保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

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保阪正康 (ノンフィクション作家)
1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

領土問題をどう解決するか 対立から対話へ [著]和田春樹

領土問題をどう解決するか 対立から対話へ [著]和田春樹

■交渉を軸に相手の主張も聞く  著者が本書で企図したことは3点に絞られる。現状の三つの領土問題(北方四島、竹島、尖閣諸島)解決には外交交渉を主軸に相互が軍事力を使わぬこと、領土に関するそれぞれの国との関係文書を改めて精………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年12月09日
[ジャンル]政治 新書 国際

共産主義の興亡 [著]アーチー・ブラウン

共産主義の興亡 [著]アーチー・ブラウン

■20世紀の凄絶な失敗の墓碑銘  共産主義体制を擬人化すると受胎期から誕生、成長、そして死までの歩みを丹念に描いた墓碑銘、それが本書である。20世紀の壮大な実験の報告書ともいえようか。英国の政治学者の書ゆえか、記述の細………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年11月18日
[ジャンル]政治

夕鶴の家‐父と私/桔梗の風‐天涯からの歌/飛花落葉‐季を旅して [著]辺見じゅん

夕鶴の家‐父と私/桔梗の風‐天涯からの歌/飛花落葉‐季を旅して [著]辺見じゅん

■自ら生きた昭和、澄んだ目で直視  歌人、作家、民俗学徒、それに出版社経営など多彩な顔を持っていた辺見じゅんさんが逝ってから1年余が過ぎた。同年生まれで世代体験も共有しているためか、私もなんどか対談を行った。そのような………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年11月04日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ヒトはなぜ神を信じるのか 信仰する本能 [著]ジェシー・ベリング

ヒトはなぜ神を信じるのか 信仰する本能 [著]ジェシー・ベリング

■神を論じる新世代の知性  宗教書ではない。「神」を求める心理(進化心理学という語が用いられている)を解きほぐそうというのが著者の意図である。本文中に「私たちはヒトという種の歴史において、個人的な神を不必要で、ありえな………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年10月28日
[ジャンル]科学・生物

官僚制としての日本陸軍 [著]北岡伸一

官僚制としての日本陸軍 [著]北岡伸一

■明治の政軍関係、解体の過程描く  著者は冒頭で、本書が「近代日本における政軍関係の特質を、さまざまな角度から明らかにしようとするもの」と語る。日本陸軍の誤謬(ごびゅう)を昭和のある時期を起点に明治の建軍期にさかのぼる………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年10月21日
[ジャンル]歴史 政治

占領都市 TOKYO YEAR ZERO 2 [著]デイヴィッド・ピース

占領都市 TOKYO YEAR ZERO 2 [著]デイヴィッド・ピース

■帝銀事件の虚実描く長大な詩  奇妙な小説である。いや特異なノンフィクションだ。いやいや長大な詩というべきかもしれない。  占領下の1948年1月に起こった帝銀事件。松本清張の小説などでよく知られているこの事件を、イギ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年10月14日
[ジャンル]文芸

鉛筆部隊と特攻隊―もうひとつの戦史 [著]きむらけん

鉛筆部隊と特攻隊―もうひとつの戦史 [著]きむらけん

■疎開児童との心の交流再現  昭和十九年八月から敗戦まで、長野・浅間温泉の各旅館に東京・世田谷区の国民学校児童二千五百七十人が集団疎開を行った。その後一部の児童は周辺町村のお寺などに再疎開するが、こうした疎開児童とたま………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年09月23日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

天一一代―明治のスーパーマジシャン [著]藤山新太郎

天一一代―明治のスーパーマジシャン [著]藤山新太郎

■奇術の歴史と哀歓、正直に記録  日本の奇術業界の草分け的人物の評伝である。著者自身も伝統を引き継ぐ奇術師で、先達の素顔を明らかにすることにより、奇術の歴史やそこに関わった人たちの哀歓を正直に記録にとどめようと意図して………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年08月12日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ドストエフスキーとマルクス/秋の思想 かかる男の児ありき [著]河原宏

ドストエフスキーとマルクス/秋の思想 かかる男の児ありき [著]河原宏

■先人の軌跡に「信」を求めて  著者は今年の2月28日に、83歳の人生を閉じた。その死を惜しむかのように、6月に2冊の書が刊行された。両書に通じているテーマは、青年期に戦争を体験したがゆえの〈生きる価値とは何か〉と、〈………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年07月22日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

すべては今日から [著]児玉清

すべては今日から [著]児玉清

■作家の人生を窺う優しい筆調  本好きの人が書いたらこのような本になる、とのサンプルのような書だ。幼年期に講談本の面白さに目ざめてから、読むわ読むわ、歴史小説、ミステリー小説、純文学まで幅広い。この書には本好きでなけれ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年07月01日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

ビル・アンダーソンの昭和史 [著]ウィリアム・S・アンダーソン

ビル・アンダーソンの昭和史 [著]ウィリアム・S・アンダーソン

■日本軍捕虜から企業トップへ  太平洋戦争の期間、日本軍の捕虜となっていた元英国兵の自分史である。戦後はNCR(ナショナル・キャッシュ・レジスター)社のビジネスマン、そして経営者として20世紀後半のある時期まで、同社の………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年06月10日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

キッシンジャー回想録 中国〈上・下〉 [著]ヘンリー・A・キッシンジャー

キッシンジャー回想録 中国〈上・下〉 [著]ヘンリー・A・キッシンジャー

■米中和解から「相互進化」へ  本書の文中では著者の政治哲学や歴史観が短文でさりげなく紹介されている。「一国の歴史の解釈には、その国が持つ記憶が反映している」といった具合なのだが、その中国観は歴史を踏まえつつ、歴代の中………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年06月03日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

兵隊先生―沖縄戦、ある敗残兵の記録 [著]松本仁一

兵隊先生―沖縄戦、ある敗残兵の記録 [著]松本仁一

■兵士として生きた世代の墓標  戦場体験を語り継ぐことは、国民的財産である。大本営参謀たちの語る戦争体験は弁明、遁辞(とんじ)、そして非人間なのだが、兵士の証言は聞くだに辛(つら)い内容だ。だがそれを語り継がずして、こ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年05月20日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

仏独共同通史―第一次世界大戦 [著]J・J・ベッケール、G・クルマイヒ

仏独共同通史―第一次世界大戦 [著]J・J・ベッケール、G・クルマイヒ

■対立の錯誤を明かす実験の書  第一次世界大戦の分析には多様な論点がある。20世紀の科学技術による悲惨な戦争、帝国解体に至るナショナリズムの勃興、各国間の領土をめぐる対立、米国の台頭、共産主義体制の登場、どの視点からで………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年05月13日
[ジャンル]歴史

白秋望景 [著]川本三郎

白秋望景 [著]川本三郎

■時代と格闘した偽りなき人生  この書は詩歌の人・北原白秋の軌跡を辿(たど)った評伝だが、その実著者による追悼詩のような趣をもつ作品である。著者自身が描いている白秋像を自らの言葉で解きほぐしていく。20の章でその57年………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年04月22日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

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