柄谷行人(哲学者)の書評

写真:柄谷行人さん

柄谷行人 (哲学者)
1941年兵庫県生まれ。著書に『漱石詩論』(群像新人文学賞)『マルクスその可能性の中心』(亀井勝一郎賞)『坂口安吾と中上健次』(伊藤整文学賞)『日本近代文学の起源』『隠喩としての建築』『トランスクリティーク』『ネーションと美学』『歴史と反復』『世界史の構造』など。

漱石という生き方 [著]秋山豊 

漱石という生き方 [著]秋山豊 

■作品への野心なき姿勢が新鮮  近年私は文芸評論を読む気がしない。それらは新しく見せようと奇をてらい、新知識を動員しているが、どれもこれも陳腐である。そもそも書いている人が何のために文学をやっているのかさえわからない。………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2006年06月11日
[ジャンル]文芸

思索日記1 1950−1953 [著]ハンナ・アーレント、[編]ウルズラ・ルッツ/インゲボルク・ノルトマン

思索日記1 1950−1953 [著]ハンナ・アーレント、[編]ウルズラ・ルッツ/インゲボルク・ノルトマン

■「他者性」否定の全体主義、起源は古代  本書は、アーレントが一九五〇年から七三年にいたるまで書いたノートを編纂(へんさん)した本の第一巻である。ここには五〇年から五三年にかけてのノートが収録されているが、それは著者が………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2006年05月14日
[ジャンル]人文

「みんなの意見」は案外正しい [著]ジェームズ・スロウィッキー

「みんなの意見」は案外正しい [著]ジェームズ・スロウィッキー

■群衆が賢くあるための一定の状態とは  本書の原題を直訳すると、「群衆の知恵」である。すなわち、本書は「群衆の狂気」あるいは「衆愚」という伝統的な通念に、異議を唱えるものである。  著者があげている例では、見本市に出さ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2006年03月26日
[ジャンル]人文

黒いアテナ 2 上・下 [著]マーティン・バナール

黒いアテナ 2 上・下 [著]マーティン・バナール

■ギリシャ=西洋起源説に衝撃の反論  本書は、ギリシャに西洋の起源をみる西洋人の見方を根本的に覆した労作で、「黒いアテナ」(全4巻予定)の第2巻(91年刊)を全訳したものである。  著者によれば、古代のギリシャ人は、ギ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2006年01月29日
[ジャンル]歴史 人文

法と掟と 頼りにできるのは、「俺」と「俺たち」だけだ! [著]宮崎学

法と掟と 頼りにできるのは、「俺」と「俺たち」だけだ! [著]宮崎学

■日本社会の「正体」を問う痛快な試み  「法の裏、法の穴をついて儲(もう)ける」など著者自身の「アウトロー生活」の体験から、掟(おきて)と法について考察し、そこから今日の日本社会の批判におよぶ、痛快で、洞察に満ちた書物………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2006年01月22日
[ジャンル]社会

マルチチュード 〈帝国〉時代の戦争と民主主義 上・下

マルチチュード 〈帝国〉時代の戦争と民主主義 上・下

 MULTITUDE  アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート[著]  神話的な喚起力、「多衆」に新展望を見いだす  本書は『〈帝国〉』(二〇〇〇年原書刊)の続編として書かれている。『〈帝国〉』では、ネグリとハートは、ア………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2005年12月11日
[ジャンル]歴史 政治 国際

生きる意味 「システム」「責任」「生命」への批判 イバン・イリイチ著

生きる意味 「システム」「責任」「生命」への批判 イバン・イリイチ著

 IVAN ILLICH IN CONVERSATION by David Cayley  過去を称賛の「反動思想家」実は未来を志向  本書は、三年前に死んだ思想家イバン・イリイチへのインタビューに基づく書である。イリ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2005年11月20日
[ジャンル]人文

厄介なる主体1 政治的存在論の空虚な中心 スラヴォイ・ジジェク著

厄介なる主体1 政治的存在論の空虚な中心 スラヴォイ・ジジェク著

 THE TICKLISH SUBJECT:the absent centre of political ontology  多文化主義による「懐疑の放棄」を問う  本書は、文字どおり「厄介な主体」、つまりデカルトの「………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2005年10月30日
[ジャンル]人文

傍観者からの手紙 FROM LONDON 2003−2005 外岡秀俊著

傍観者からの手紙 FROM LONDON 2003−2005 外岡秀俊著

 不透明な現代を「文学の方法論」で綴る  本書は、著者が新聞社の特派員としてロンドン着任後に綴(つづ)った書簡をまとめたものである。それは二〇〇三年イラク戦争勃発(ぼっぱつ)のころから、二〇〇五年現在におよぶ。  この………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2005年10月16日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ハッカー宣言 マッケンジー・ワーク著

ハッカー宣言 マッケンジー・ワーク著

 著者が目指すのは、一言でいえば、現代の情報社会における『共産党宣言』を書くことである。労働者階級は、かつてのように階級闘争の主体ではない。それにかわって、著者は「ハッカー階級」を見いだす。  ハッカーは、コンピュータ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2005年10月09日
[ジャンル]IT・コンピューター

国家とはなにか 萱野稔人著 国家は暴力による支配階級である

国家とはなにか 萱野稔人著 国家は暴力による支配階級である

 「国家とはなにか」と著者は問う。人はいつも国家について語っている。が、著者のように根本的にそれを問い直す人はめったにいない。今日では国家に関して、つぎのような考えが広く浸透している。国民がそれぞれ主権者であり、国家と………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2005年08月07日
[ジャンル]人文 社会

層としての学生運動 全学連創成期の思想と行動 武井昭夫著

層としての学生運動 全学連創成期の思想と行動 武井昭夫著

 利害を超えた「自治会」の理念を追求  本書は、戦後に全学連(全日本学生自治会総連合)を組織した著者自身による、謙虚な回顧と厳密な検証である。一般に、戦後日本の学生自治会は、共産党の指令でできあがったものであるかのよう………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2005年07月10日
[ジャンル]政治 社会 ノンフィクション・評伝

関係としての自己 木村敏著

関係としての自己 木村敏著

 著者は十年ほど前に精神病の臨床医から引退し、哲学的な思索に入った。が、これを精神医学から哲学への移動とみなすべきではない。たとえば、著者の最初の本『自覚の精神病理』は、離人症を西田幾多郎の哲学に依拠して説明しようとす………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2005年07月03日
[ジャンル]人文 医学・福祉

メイド・イン・ジャパンのキリスト教 マーク・R・マリンズ著

メイド・イン・ジャパンのキリスト教 マーク・R・マリンズ著

 Christianity made in Japan:a study of indigenous movements  死生の習俗から離れ文学・芸術・学問に貢献  本書は、日本に生まれた無教会派をはじめとする土着のキ………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2005年06月26日
[ジャンル]人文

マルク・ブロックを読む 二宮宏之著 歴史の長期持続性を経済史に見いだす

マルク・ブロックを読む 二宮宏之著 歴史の長期持続性を経済史に見いだす

 本書はフランスの歴史家、マルク・ブロックについての評伝である。ブロックは、フェーヴルとともに「社会経済史年報」(一九二九年)を刊行しはじめた。そのためアナール(年報)学派と呼ばれるのだが、この学派の特質は、歴史を長期………[もっと読む]

[評者]柄谷行人(哲学者)
[掲載]2005年05月15日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

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