保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

写真:保阪正康さん

保阪正康 (ノンフィクション作家)
1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

臨時軍事費特別会計―帝国日本を破滅させた魔性の制度 [著]鈴木晟

臨時軍事費特別会計―帝国日本を破滅させた魔性の制度 [著]鈴木晟

■内訳や実態解明への先導役  日中戦争開始後に近衛内閣のもとで、「臨時軍事費特別会計法」が公布された。わずか2条のこの法律は、その第1条で「支那事変ニ関スル臨時軍事費ノ会計ハ一般ノ歳入歳出ト区分シ事件ノ終局迄(まで)ヲ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年12月15日
[ジャンル]歴史 政治

「3・11」と歴史学 [編]研究会「戦後派第一世代の歴史研究者は21世紀に何をなすべきか」

「3・11」と歴史学 [編]研究会「戦後派第一世代の歴史研究者は21世紀に何をなすべきか」

■命の視点で歴史学総体を見直す  本書の「はしがき」に〈歴史学は、地球、宇宙という意味での「自然」と、「類」としての「人類」の歩みとの関係の問題に、正面から立ち向かう必要がある〉と書かれている。つまり自然と人類との共生………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年12月08日
[ジャンル]歴史

戦後歴程―平和憲法を持つ国の経済人として [著]品川正治

戦後歴程―平和憲法を持つ国の経済人として [著]品川正治

■体制内でも貫いた「9条死守」  著者は陸軍歩兵2等兵として、中国で終戦を迎えた。抑留の後、帰国の復員船で、日本国憲法の草案を伝えるよれよれになった新聞を見た。  「(憲法9条に)はっきりと、二度と戦争はしない、と書い………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年11月10日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

太平洋戦争下 その時ラジオは [著]竹山昭子/大本営発表のマイク [著]近藤富枝

太平洋戦争下 その時ラジオは [著]竹山昭子/大本営発表のマイク [著]近藤富枝

■「報道」から「報導」への傾斜  東京放送局(JOAK)が、テスト放送を開始したのは、1925年3月1日。ラジオはまもなく90年という節目を迎えるが、そのせいかラジオに関する書、あるいは放送人の実像を語る書が相次いで刊………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年10月13日
[ジャンル]歴史

日本国憲法の初心 山本有三の「竹」を読む [編著]鈴木琢磨

日本国憲法の初心 山本有三の「竹」を読む [編著]鈴木琢磨

■今こそ思い起こせと誘う  本書一読後の結論は、今こそ私たちは、「山本有三」を思い起こせとの誘いである。劇作家、作家として幾つかの名作(『路傍の石』など)を残す一方で、戦後は政治家として参議院に緑風会を結成するなど、そ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年10月06日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

シャルル・ドゴール―民主主義の中のリーダーシップへの苦闘 [著]渡邊啓貴

シャルル・ドゴール―民主主義の中のリーダーシップへの苦闘 [著]渡邊啓貴

■外交や歴史観、底部から分析  フランス人ジャーナリストとの対話で、彼がドゴールに批判的な言を吐いたのに応じて、私も日本に伝わるその偏狭さを冷たく論じたら、彼はいきなり激怒して、「日本人に彼の批判は許さない」と言われた………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年09月29日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝 国際

GHQの検閲・諜報・宣伝工作 [著]山本武利

GHQの検閲・諜報・宣伝工作 [著]山本武利

■見えない形の巧みな言論弾圧  GHQ(連合国軍総司令部)は、日本占領終結後にプレス政策をどのように進めたかの報告書をまとめた。そのタイトルが、「プレスの自由」というのだが、著者によればマッカーサーら指導部は、「メディ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年09月15日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

福島と原発―誘致から大震災への五十年 [著]福島民報社編集局

福島と原発―誘致から大震災への五十年 [著]福島民報社編集局

■地方からの目線にこだわる  東京電力福島第一原発の事故は、中央集権型国家の宿痾(しゅくあ)だ、というのが本書の率直な読後感である。日本の原子力発電の歴史、その立地の経緯を丹念に辿(たど)りながら、福島県大熊町などの町………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年09月08日
[ジャンル]社会

戦艦ポチョムキンの生涯―1900-1925 [著]寺畔彦

戦艦ポチョムキンの生涯―1900-1925 [著]寺畔彦

■数奇な運命辿った戦艦の素顔  最終頁(ページ)を閉じたあとに、なるほどこういう視点のこんな記述の書があるのか、とのつぶやきが洩(も)れる書である。  「戦艦ポチョムキン」を語りつつエイゼンシュタイン論、あるいは社会主………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年08月18日
[ジャンル]文芸

戦場の軍法会議―日本兵はなぜ処刑されたのか [著]NHK取材班、北博昭

戦場の軍法会議―日本兵はなぜ処刑されたのか [著]NHK取材班、北博昭

■形骸化していた「法の正義」  昭和史、とくに太平洋戦争の内実を継承するのに、NHKのディレクターの果たす役割は大きい。これまでも中田整一、片島紀男らは資料発掘や新視点などを提示してきたし、定年退局後も幾つかの関連の著………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年08月04日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

トロツキー(上・下) [著]ロバート・サーヴィス

トロツキー(上・下) [著]ロバート・サーヴィス

■革命と共に変貌、複雑な性格描く  トロツキーを20世紀の革命史にどのように位置づけるか、本書はそれを試みた書だが、著者はイギリスのロシア史専攻の歴史学者。これまでに『レーニン』『スターリン』を著し、本書で3部作が完成………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年07月14日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

フィリピンBC級戦犯裁判 [著]永井均

フィリピンBC級戦犯裁判 [著]永井均

■裁かれた日本軍、克明に調査  フィリピンでの戦争裁判に関する先行研究はほとんどない。本書にはその嚆矢(こうし)としての自負が凝縮されている。  太平洋戦争下、日本軍は3年余にわたってフィリピンを占領支配したが、その実………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年06月09日
[ジャンル]歴史

「八月の砲声」を聞いた日本人―第一次世界大戦と植村尚清「ドイツ幽閉記」 [著]奈良岡聰智

「八月の砲声」を聞いた日本人―第一次世界大戦と植村尚清「ドイツ幽閉記」 [著]奈良岡聰智

■知られざる国家総力戦の実態  1914年7月の第1次世界大戦勃発時、ドイツには約600人の日本人(留学生が多い)が滞在していたと推測される。当初、日本は味方と目されていたが、やがて日英同盟の関係で日本も参戦しドイツに………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年06月02日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

正直シグナル 非言語コミュニケーションの科学 [著]アレックス(サンディ)・ペントランド

正直シグナル 非言語コミュニケーションの科学 [著]アレックス(サンディ)・ペントランド

■無意識の行動に表れる意図  本書を読み進むうちに、この書のテーマを意味する表現に何度か出会う。「人間の集団を、言語によって結びついた、個々の知性の集まりとして見ることから、太古のシグナリング・メカニズムによって結びつ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年05月26日
[ジャンル]科学・生物

日本における新聞連載子ども漫画の戦前史 [著]徐園

日本における新聞連載子ども漫画の戦前史 [著]徐園

■ヒトコマから読む社会の動態  著者(中国人研究者)は本書の狙いをこの表題を歴史に「刻む」ことと書く。子ども漫画史から日本社会の動態を問い直すとの姿勢だ。  タテ軸(歴史)とヨコ軸(時代)を明確にするために、明治からの………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2013年05月12日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

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