中条省平(学習院大学教授)の書評

写真:中条省平さん

中条省平 (学習院大学教授)
1954年神奈川県生まれ。学習院大学教授。専門はフランス文学。著書に『最後のロマン主義者』『映画作家論』『文章読本』『反=近代文学史』『ただしいジャズ入門』『天才バカボン家族論「パパの品格」なんていらないのだ!』、訳書にバタイユ『マダム・エドワルダ』など。

THE WRONG GOODBYE [著]矢作俊彦

THE WRONG GOODBYE [著]矢作俊彦

■苦い味わいが示すハードボイルドの今  かつてハードボイルド小説は、卑しい街をゆく憂い顔の騎士の流浪の詩だった。それがいまや卑しい街をさまよう卑しい魂の絶望の物語になっている。チェイスやスピレインや大藪春彦の暴力小説は………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年10月17日
[ジャンル]文芸

悲願千人斬の女 [著]小沢信男

悲願千人斬の女 [著]小沢信男

■破天荒な奇人列伝、至芸の名調子で  『犯罪紳士録』の著者による破天荒な奇人列伝。一度読みはじめたらやめられないほど面白い。山田風太郎の明治ものをもっと実証的に仕上げた趣だが、著者の口調が講談の名人のように弾んで、それ………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年10月10日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

外人部隊 フリードリヒ・グラウザー著(書評)

外人部隊 フリードリヒ・グラウザー著(書評)

 Gourrama  現代に通用、絶望感流れる戦争小説    外人部隊といえば、『モロッコ』と『ボー・ジェスト』のゲーリー・クーパーか、『地の果てを行く』のジャン・ギャバン。前者は優美、後者は豪胆と対照的なキャラクター………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年09月26日

遊撃の美学 映画監督中島貞夫 中島貞夫著、河野真吾編(書評)

遊撃の美学 映画監督中島貞夫 中島貞夫著、河野真吾編(書評)

 アナーキーな精神に満ちた巨匠の全容    私にとってこの夏最高の映画体験は、東京・新文芸坐の「中島貞夫特集」だった。暑いなか連日つめかける観客の熱気も凄(すご)かったが、中島映画のごった煮的パワーは、現在の映画界には………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年08月29日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

反社会学講座 パオロ・マッツァリーノ著(書評)

反社会学講座 パオロ・マッツァリーノ著(書評)

 社会問題の虚偽、がんがん暴きます    著者はイタリアの花売り娘を母として生まれ、今は幕張に住み、立ち食いそばのバイトと大学講師をしています。姓もなんだか嘘(うそ)くさい感じがします。  ところが本書は、社会学の方法………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年08月22日
[ジャンル]人文 社会

国際シンポジウム 小津安二郎 蓮実重彦・山根貞男他編著(書評)

国際シンポジウム 小津安二郎 蓮実重彦・山根貞男他編著(書評)

 蓮実重彦・山根貞男・吉田喜重編著    「謎と未知」の監督を語り合った全記録    昨年、小津安二郎の生誕百年を記念して大規模なシンポジウムが開かれた。世界から集まった豪華なゲストたちは、二日間満員の聴衆がつめかけた………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年08月01日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

家族狩り 天童荒太著(書評)

家族狩り 天童荒太著(書評)

 家族狩り 第一部 幻世の祈り〜第五部 まだ遠い光  衝撃的な題材を手堅いリアリズムで    天童荒太の新作は、一九九五年発表の『家族狩り』の完全な改稿版である。その結果、一冊の単行本が、五分冊の文庫本へと成長した。四………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年07月25日
[ジャンル]文芸

美と王妃たち ジャン・コクトー著(書評)

美と王妃たち ジャン・コクトー著(書評)

 本邦初訳、コクトーのエッセー二篇(へん)を収める。落穂拾いではない。文化史への言及と詩的暗示が多く、難しい文章なのだが、訳者は解説をたっぷり加えて困難を乗りきり、貴重かつ読み応え十分な一冊となった。  前半は「フラン………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年07月11日
[ジャンル]文芸

熱い書評から親しむ感動の名著 [著]bk1 with 熱い書評プロジェクト

熱い書評から親しむ感動の名著 [著]bk1 with 熱い書評プロジェクト

 インターネット上の書店bk1(ビーケーワン)には、一般読者の書評が一日数十本届く。いま読める書評は十万本をこえている。すぐれた書評を書けば、評者はポイントがもらえるという嬉(うれ)しいオマケつきだ。人気評者も生まれ、そ………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年06月20日
[ジャンル]文芸

徴候・記憶・外傷 [著]中井久夫

徴候・記憶・外傷 [著]中井久夫

■豊かなる生、予感や余韻に耳をすまして    高名な精神医学者である著者は、心的外傷後ストレス障害や統合失調症の治療のなかで、患者が虫の知らせを聴くことの重要性を発見する。虫の知らせとは、この世界にみちる予感や余韻のこ………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年05月30日
[ジャンル]科学・生物 医学・福祉

シネマの快楽に酔いしれて [著]加納とも枝

シネマの快楽に酔いしれて [著]加納とも枝

 著者は、映画ファンに名高い新宿のジャズ喫茶「スマイル」の名物店主。  料理好きの主婦業と、深夜におよぶ営業をこなしながら、ハリウッド映画から、日本内外の学生映画祭まで、「かますの干物とおしょう油とお父ちゃんのクリーニ………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年05月23日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

ブラフマンの埋葬 [著]小川洋子

ブラフマンの埋葬 [著]小川洋子

■乾いた死の匂い漂うひと夏の物語    昨年、『博士の愛した数式』が話題を呼んだ小川洋子の最新作。  初夏のある朝、主人公の「僕」は裏庭で傷ついた小動物を見つけ、世話をしてやる。動物はブラフマンと名づけられ、僕はブラフ………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年05月16日
[ジャンル]文芸

「戦間期」の思想家たち—レヴィ=ストロース・ブルトン・バタイユ [著]桜井哲夫

「戦間期」の思想家たち—レヴィ=ストロース・ブルトン・バタイユ [著]桜井哲夫

■第一次大戦後の仏知識人の動向を検証    著者は、この三部作の第一巻にあたる『戦争の世紀』で、第一次世界大戦という未曽有(みぞう)の現象を分析した。本書は、その戦後から第二次大戦直前まで、フランスの若き知識人の思想と………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年05月09日
[ジャンル]人文

白土三平論 [著]四方田犬彦

白土三平論 [著]四方田犬彦

「カムイ伝」の作者の変貌描く究極の研究    子供のころに読んで忘れられないマンガがあった。天皇家に牛乳からつくる「酥(そ)」という長寿の薬が伝えられていたが、それを服用していたミカドが結局死んでしまう。この話を起点に………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年04月25日
[ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝

アチャラカ [著]高平哲郎

アチャラカ [著]高平哲郎

 小林信彦のみごとな定義によれば、「こまかい計算によるタイミングよい動きで見せる喜劇がドタバタで、きちんとしたルールから脱線して行くのがアチャラカ」。  従ってアチャラカは、目の前にあるもの、既存の権威に対する反抗精神………[もっと読む]

[評者]中条省平(学習院大学教授)
[掲載]2004年04月18日
[ジャンル]文芸

ここに掲載されている記事や書評などの情報は、原則的に初出時のものです。

ページトップへ戻る