊勢神宮は明治以後国家神道の中心となったわ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2009年06月28日
[ジャンル]歴史 人文 アート・ファッション・芸能

市民結社と民主主義 1750—1914 [著]シュテファン=ルートヴィヒ・ホフマン

市民結社と民主主義 1750—1914 [著]シュテファン=ルートヴィヒ・ホフマン

■拡大繁栄の結果、本来の意義失う  アソシエーションは、日本語では結社と訳されているが、協会、クラブ、ソサエティー、連合、その他さまざまな自発的な社交的組織を意味する。また、アソシエーションには政治的なものもあるが、禁………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2009年05月03日
[ジャンル]歴史 人文

長い20世紀―資本、権力、そして現代の系譜 [著]ジョヴァンニ・アリギ

長い20世紀―資本、権力、そして現代の系譜 [著]ジョヴァンニ・アリギ

■米国の衰退、兆候は70年代から  サブプライムローンの破綻(はたん)をきっかけにしたアメリカの金融危機と世界的不況は、不意打ちであるかのように見えた。人々はにわかに1929年恐慌を想起し、また、アメリカの没落を認める………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2009年03月29日
[ジャンル]歴史 経済

吉本隆明の時代 [著]すが秀実 

吉本隆明の時代 [著]すが秀実 

■なぜヘゲモニーを確立できたか  本書は「吉本隆明論」というよりも、その「時代」、特に1960年の前後10年ほどの時期を扱った歴史書というべきものである。なぜそれが吉本論として語られるのか。この時代が、吉本隆明という批………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2009年03月01日
[ジャンル]歴史 人文

現代帝国論―人類史の中のグローバリゼーション [著]山下範久

現代帝国論―人類史の中のグローバリゼーション [著]山下範久

■今の世界は過渡的な状態にすぎない    帝国というと、一般に古代の世界帝国か近代の「帝国主義」と結びつけられる。しかし、近年では、複数の国家が束ねられてある状態を帝国と呼ぶようになってきている。それはたんに政治的・経………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2009年01月25日
[ジャンル]国際

ポール・ヴァレリー [著]ドニ・ベルトレ 

ポール・ヴァレリー [著]ドニ・ベルトレ 

■抽象的「知性」の人の実像を淡々と  ヴァレリー(1871〜1945)は、戦前のフランスを代表する詩人・思想家であった。つまり、デカルトの衣鉢を継ぐ者であった。1930年代には、フランスの「知性」を代表し、ジュネーブの………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2009年01月18日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

芸術崇拝の思想-政教分離とヨーロッパの新しい神 [著]松宮秀治著

芸術崇拝の思想-政教分離とヨーロッパの新しい神 [著]松宮秀治著

■国家と資本が生み出した「宗教」  近代以前には、職人はいたが、芸術家はいなかった。彼らの仕事は芸術と見なされなかった。たとえば寺社・教会の装飾や彫刻は元来礼拝の対象であった。それらを芸術として崇拝するのは、近代に起こ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2008年12月07日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

先史時代と心の進化 [著]コリン・レンフルー 

先史時代と心の進化 [著]コリン・レンフルー 

■「人類の原始」探る学問を展望  先史時代とは書かれた歴史以前の時代である。本書は「先史学」自体の歴史をたどり、最新の成果を批判的に紹介し、さらに「世界先史学」から「世界歴史学」への発展を展望するものである。高度なレベ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2008年11月16日
[ジャンル]人文 科学・生物

民主主義への憎悪 [著]ジャック・ランシエール 

民主主義への憎悪 [著]ジャック・ランシエール 

■とるにたらない者による統治を  一般に、民主主義というと、代表制(議会制)と同義だと考えられている。しかし、モンテスキューは代表制と民主主義を峻別(しゅんべつ)した。代表制とは貴族政あるいは寡頭政の一種であり、選挙に………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2008年09月21日
[ジャンル]政治 人文 社会

選挙のパラドクス [著]ウィリアム・パウンドストーン

選挙のパラドクス [著]ウィリアム・パウンドストーン

■民主主義を実現する投票制度とは  民主主義は選挙による多数決の支配である、といわれる。しかし、民主主義は一つではないし、選挙システムも一つではない。さまざまな選挙システムは、それぞれ政治形態をも決定する。たとえば、ア………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2008年09月07日
[ジャンル]政治 社会

壊れゆくアメリカ [著]ジェイン・ジェイコブズ

壊れゆくアメリカ [著]ジェイン・ジェイコブズ

■集団的記憶喪失が文明を暗黒へと  著者は1950年代に、ニューヨークのジャーナリストとして高速道路の建設や都市開発に反対する運動をおこし、さらに60年代には、近代の都市計画を根本的に批判する理論家として注目を集めた。………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2008年08月10日
[ジャンル]社会 国際

K・A・ウィットフォーゲルの東洋的社会論 [著]石井知章

K・A・ウィットフォーゲルの東洋的社会論 [著]石井知章

■「アジア的」なものの復古を詳細に分析  中国や北朝鮮の現状を見るとき、清朝や李朝に似ていると思う人が多いだろう。しかし、マルクス主義者による革命から、なぜそんなものが生まれてきたのだろうか。それはマルクスのせい、では………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2008年06月22日
[ジャンル]歴史 人文 国際

稲作渡来民 「日本人」成立の謎に迫る 池橋宏著

稲作渡来民 「日本人」成立の謎に迫る 池橋宏著

 だれが、どのように稲作を伝えたのか  柳田国男は『海上の道』で、南島づたいに日本に稲作が伝えられたと主張した。以来、それを否定する人たちも、渡来した稲作民(弥生人)の技術を、先住民(縄文人)がどのように受容したかを主………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2008年05月25日
[ジャンル]歴史 人文

古代インド文明の謎 [著]堀晄

古代インド文明の謎 [著]堀晄

■アーリア人の征服はなかったのか  アーリア系の遊牧民族が古代インダス文明を征服し滅ぼし、そして、その歴史が『リグ・ヴェーダ』に書かれた、というのは、どんな世界史の教科書にも書かれている定説である。また、このアーリア人………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2008年05月04日
[ジャンル]歴史 人文

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