原武史(放送大学教授・政治思想史)の書評

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原武史 (放送大学教授・政治思想史)
はら・たけし。1962年東京都生まれ。近現代の天皇・皇室研究のほか、鉄道や団地などの「空間政治学」を提唱。著書に『「民都」大阪対「帝都」東京』(サントリー学芸賞)『滝山コミューン一九七四』(講談社ノンフィクション賞)『昭和天皇』(司馬遼太郎賞)など。

いとの森の家 [著]東直子

いとの森の家 [著]東直子

■伝説に出会い成長を遂げる少女  福岡市内の団地に住んでいた小学4年生の主人公が、父の決断で郊外の糸島半島の丘の上に建てられた一戸建てに引っ越してくるところから物語は始まる。そこは、都会の福岡とは時空の異なる世界への入………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年12月14日
[ジャンル]文芸

孝謙・称徳天皇―出家しても政を行ふに豈障らず [著]勝浦令子

孝謙・称徳天皇―出家しても政を行ふに豈障らず [著]勝浦令子

■制度変革試みた大胆な女性天皇  東京・大手町にある和気清麻呂(わけのきよまろ)像は、紀元2600年に当たる1940年に建てられ、「万世一系」の天皇の血統を守った忠臣として、清麻呂を称(たた)えている。その背景には、僧………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年12月07日
[ジャンル]歴史

どろにやいと [著]戌井昭人

どろにやいと [著]戌井昭人

■山里で怪しげな男女に出会い…  森敦『月山』、太宰治『津軽』、井上ひさし『吉里吉里人』など、東北を舞台にした小説は多い。本書もまた、地名をタイトルに掲げてはいないが、山形県の出羽三山とおぼしき山が舞台となっている。「………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年11月02日
[ジャンル]文芸

マラソンと日本人 [著]武田薫

マラソンと日本人 [著]武田薫

■明治以来の「走る」異端児たち  マラソンと駅伝。どちらも日本人には人気の高いスポーツである。前者は明治末期から、後者は大正期から国内で大会が開かれている。  しかし、前者はオリンピックやボストンマラソンなどが目標とな………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年10月19日
[ジャンル]社会

1969 新宿西口地下広場 [編著]大木晴子・鈴木一誌

1969 新宿西口地下広場 [編著]大木晴子・鈴木一誌

■迫る「広場の政治」の高揚感  日本では諸外国と異なり、首都に「広場」と名のつく空間が少ない。有名な広場といえば、皇居前広場と新宿西口地下広場ぐらいだろう。どちらも、政治的な集会が何度も開かれながら、警官隊や機動隊に強………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年08月10日
[ジャンル]歴史 社会

明治の表象空間 [著]松浦寿輝

明治の表象空間 [著]松浦寿輝

■時代の言説を横断的に俯瞰  例えば、福沢諭吉の専門家が樋口一葉の小説にも精通しているというのは考えにくい。日本の学問体系では前者が政治学や歴史学、後者が文学に分類され、大学なら前者は政治学科や日本史学科に、後者は国文………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年07月27日
[ジャンル]歴史 文芸

儒学殺人事件 堀田正俊と徳川綱吉 [著]小川和也

儒学殺人事件 堀田正俊と徳川綱吉 [著]小川和也

■学説めぐる闘争、大胆に描く  NHKで放映された韓国の歴史ドラマ「トンイ」では、臣下の官僚が朝鮮国王の粛宗(スクチョン)を諫(いさ)める場面が出てきた。時は17世紀の後半。朝鮮半島では、中国にならって朱子学を支配イデ………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年07月06日
[ジャンル]歴史 人文

東京自叙伝 [著]奥泉光

東京自叙伝 [著]奥泉光

■「地霊」が語る都市の根本原理  通常、私たちは東京に住んでいるという言い方をする。多くの人間が集まることで東京という都市ができているのであり、都市は人工的に構成されていると考える。小説でも、東京に住んでいる個別具体的………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年06月22日
[ジャンル]文芸

江戸・東京の都市史——近代移行期の都市・建築・社会 [著]松山恵

江戸・東京の都市史——近代移行期の都市・建築・社会 [著]松山恵

■地図や図面からあぶり出す歴史  明治維新によって、京都にいた天皇は東京に移動し、将軍がいなくなった江戸城は東京城、そして皇城と改称され、東京遷都が実現された——私たちは、江戸から東京への変遷を、何となくこんな感じで思………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年06月15日
[ジャンル]歴史 社会

JR上野駅公園口 [著]柳美里

JR上野駅公園口 [著]柳美里

  ■排除される側も巻き込む天皇制  その男の人生に、天皇や皇后は大きな影を落としていた。そもそも生まれたのが現天皇と同じ昭和8年。妻の名は貞明皇后の名と同じ漢字の節子。息子が生まれた日は、現皇太子と同じ昭和35年2月2………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年05月18日
[ジャンル]文芸

半自叙伝 [著]古井由吉

半自叙伝 [著]古井由吉

■幼年との往復、積み重なる記憶  人は生き続ける限り、心の奥深くにいくつもの記憶を少しずつ積み重ねる。それらの記憶は、たいてい年齢を経るごとに移ろい変容してゆく。輪郭がぼやけて忘れてしまう場合もあれば、逆に輪郭がぼやけ………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年05月04日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

市川房枝と「大東亜戦争」 フェミニストは戦争をどう生きたか [著]進藤久美子

市川房枝と「大東亜戦争」 フェミニストは戦争をどう生きたか [著]進藤久美子

■過去をあとづけ、「可能性」に注目  1962年生まれの私にとって、市川房枝といえば参院選の政見放送で見た、眼鏡をかけた白髪の女性が浮かんでくる。市川は、全国区から出馬した74年の選挙で2位、死去する前年に当たる80年………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年04月20日
[ジャンル]歴史 社会

線路はつながった―三陸鉄道 復興の始発駅 [著]冨手淳

線路はつながった―三陸鉄道 復興の始発駅 [著]冨手淳

■無数の声に耳傾ける民主主義  今日(4月6日)、三陸鉄道北リアス線の小本―田野畑間が開通する。昨日、南リアス線の吉浜―釜石間が開通したのに続いてこの区間が開通することで、三陸鉄道は完全復旧を果たした。  東日本大震災………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年04月06日
[ジャンル]経済 社会

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