横尾忠則(美術家)の書評

写真:横尾忠則さん

横尾忠則 (美術家)
よこお・ただのり。1936年兵庫県生まれ。60年代からグラフィックデザイナーとして活躍、80年に画家に転向。画集に『赤の魔笛』『横尾忠則Y字路』『人工庭園』、随想や絵画論に『インドへ』『名画感応術』、対談集に『芸術ウソつかない』、小説に『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)など。

ジョゼフ・コーネル―箱の中のユートピア [著]デボラ・ソロモン

ジョゼフ・コーネル―箱の中のユートピア [著]デボラ・ソロモン

■成功が苦悩だった禁欲の人生  日頃から伝記を愛読する僕が伝記を読み耽(ふけ)るジョゼフ・コーネルの伝記を読んだ。芸術家の伝記が面白いのは、周囲の人間たちが魅了されるあまり人生が壊されていくからだと著者は嘯(うそぶ)く………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2011年03月20日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

迷える者の禅修行―ドイツ人住職が見た日本仏教 [著]ネルケ無方

迷える者の禅修行―ドイツ人住職が見た日本仏教 [著]ネルケ無方

■試練また試練、運命の先には  世の中には物好きというか命知らずの運命に挑戦する勇気ある人間がいるものだ。16歳で仏縁に出会い発心したドイツ人の若者が西洋の価値観と真反対の日本の禅寺に、道元禅師よろしく海を越え正法を求………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2011年02月27日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

駆けぬける現代美術 1990—2010 [著]田中三蔵

駆けぬける現代美術 1990—2010 [著]田中三蔵

■濁流に身を投げながら水先案内  現代美術とは?と問われて何と答えよう。現代の時代の美術を指すといっても多様化した時代の多様化した表現は一方向を向いていない。そんなえたいの知れない現代美術を相手に美術記者としての健脚が………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2011年02月13日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

1秒24コマの美―黒澤明・小津安二郎・溝口健二 [著]古賀重樹

1秒24コマの美―黒澤明・小津安二郎・溝口健二 [著]古賀重樹

■巨匠の映画、核心にある「絵画」  世界の映画史に栄光の名を刻んだ黒澤明、小津安二郎、溝口健二の3監督の作品の骨格を形成する絵画感覚に注目したジャーナリストの著者が、その卓越した美術知識を武器に、クロスオーバー的視線で………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2011年01月23日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

梅原龍三郎とルノワール [編著]嶋田華子

梅原龍三郎とルノワール [編著]嶋田華子

■巨匠の全存在を肉体に刻む幸運  雲の上の巨匠といえども、当たって砕ければ意外と会ってくれるものなんだ。ぼくの場合のダリのように。梅原龍三郎はそうして自らの手でルノワールの門戸を開いたのである。  パリのリュクサンブー………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2011年01月09日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

ブギの女王・笠置シヅ子―心ズキズキワクワクああしんど [著]砂古口早苗

ブギの女王・笠置シヅ子―心ズキズキワクワクああしんど [著]砂古口早苗

■自由と平和と解放の象徴だった    廃虚と化した焼け跡風景の中に、まるでCGによるSFパニック映画の一シーンのように大阪城だけがポツンと取り残されていた。終戦後、母に連れられて鶴橋の闇市に米を売りに行った時、聞こえて………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年12月12日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

ヨーロッパの形―螺旋の文化史 [著]篠田知和基 

ヨーロッパの形―螺旋の文化史 [著]篠田知和基 

■「ヘンテコリン」の謎解けた  ジョルジュ・デ・キリコが形而上(けいじじょう)絵画の時代を終えて、晩年近くに新形而上絵画を確立するが、この絵画作品に頻繁に登場するヘンテコリンなオブジェがある。巨大なS字形にねじれたオブ………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年11月28日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能 国際

フェリーニ [著]ベニート・メルリーノ 

フェリーニ [著]ベニート・メルリーノ 

■映画と生活、本物なのか作り物か  意外かも知れないがフェリーニが映画を撮っていない期間の生活は何とも退屈で味気ない。旅行も映画・演劇鑑賞の興味もなく、わが永井荷風みたいに毎日同じコースを歩いて同じ店でコーヒーを飲み、………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年11月14日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

梅棹忠夫、語る [著]梅棹忠夫 [聞き手]小山修三 

梅棹忠夫、語る [著]梅棹忠夫 [聞き手]小山修三 

■自前の目と足で、思想も「遊び」  生前、今西錦司さんと対談した際、「あんたは学者と違うさかいに今日は遺言のつもりで何でもしゃべるでえ」と言って今西弁の放談が始まったが、本書を読みながら梅棹さんと今西さんがダブってなら………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年10月31日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

右手と頭脳 [著]ペーター・シュプリンガー 

右手と頭脳 [著]ペーター・シュプリンガー 

■手首切断された兵士の自画像とは  この書物の主題はドイツ表現主義の中心的存在であるキルヒナーの「兵士としての自画像」だが、この作品にギョッとするのは、兵士に扮したキルヒナーの手首から先が切断され緑色に変色した右手を軍………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年09月26日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

フェリーニ 映画と人生 [著]トゥッリオ・ケジチ 

フェリーニ 映画と人生 [著]トゥッリオ・ケジチ 

■現実に風穴、そして船は行く  この大冊から抜け出した時、長い長い夢から覚めやらぬままいきなり白昼の大通りに放り出された時のとまどいに似た感覚に襲われながら、〈一体、私とは何者なのだ〉とつぶやくフェリーニの声を耳にした………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年09月12日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

セラフィーヌ [著]フランソワーズ・クロアレク 

セラフィーヌ [著]フランソワーズ・クロアレク 

■神の啓示、芸術の天才と狂気  6歳で孤児になったセラフィーヌ(素人歌手スーザン・ボイルに似ている)は修道院で家政婦をする田舎女だが、ある日聖母から「お前は絵を描かなければならない」と啓示を受け、天上の存在との交信が開………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年08月22日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 医学・福祉

反アート入門 [著]椹木野衣 

反アート入門 [著]椹木野衣 

■難解さなく、示唆に富む  その昔、60年代に反芸術というアバンギャルドに接した者にとっては今日の「反アート」とどう違うんだと比較する時、芸術の本質はいつの時代にも現在の否定の上に立って明日をどう切り開いていくのかとい………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年08月01日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

原節子 あるがままに生きて [著]貴田庄

原節子 あるがままに生きて [著]貴田庄

■光と美と活力をくれた大輪の花  今回は書評というより感想文です。原節子の「美」は僕の中ではグレタ・ガルボを凌(しの)いでいますね。彼女を撮ったどの監督も彼女の比類ない美しさを認めています。関係ないけど、僕は自作の美的………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年07月18日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

西洋中世奇譚集成 聖パトリックの煉獄 [著]修道士マルクス/修道士ヘンリクス

西洋中世奇譚集成 聖パトリックの煉獄 [著]修道士マルクス/修道士ヘンリクス

■死の壁の向こう側との交信  一時、臨死体験者の記録を集めた本やテレビが流行(はや)った時期があったが、その大半は死の壁を前にして引き返してきた話ばかりで壁の向こう側の境域に足を踏み入れた者の証言はエマニエル・スウェデ………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年07月11日
[ジャンル]歴史 医学・福祉

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