諸富徹(京都大学教授・経済学)の書評

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諸富徹 (京都大学教授・経済学)
もろとみ・とおる。1968年大阪府生まれ。環境税や政策課税の問題などを研究。著書に『環境税の理論と実際』(国際公共経済学会賞、日本地方財政学会佐藤賞など)『地域再生の新戦略』(日本公共政策学会著作賞)『私たちはなぜ税金を納めるのか 租税の経済思想史』など。

世界に分断と対立を撒き散らす経済の罠 [著]ジョセフ・E・スティグリッツ

世界に分断と対立を撒き散らす経済の罠 [著]ジョセフ・E・スティグリッツ

■格差見つめる冷静さと温かさ  本書は、ノーベル経済学賞を受賞した米国の碩学(せきがく)による現代資本主義への深い憂慮の書である。大きな話題となったピケティ『21世紀の資本』が1980年以降の格差拡大を証明したことに、………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2015年07月26日
[ジャンル]経済 社会

中国環境汚染の政治経済学 [著]知足章宏

中国環境汚染の政治経済学 [著]知足章宏

■歓迎される汚染企業、構造探る  中国の環境問題は依然として深刻だ。中国由来のPM2・5(微小粒子状物質)が日本にも飛来、話題となったのは記憶に新しい。中国では、女性記者がPM2・5問題を告発したドキュメンタリーがネッ………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2015年07月19日
[ジャンル]社会

日本農業は世界に勝てる [著]山下一仁

日本農業は世界に勝てる [著]山下一仁

■農政転換へ、チャンス掴めるか  「日本の農業は競争力がない、だから保護が必要」という論理は、私たちにとって半ば常識と化している。ところが著者は、日本の農業には高い競争力を発揮する条件が、潜在的に備わっていることを説得………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2015年07月05日
[ジャンル]経済 科学・生物

日本の納税者 [著]三木義一

日本の納税者 [著]三木義一

■「納税は権利」根付かぬ背景は  「納税は国民の権利だ」というと、怪訝(けげん)な顔をされる読者も多いだろう。「納税は義務だ」というのが、我々の常識的な受け止めだからだ。実際、日本国憲法第30条には、国民の納税義務が謳………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2015年06月21日
[ジャンル]経済 社会

シフト&ショック―次なる金融危機をいかに防ぐか [著]マーティン・ウルフ

シフト&ショック―次なる金融危機をいかに防ぐか [著]マーティン・ウルフ

■不可避の危機、その根源を探る  フィナンシャル・タイムズ紙の論説主幹を務める第一級の経済ジャーナリストによる、2007〜08年に発生した世界的な金融・経済危機の徹底分析と将来展望の書だ。  冒頭で著者は、経済理論に基………[もっと読む]

[評者]ビジネス
[掲載]2015年05月31日
[ジャンル]経済

現代アメリカ連邦税制—付加価値税なき国家の租税構造 [著]関口智

現代アメリカ連邦税制—付加価値税なき国家の租税構造 [著]関口智

■「強いドル」「小さな政府」の行方  現代アメリカ税制研究の決定版ともいうべき本書は、クリントン政権以降の米国税制を理論的、歴史的、制度的に徹底解明し、その展望を与えてくれる刮目(かつもく)の書である。  日本はかつて………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2015年05月03日
[ジャンル]社会

資源の循環利用とはなにか [著]細田衛士

資源の循環利用とはなにか [著]細田衛士

■廃棄物問題に資源政策の視点を  天然資源の価格乱高下のたびに、日本経済は大きな影響を受ける。また、中国との関係では、レアメタルの禁輸措置が、日本を外交的に揺さぶる効果的な手段として用いられたことも記憶に新しい。資源の………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2015年04月26日

日本経済の構造変化―長期停滞からなぜ抜け出せないのか [著]須藤時仁、野村容康

日本経済の構造変化―長期停滞からなぜ抜け出せないのか [著]須藤時仁、野村容康

■税制による所得再分配強化を  日本経済の構造と問題点を、長期的な視点から実証的に解き明かしてくれる好著だ。読者は、目の前の霧が晴れる気分を味わうだろう。  まず本書は、日本経済の長期停滞要因として、GDPの約6割を占………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2015年02月22日
[ジャンル]経済

日本型クリエイティブ・サービスの時代 [編]小林潔司、原良憲、山内裕

日本型クリエイティブ・サービスの時代 [編]小林潔司、原良憲、山内裕

■生産者と消費者が「価値共創」  きわめて斬新な経営学書だ。本書は、先進国経済の中で重要性を増す「サービス」に着目し、目に見えず、触ることもできない非物質的な「創造的価値」の創出過程を、明瞭な言語と概念で、初めて我々の………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2015年01月11日
[ジャンル]経済

21世紀の資本 [著]トマ・ピケティ [訳]山形浩生、守岡桜、森本正史

21世紀の資本 [著]トマ・ピケティ [訳]山形浩生、守岡桜、森本正史

■富の格差鋭く分析、分配問題を核心に  資本主義の格差拡大傾向を鋭く分析した世界的ベストセラーの邦訳版が、ついに出版された。本書は、富の格差や社会階級の問題に関心を失った現代経済学を批判、分配問題を経済分析の核心に戻す………[もっと読む]

[評者]ビジネス
[掲載]2014年12月21日
[ジャンル]経済

経済政策で人は死ぬか?—公衆衛生学から見た不況対策 [著]デヴィッド・スタックラー、サンジェイ・バス

経済政策で人は死ぬか?—公衆衛生学から見た不況対策 [著]デヴィッド・スタックラー、サンジェイ・バス

■無謀な緊縮策は生命に悪影響  「借りたものは返す」、これは社会常識だ。しかし経済危機下ですべてを犠牲にしても、債務返済を最優先すべきだろうか。この書物は、著者たちが公衆衛生学の観点から経済・財政政策に問い直しを迫る、………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2014年12月14日
[ジャンル]経済 社会

じゅうぶん豊かで、貧しい社会—理念なき資本主義の末路 [著]ロバート・スキデルスキー、エドワード・スキデルスキー

じゅうぶん豊かで、貧しい社会—理念なき資本主義の末路 [著]ロバート・スキデルスキー、エドワード・スキデルスキー

■蓄積した富で何を実現するか  本書は、ケインズ評伝で有名なR・スキデルスキーとその子息による現代資本主義批判の書である。彼らはまず、「孫の世代の経済的可能性」と題したケインズの1928年講演の世界がなぜ今、実現してい………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2014年11月16日
[ジャンル]社会

ブレトンウッズの闘い ケインズ、ホワイトと新世界秩序の創造 [著]ベン・ステイル

ブレトンウッズの闘い ケインズ、ホワイトと新世界秩序の創造 [著]ベン・ステイル

■新通貨体制めぐる英米闘争鮮やかに  本書は、膨大な文献、会議資料、当事者の手書きメモまで駆使し、1944年に米国で開催されたブレトンウッズ会議における英米間の闘争を描いた大作だ。この会議は、世界経済の中心が大英帝国か………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2014年10月26日
[ジャンル]経済 ノンフィクション・評伝

「平等」理念と政治―大正・昭和戦前期の税制改正と地域主義 [著]佐藤健太郎

「平等」理念と政治―大正・昭和戦前期の税制改正と地域主義 [著]佐藤健太郎

■折衷主義の積極面浮き彫りに  本書の対象である神戸正雄は戦前、京都帝国大学教授として財政学を講じ、戦後は京都市長や地方行政調査委員会議議長を務め、国・地方の行政事務配分に関する「神戸勧告」で名を残した経済学者だ。  ………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2014年09月21日
[ジャンル]政治 社会

民主党政権とは何だったのか―キーパーソンたちの証言 [編]山口二郎、中北浩爾

民主党政権とは何だったのか―キーパーソンたちの証言 [編]山口二郎、中北浩爾

■躓きの石となった財源問題  本書は、民主党の政権獲得から政権転落への栄光と挫折を、インタビュー記録と編者による対談で浮かび上がらせた好著である。  本書を貫くモチーフの一つは、政権交代の原動力となり、また躓(つまず)………[もっと読む]

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
[掲載]2014年09月14日
[ジャンル]政治

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