保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

写真:保阪正康さん

保阪正康 (ノンフィクション作家)
ほさか・まさやす。1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

スターリン―「非道の独裁者」の実像 [著]横手慎二

スターリン―「非道の独裁者」の実像 [著]横手慎二

■20世紀はどんな時代だったのか  20世紀のある時期に誕生し、70年余の生命を保ち、そして崩壊したソ連の社会主義政権。その前半期を担ったのがスターリンである。彼の没後、指導部の一員だったフルシチョフは、「粗暴、大粛清………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年10月12日

民族浄化のヨーロッパ史——憎しみの連鎖の20世紀 [著]ノーマン・M・ナイマーク

民族浄化のヨーロッパ史——憎しみの連鎖の20世紀 [著]ノーマン・M・ナイマーク

■理性崩壊後の教訓を自らに課す  「民族浄化」という語は、1992年5月のボスニア戦争の初期から使われ、そしてユーゴ内戦とともに国際法上の犯罪と同一化された。「常に暴力」を伴い、「人類の生命にかなりの損害を与え」「戦争………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年10月05日
[ジャンル]歴史

「肌色」の憂鬱―近代日本の人種体験 [著]眞嶋亜有

「肌色」の憂鬱―近代日本の人種体験 [著]眞嶋亜有

■外面を通して創造した「近代」  本書にはしばしば、「(近代日本の)エリート層」という語が登場する。たとえば「日本人の背丈や体格、容貌(ようぼう)や肌の色を醜悪視する傾向は、その後(注・日露戦争後)、エリート層のあいだ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年09月28日
[ジャンル]人文

炎を越えて―新宿西口バス放火事件後三十四年の軌跡 [著]杉原美津子

炎を越えて―新宿西口バス放火事件後三十四年の軌跡 [著]杉原美津子

■「被害者」ではない人生描きだす  1980年8月の新宿駅西口バス放火事件。加害者Mは「世間に対して恨みや憤りの感情を持ったことが主たる要因」(判決文)で、停車中のバス車内にガソリンを撒(ま)き、火をつけた。6人が死亡………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年09月21日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

戦後責任 アジアのまなざしに応えて [著]内海愛子・大沼保昭・田中宏・加藤陽子

戦後責任 アジアのまなざしに応えて [著]内海愛子・大沼保昭・田中宏・加藤陽子

■戦争の「罪禍清算」の葛藤史  「戦後責任」という語は、大沼保昭が1980年代から継続的に用いて定着したのだが、当の大沼によればこの語は50年代前半にキリスト者が、続いて武井昭夫と吉本隆明が文学者の戦争責任について論じ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年08月10日
[ジャンル]歴史 社会

軍服を着た救済者たち―ドイツ国防軍とユダヤ人救出工作 [著]ヴォルフラム・ヴェッテ

軍服を着た救済者たち―ドイツ国防軍とユダヤ人救出工作 [著]ヴォルフラム・ヴェッテ

■国家に売りわたさない覚悟  ナチス権力との闘いに「抵抗か協力か」の二元論的な視点だけで、20世紀の悲劇を総括できるか、と本書は問う。ドイツ国防軍の制服を着た軍人がユダヤ人救出に関わった史実を改めて発掘、整理したのだが………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年08月03日
[ジャンル]歴史

犬と人の生物学―夢・うつ病・音楽・超能力 [著]スタンレー・コレン

犬と人の生物学―夢・うつ病・音楽・超能力 [著]スタンレー・コレン

■知られざる犬の生態を分析  WHO(世界保健機関)の統計などを参考にすると、世界には5億2500万頭の犬がいるそうだ。オオカミ(約40万頭)より圧倒的に多い。犬は「人間が暮らす場所」に適合して、「種としての存続に成功………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年07月27日
[ジャンル]科学・生物

万葉集と日本人 読み継がれる千二百年の歴史 [著]小川靖彦

万葉集と日本人 読み継がれる千二百年の歴史 [著]小川靖彦

■時代が息吹を与えた「巨人」  本書を読み進めるうちに、私たちは万葉集を擬人化して考えればいいのか、と気づく。1200年の生命を保つ「巨人」はどのような形で誕生したのか、どういう器官を持っているのか、いかなる歴史上の人………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年07月06日
[ジャンル]歴史

ラスト・バタリオン―蒋介石と日本軍人たち [著]野嶋剛

ラスト・バタリオン―蒋介石と日本軍人たち [著]野嶋剛

■国民党が求めた「技術と体験」    歴史には裏表がある。表の史実の陰には屈折した人間の息吹がある。本書を評するのにそのような表現が的確か否かは別にして、この見えざる部分を表に引きだした著者の取材力にまずは感嘆すべきで………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年06月29日
[ジャンル]歴史

日本は戦争をするのか―集団的自衛権と自衛隊 [著]半田滋

日本は戦争をするのか―集団的自衛権と自衛隊 [著]半田滋

■「首相によるクーデター」と警告  今、戦後民主主義体制下のシステム、理念、法体系が音を立てて崩れている。本書を一読しての率直な感想である。単に一内閣が政治改革を目ざしているのではない。  「歴代の自民党政権の憲法解釈………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年06月22日
[ジャンル]政治 社会

鄙への想い  [著]田中優子 / 鄙の宿 [著]W・G・ゼーバルト

鄙への想い  [著]田中優子 / 鄙の宿 [著]W・G・ゼーバルト

■自然と結びつけ思念を生む場  「鄙」といういささか意味深い語を用いた両書にふれて、知的な広がりを実感する。もともとの意味は単に田舎を指すのだが、田中書は「鄙の本当の存在理由は人を自然界に結びつけ直し、人を『まとも』に………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年06月08日
[ジャンル]人文 社会

病から詩がうまれる―看取り医がみた幸せと悲哀 [著]大井玄

病から詩がうまれる―看取り医がみた幸せと悲哀 [著]大井玄

■懊悩の果てに辿りつく境地  終末期医療に関わる著者の最新エッセー集。「看取(みと)りの医師」を自認するだけに、医療現場の現実や自らの来歴を語りつつ、自作の句や病との闘いを詠んだ先達たちの詩歌をあわせて紹介していく。終………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年05月25日
[ジャンル]医学・福祉

ロマ 生きている炎―少数民族の暮らしと言語 [著]ロナルド・リー

ロマ 生きている炎―少数民族の暮らしと言語 [著]ロナルド・リー

■迫害を受け、生身で社会と格闘  「現在、日本などごく少数の国を除いて、ロマは世界中の国々に実在する。われわれの音楽や文化も理解されるようになった」  と著者はこの日本語版への「はしがき」で書く。今やロマはそれぞれの国………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年05月18日
[ジャンル]文芸

大正ロマンの真実 [著]三好徹

大正ロマンの真実 [著]三好徹

■時代に躍った人びとの姿を活写  大正時代は15年、その間に起こった政治、軍事、文化に関わる事件・事象を選び、そこに躍った人びとの姿が活写される。大正の空気(大正ロマンとか大正デモクラシーとか称されるが)は「人」の生き………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年05月04日
[ジャンル]歴史

レーガンとサッチャー 新自由主義のリーダーシップ [著]ニコラス・ワプショット

レーガンとサッチャー 新自由主義のリーダーシップ [著]ニコラス・ワプショット

■20世紀史書き換えた信頼関係  20世紀の人類史ではソ連の社会主義体制の崩壊がもっとも特筆されることの一つだろう。その崩壊の最終段階で主要な役割を果たしたのが、米国のレーガン大統領と英国のサッチャー首相である。それぞ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2014年04月27日
[ジャンル]歴史 政治

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

ページトップへ戻る