佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)の書評

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佐倉統 (東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
さくら・おさむ。1960年東京都生まれ。進化生物学を軸に、生物学史、科学技術論、科学コミュニケーション論を専門とする。著書に『現代思想としての環境問題』『進化論の挑戦』『進化論という考えかた』『「便利」は人を不幸にする』など。

チューリングの妄想 [著]エドゥムンド・パス・ソルダン

チューリングの妄想 [著]エドゥムンド・パス・ソルダン

■魔術性盛り上げる祝祭的構成  著者はボリビア出身の中堅作家。ラテンアメリカの文学といえば、魔術的リアリズムや祝祭的多声性が連想されるが、この作品はそれらの系譜を引きつつも、独自の世界を新しい感覚で展開する。  語り手………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年10月19日
[ジャンル]文芸

松居直自伝・松居直と『こどものとも』・翻訳絵本と海外児童文学との出会い [著]松居直

松居直自伝・松居直と『こどものとも』・翻訳絵本と海外児童文学との出会い [著]松居直

■名作絵本を生みだした「目利き」  昔読んだ(読んでもらった)絵本についての記憶は、驚くほど鮮明だ。『ぐりとぐら』『どろんこハリー』『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』『おおきなかぶ』……。名前を聞いただけで、リズミカル………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年10月12日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

裏山の奇人―野にたゆたう博物学 [著]小松貴

裏山の奇人―野にたゆたう博物学 [著]小松貴

■自然の不思議が「見える」人  スーパー・ナチュラリストの作り方、といった趣の本である。なにしろ著者は、二歳のころから真剣にアリを観察していたというのだから、筋金入りの虫オタク。長じてプロの昆虫研究者となり、今まで気づ………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年09月21日
[ジャンル]科学・生物

嘘と絶望の生命科学 [著]榎木英介/〈科学ブーム〉の構造 [著]五島綾子

嘘と絶望の生命科学 [著]榎木英介/〈科学ブーム〉の構造 [著]五島綾子

■今や日本の科学は、金もうけに堕した  ピペド。  この耳慣れない言葉が、今の日本における生命科学の研究現場を象徴していると、榎木英介は言う。  「ピペット奴隷」の省略形だ。大学院生や大学院を終えた後の研究員(ポスドク………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年09月14日
[ジャンル]科学・生物

インフォグラフィックで見る―138億年の歴史 [著]ヴァレンチナ・デフィリッポ、ジェイムズ・ボール

インフォグラフィックで見る―138億年の歴史 [著]ヴァレンチナ・デフィリッポ、ジェイムズ・ボール

■デザインと視覚表現の勝利  まずは手にとって、中を見ていただきたい。新しい発見の連続で、楽しめること請け合いだ。  インフォグラフィックとは、情報を一目で分かるように表現する技法、また、そうやって表現された絵や図など………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年08月24日
[ジャンル]歴史

SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと [著]チャールズ・ユウ

SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと [著]チャールズ・ユウ

■創作者が翻訳した小説の浮遊感  創作者にとって、他人の作品を翻訳するというのはどのような意味があるのだろうか? 形而上(けいじじょう)的脱力系SFの鬼才にして芥川賞受賞作家の円城塔、初の翻訳である。  原作は、これま………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年08月10日
[ジャンル]文芸

SFを実現する 3Dプリンタの想像力 [著]田中浩也

SFを実現する 3Dプリンタの想像力 [著]田中浩也

■社会の凝りや澱がほぐされる  タイトルの「SF」は、通常の「サイエンス・フィクション」に、「ソーシャル・ファブリケーション」という新しい意味がかけられている。社会を組み換える、鋳掛け直す、というニュアンスである。  ………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年07月20日
[ジャンル]科学・生物 社会

好奇心の赴くままに——ドーキンス自伝1——私が科学者になるまで [著]リチャード・ドーキンス

好奇心の赴くままに——ドーキンス自伝1——私が科学者になるまで [著]リチャード・ドーキンス

■自然に誕生した『利己的な遺伝子』  ドーキンスは、世界の見方を変えた人である。彼の退官記念論文集の副題は、「ひとりの科学者が私たちの思考様式をどのように変えたか」という。優秀な科学者は大勢いるが、世界観を変えることが………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年07月13日
[ジャンル]科学・生物 社会

エピジェネティクス 新しい生命像をえがく [著]仲野徹

エピジェネティクス 新しい生命像をえがく [著]仲野徹

■メカニズムと実例わかりやすく  生命科学領域で注目を集めているエピジェネティクスについての、格好の入門書。  エピジェネティクスとは、遺伝子(DNA)の塩基配列は変化しないけれども、生物の形や生理などの表現型に安定的………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年07月06日
[ジャンル]科学・生物

境界の町で [著]岡映里

境界の町で [著]岡映里

■「膜」を介して被災地に触れる    言葉が、深く、読み手の心に沁(し)み入ってくる。ずんずん突き刺さるのでも、がんがん飛び込んでくるのでもなく、じわり、と膜を通して浸潤してくる。そんな本だ。  著者は原発事故の被災地………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年06月29日
[ジャンル]文芸

ペンギンが教えてくれた物理のはなし [著]渡辺佑基

ペンギンが教えてくれた物理のはなし [著]渡辺佑基

■動物に発信器つけ、生活の実態さぐる  バイオロギングを知っていますか? 動物に小型の発信器を装着し、その行動を記録する研究分野だ。渡り鳥の長距離移動や魚の潜水など、今までデータが取りにくかった行動について、正確で詳細………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年06月22日
[ジャンル]科学・生物

エンジニアリングの真髄——なぜ科学だけでは地球規模の危機を解決できないのか [著]ヘンリー・ペトロスキー

エンジニアリングの真髄——なぜ科学だけでは地球規模の危機を解決できないのか [著]ヘンリー・ペトロスキー

■科学と技術の違いを深く考察  幼稚園のころ、レタスとキャベツの区別がつかなかった。間違えて笑われたことがある。分かっている人からしたら当然でも、そうでない人には違いがまったく分からない——。そういう存在、結構あるよう………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年06月01日
[ジャンル]科学・生物

山下清と昭和の美術―「裸の大将」の神話を超えて [編]服部正、藤原貞朗

山下清と昭和の美術―「裸の大将」の神話を超えて [編]服部正、藤原貞朗

■美術と福祉のはざまにある偶像  山下清の作品を初めてじっくり見たのは、3年前、長野県茅野市の《放浪美術館》を別用のついでに訪問したときだ。その緻密(ちみつ)、繊細、艶(つや)やかな作品群は、ぼくが漠然と抱いていた無骨………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年05月11日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

図説 人体イメージの変遷 西洋と日本 古代ギリシャから現代まで [著]坂井建雄

図説 人体イメージの変遷 西洋と日本 古代ギリシャから現代まで [著]坂井建雄

■自らの内側をどう描いてきたか  人はみずからの〈内側〉を、どのように描いてきたのか? 著者が収集した古今東西大量の人体解剖図の特徴を、編年的に総覧したのがこの本だ。百数十点の図版を眺めているだけでも、描き手が何を考え………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年04月20日
[ジャンル]科学・生物 ノンフィクション・評伝

おさなごころを科学する―進化する乳幼児観 [著]森口佑介

おさなごころを科学する―進化する乳幼児観 [著]森口佑介

■「大人とは異なる存在」として  本書の終わりに近い第8章「仮想する乳幼児」で、〈空想の友達〉に関する著者自身の研究が紹介されている。小さな子供たちはときどき、そこに架空の生き物がいるかのようにふるまう。話しかけ、とも………[もっと読む]

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)
[掲載]2014年04月06日
[ジャンル]教育 人文

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