原武史(放送大学教授・政治思想史)の書評

写真:原武史さん

原武史 (放送大学教授・政治思想史)
はら・たけし。1962年東京都生まれ。近現代の天皇・皇室研究のほか、鉄道や団地などの「空間政治学」を提唱。著書に『「民都」大阪対「帝都」東京』(サントリー学芸賞)『滝山コミューン一九七四』(講談社ノンフィクション賞)『昭和天皇』(司馬遼太郎賞)など。

西太后秘録―近代中国の創始者(上・下) [著]ユン・チアン

西太后秘録―近代中国の創始者(上・下) [著]ユン・チアン

■「悪役」の像崩し、人間性浮き彫り  20世紀初頭までの中国の歴史のなかで、女性が皇帝となったのは武則天(則天武后)しかいない。だが、19世紀から20世紀にかけての清末の時代、事実上の皇帝の座に40年近くも君臨し続けた………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年04月12日
[ジャンル]歴史 政治 社会

狗賓童子の島 [著]飯嶋和一

狗賓童子の島 [著]飯嶋和一

■「辺境」から見たもう一つの維新  隠岐に島後(どうご)と呼ばれる円形の島がある。古来、流人の島と呼ばれたこの島に、大坂近郊の河内(かわち)から一人の少年が送られてくる。少年の名は西村常太郎(じょうたろう)。父の履三郎………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年03月29日
[ジャンル]歴史

台湾の歓び [著]四方田犬彦

台湾の歓び [著]四方田犬彦

■自由を最大限与えてくれた土地  還暦になったとき、四方田犬彦は一つの決断をした。大学を辞め、日本から、いや国家そのものからしばらく離れることである。そして向かったのは、日本や米国や中国が正式の国交を結ぼうとせず、国家………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年03月08日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

公会堂と民衆の近代-歴史が演出された舞台空間 [著]新藤浩伸

公会堂と民衆の近代-歴史が演出された舞台空間 [著]新藤浩伸

■政治集会や娯楽でつくる「公」  明治以降の日本では、天皇を中心とする政治体制が確立される一方、公園、広場、図書館、駅など、不特定多数の見知らぬ人々が集まる空間がつくられていった。公会堂もその一つである。  読んで字の………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年02月01日
[ジャンル]歴史

折口信夫 [著]安藤礼二

折口信夫 [著]安藤礼二

■画期的な天皇論、新資料交え分析  総索引が付いた全集ばかりか講義録まで完備している。個人の思想を研究するのに、一見これほど恵まれた環境はない。けれども、いったんその「森」に足を踏み入れるや、あまりに鬱蒼(うっそう)と………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年01月25日
[ジャンル]人文 社会

病いの共同体―ハンセン病療養所における患者文化の生成と変容 [著]青山陽子

病いの共同体―ハンセン病療養所における患者文化の生成と変容 [著]青山陽子

■「みんな」に奉仕する自治会  西武池袋線と西武新宿線にはさまれた東京都の西東京市から東村山市にかけての一帯には、独特の風景が広がっている。関東ローム層の堆積(たいせき)する平坦(へいたん)な台地に、大団地や結核療養所………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2015年01月18日
[ジャンル]政治 社会

いとの森の家 [著]東直子

いとの森の家 [著]東直子

■伝説に出会い成長を遂げる少女  福岡市内の団地に住んでいた小学4年生の主人公が、父の決断で郊外の糸島半島の丘の上に建てられた一戸建てに引っ越してくるところから物語は始まる。そこは、都会の福岡とは時空の異なる世界への入………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年12月14日
[ジャンル]文芸

孝謙・称徳天皇―出家しても政を行ふに豈障らず [著]勝浦令子

孝謙・称徳天皇―出家しても政を行ふに豈障らず [著]勝浦令子

■制度変革試みた大胆な女性天皇  東京・大手町にある和気清麻呂(わけのきよまろ)像は、紀元2600年に当たる1940年に建てられ、「万世一系」の天皇の血統を守った忠臣として、清麻呂を称(たた)えている。その背景には、僧………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年12月07日
[ジャンル]歴史

どろにやいと [著]戌井昭人

どろにやいと [著]戌井昭人

■山里で怪しげな男女に出会い…  森敦『月山』、太宰治『津軽』、井上ひさし『吉里吉里人』など、東北を舞台にした小説は多い。本書もまた、地名をタイトルに掲げてはいないが、山形県の出羽三山とおぼしき山が舞台となっている。「………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年11月02日
[ジャンル]文芸

マラソンと日本人 [著]武田薫

マラソンと日本人 [著]武田薫

■明治以来の「走る」異端児たち  マラソンと駅伝。どちらも日本人には人気の高いスポーツである。前者は明治末期から、後者は大正期から国内で大会が開かれている。  しかし、前者はオリンピックやボストンマラソンなどが目標とな………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年10月19日
[ジャンル]社会

1969 新宿西口地下広場 [編著]大木晴子・鈴木一誌

1969 新宿西口地下広場 [編著]大木晴子・鈴木一誌

■迫る「広場の政治」の高揚感  日本では諸外国と異なり、首都に「広場」と名のつく空間が少ない。有名な広場といえば、皇居前広場と新宿西口地下広場ぐらいだろう。どちらも、政治的な集会が何度も開かれながら、警官隊や機動隊に強………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年08月10日
[ジャンル]歴史 社会

明治の表象空間 [著]松浦寿輝

明治の表象空間 [著]松浦寿輝

■時代の言説を横断的に俯瞰  例えば、福沢諭吉の専門家が樋口一葉の小説にも精通しているというのは考えにくい。日本の学問体系では前者が政治学や歴史学、後者が文学に分類され、大学なら前者は政治学科や日本史学科に、後者は国文………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年07月27日
[ジャンル]歴史 文芸

儒学殺人事件 堀田正俊と徳川綱吉 [著]小川和也

儒学殺人事件 堀田正俊と徳川綱吉 [著]小川和也

■学説めぐる闘争、大胆に描く  NHKで放映された韓国の歴史ドラマ「トンイ」では、臣下の官僚が朝鮮国王の粛宗(スクチョン)を諫(いさ)める場面が出てきた。時は17世紀の後半。朝鮮半島では、中国にならって朱子学を支配イデ………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年07月06日
[ジャンル]歴史 人文

東京自叙伝 [著]奥泉光

東京自叙伝 [著]奥泉光

■「地霊」が語る都市の根本原理  通常、私たちは東京に住んでいるという言い方をする。多くの人間が集まることで東京という都市ができているのであり、都市は人工的に構成されていると考える。小説でも、東京に住んでいる個別具体的………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年06月22日
[ジャンル]文芸

江戸・東京の都市史——近代移行期の都市・建築・社会 [著]松山恵

江戸・東京の都市史——近代移行期の都市・建築・社会 [著]松山恵

■地図や図面からあぶり出す歴史  明治維新によって、京都にいた天皇は東京に移動し、将軍がいなくなった江戸城は東京城、そして皇城と改称され、東京遷都が実現された——私たちは、江戸から東京への変遷を、何となくこんな感じで思………[もっと読む]

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)
[掲載]2014年06月15日
[ジャンル]歴史 社会

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