柄谷行人(哲学者)の書評

写真:柄谷行人さん

柄谷行人 (哲学者)
1941年兵庫県生まれ。著書に『漱石詩論』(群像新人文学賞)『マルクスその可能性の中心』(亀井勝一郎賞)『坂口安吾と中上健次』(伊藤整文学賞)『日本近代文学の起源』『隠喩としての建築』『トランスクリティーク』『ネーションと美学』『歴史と反復』『世界史の構造』など。

暴力はどこからきたか-人間性の起源を探る [著]山極寿一

暴力はどこからきたか-人間性の起源を探る [著]山極寿一

■相手との共存を模索する類人猿たち  戦争にいたるまでの人間の攻撃性に関しては、コンラート・ローレンツによる有力な説があった。動物の場合、攻撃性とその抑止機構にバランスがとれていたのに、人間の場合、武器の出現のために、………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2008年02月17日
[ジャンル]人文

文化人類学とわたし [著]川田順造 

文化人類学とわたし [著]川田順造 

■「直輸入の学問」を生きた「わたし」  本書は「文化人類学とは何か」を問う本であるが、表題が示すように、それは「わたし」とは何かを問うことと切り離せない。文化人類学は、石田英一郎が、アメリカでクローバーらの総合人類学の………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2008年01月20日
[ジャンル]人文

コロニアリズムの超克―韓国近代文化における脱植民地化への道程 [著]鄭百秀

コロニアリズムの超克―韓国近代文化における脱植民地化への道程 [著]鄭百秀

■植民地化が強いた言語経験の普遍化  近代日本の小説は、近代西洋の小説を翻訳することを通して形成された。だから、その意味内容がいかに日本的であろうと反近代的であろうと、すでに近代・西洋の影響下にある。この事実を別に恥じ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2007年12月02日
[ジャンル]文芸 人文

人類の足跡10万年全史 スティーヴン・オッペンハイマー著

人類の足跡10万年全史 スティーヴン・オッペンハイマー著

 Out of Eden : the Peopling of the World  「出アフリカ」たどり、画期的洞察  現生人類の起源に関して、従来二つの説があった。一つは、多地域進化説である。これは世界中の「人種」は………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2007年09月30日
[ジャンル]人文 科学・生物

廣松渉——近代の超克 小林敏明著 京都学派への反発と共感の底に

廣松渉——近代の超克 小林敏明著 京都学派への反発と共感の底に

 廣松渉は、マルクス主義の哲学者として知られている。しかし、読者の中には、つぎの点でとまどいを覚えた者が少なくないだろう。一つは、死語化した漢語の異様なほどの連発である。第二に、晩年に朝日新聞に載せたエッセーで、「日中………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2007年08月26日
[ジャンル]人文

ウィキノミクス ドン・タプスコット、アンソニー・D・ウィリアムズ著

ウィキノミクス ドン・タプスコット、アンソニー・D・ウィリアムズ著

 Wikinomics/How Mass Collaboration Changes Everything  資本の競争が情報の開放を加速する  「ウィキノミクス」とは著者の造語で、不特定の人たちが水平的なネットワーク………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2007年06月24日
[ジャンル]人文 IT・コンピューター

日韓歴史共通教材 日韓交流の歴史 歴史教育研究会・歴史教科書研究会編

日韓歴史共通教材 日韓交流の歴史 歴史教育研究会・歴史教科書研究会編

 日韓歴史共通教材 日韓交流の歴史 先史から現代まで  歴史教育研究会(日本)・歴史教科書研究会(韓国)〔編〕  期せずして見える国民国家の仮構性  本書は、日本の歴史教科書が問題となった1997年から、日韓の歴史学者………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2007年05月06日
[ジャンル]歴史 人文

抵抗の場へ あらゆる境界を越えるために マサオ・ミヨシ×吉本光宏著

抵抗の場へ あらゆる境界を越えるために マサオ・ミヨシ×吉本光宏著

 「移動」し続ける稀有な人物の軌跡  もし戦前・戦中の日本で通常の英語教育を受けた日本人が、戦後まもなくアメリカに渡り、名門大学の英文科教授になったとしよう。それは一事件と呼ぶに値する。大学でも差別が露骨に存在した時代………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2007年04月15日
[ジャンル]人文

金と芸術―なぜアーティストは貧乏なのか? [著]ハンス・アビング

金と芸術―なぜアーティストは貧乏なのか? [著]ハンス・アビング

■国家と資本が価値の「神話化」に寄与  芸術への崇拝は、十九世紀西洋で、ブルジョア的な金権と経済合理性に対するロマン主義的反撥(はんぱつ)として生じた。芸術家は金のために仕事をするのではない、美的価値は市場価値とは異な………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2007年02月25日
[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

獄中記 [著]佐藤優

獄中記 [著]佐藤優

■矛盾が共存、驚嘆すべき知性の活動  本書は、かつて「外務省のラスプーチン」と呼ばれた著者が起訴され、独房に拘置された五一二日間に書いた膨大な読書ノートや書簡を圧縮し編集したものである。著者はこの事件についてすでに何冊………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2007年01月28日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

アナーキスト人類学のための断章 [著]デヴィッド・グレーバー

アナーキスト人類学のための断章 [著]デヴィッド・グレーバー

■「国家と資本に対抗」も人間の本性  著者は人類学者であり、アナキストの活動家である。人類学とアナキズムの結びつきは唐突ではない。「未開社会」を対象としてきた人類学者モース、クラストル、サーリンズらは、そこに国家と資本………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2006年12月17日
[ジャンル]人文

朝鮮通信使をよみなおす―「鎖国」史観を越えて [著]仲尾宏

朝鮮通信使をよみなおす―「鎖国」史観を越えて [著]仲尾宏

■愚かしい反復を免れるために  近年、日本と中国や韓国・北朝鮮との関係が緊迫してきている。これをたんに「戦前の回帰」として見るのは不十分である。たしかにそれは歴史的な反復ではあるが、そのような反復は以前からもあり、もっ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2006年12月03日
[ジャンル]歴史

資本主義に徳はあるか [著]アンドレ・コントスポンヴィル

資本主義に徳はあるか [著]アンドレ・コントスポンヴィル

■道徳を経済・政治に持ち込む危険  われわれは、ある現象を体験するとき、たんに知的に認識するだけではない。同時に、それに対して道徳的な判断をし、また快・不快のような情動を感じる。これらを区別することは難しい。そこで、あ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2006年10月22日
[ジャンル]政治 経済 人文

アメリカ憲法の呪縛 [著]シェルドン・S・ウォリン

アメリカ憲法の呪縛 [著]シェルドン・S・ウォリン

■人民の名のもとに国家権力を拡張  本書の表題は、直訳すれば「過去の現存」である。それはどのような「過去」か。たとえば、フランスの思想家トクヴィルは「アメリカには封建制の過去がない」と述べたが、そのような見方は、今でも………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2006年09月03日
[ジャンル]政治

反ファシズムの危機 [著]セルジョ・ルッツァット

反ファシズムの危機 [著]セルジョ・ルッツァット

■伊でも強まる歴史修正主義を批判  第二次大戦は、日独伊三国同盟(一九四〇年九月締結)と米英ソなどの連合軍の間の戦争であった。ゆえに、日独伊の三国が戦争期のみならず、敗戦後の状況においても類似することは、誰にでも想像が………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2006年07月30日
[ジャンル]歴史 政治

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