横尾忠則(美術家)の書評

写真:横尾忠則さん

横尾忠則 (美術家)
よこお・ただのり。1936年兵庫県生まれ。60年代からグラフィックデザイナーとして活躍、80年に画家に転向。画集に『赤の魔笛』『横尾忠則Y字路』『人工庭園』、随想や絵画論に『インドへ』『名画感応術』、対談集に『芸術ウソつかない』、小説に『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)など。

柳宗悦を支えて―声楽と民藝の母・柳兼子の生涯 [著]小池静子

柳宗悦を支えて―声楽と民藝の母・柳兼子の生涯 [著]小池静子

■夫支え音楽に生きる鬼気迫る姿  本書は民芸運動にその生涯を捧(ささ)げた哲学者であり美学者の柳宗悦の妻、兼子の激動の一生を綴(つづ)った評伝である。著者小池静子氏は声楽家の兼子に師事。師弟ゆえに語られた数々の内密のエ………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年01月31日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

天才の秘密―アスペルガー症候群と芸術的独創性 [著]マイケル・フィッツジェラルド

天才の秘密―アスペルガー症候群と芸術的独創性 [著]マイケル・フィッツジェラルド

■純真・不器用…資質が共通  我こそは天才なりと自認、もしくは密(ひそ)かに天才性を誇る芸術家には、この本は自分のことを書いているという妄想を呼ぶ。この思いこみがすでに軽度の自閉症、アスペルガー症候群の人である証拠とも………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年01月17日
[ジャンル]人文 医学・福祉

芸術か人生か!―レンブラントの場合 [著]ツヴェタン・トドロフ

芸術か人生か!―レンブラントの場合 [著]ツヴェタン・トドロフ

■私的な世界を排し普遍性を開く  レンブラントの作品をすべて色と形だけで解明することはできない。そう考える多くの評者は、その背後にある彼の思考に光を当てようと試みてきた。  ピカソと同様、レンブラントの大量の自画像にそ………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年01月10日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

わがままこそ最高の美徳 [著]ヘルマン・ヘッセ、[編]フォルカー・ミヒェルス

わがままこそ最高の美徳 [著]ヘルマン・ヘッセ、[編]フォルカー・ミヒェルス

■内部の声に従い宿命を生き抜く  一般的に「わがまま」といえば、相手や周囲の者の意に反して自分の思い通りにならなければ気が済まないという、実にはた迷惑な行動をする自分勝手な人間を指す場合が多い。だけど同じ「わがまま」で………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年12月06日
[ジャンル]文芸

醜の歴史 [編著]ウンベルト・エーコ 

醜の歴史 [編著]ウンベルト・エーコ 

■悪魔の想像力か、醜は美を生む力  どのページでもいい、めくってごらん。きっとあなたは「オエーッ」と言いたくなる図像が目に刺さってきて、次の瞬間「やべぇ」と思い、音を立てて本を閉じるだろう。  この本は、博覧強記で知ら………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年11月22日
[ジャンル]歴史 人文 アート・ファッション・芸能

フリードリヒへの旅 [著]小笠原洋子 

フリードリヒへの旅 [著]小笠原洋子 

■絵に宿る精神を追う「巡礼の書」  フリードリヒはドイツ・ロマン派の画家である。10年ほど前に、著者は彼の「樫(かし)の森の修道院」という作品の存在を初めて知った。この絵に衝撃を受けた著者は何かに取り憑(つ)かれたよう………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年11月15日
[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

46年目の光-視力を取り戻した男の奇跡の人生 [著]ロバート・カーソン

46年目の光-視力を取り戻した男の奇跡の人生 [著]ロバート・カーソン

■手術後に見た世界は驚異の連続  3歳で失明した男が46歳を過ぎて視力を回復したらどうなるか? 視力を得て初めて見る世界は驚異の連続だ。この男マイク・メイは盲目時代に何ひとつ不自由なく、幸せな人生を生きていたので、特に………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年11月01日
[ジャンル]科学・生物 医学・福祉 ノンフィクション・評伝

パラダイスの乞食たち [著]アーヴィング・ステットナー

パラダイスの乞食たち [著]アーヴィング・ステットナー

■芸術と生活体験の歯がゆい不一致  ヘンリー・ミラーの「北回帰線」に影響を受けた米ブルックリン生まれのアーヴィング・ステットナーはミラーがしたようにパリに渡って創造的人間を目指し、作家を夢み、芸術のための人生を実践しよ………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年09月27日
[ジャンル]文芸

アルベール・カーン コレクション―よみがえる100年前の世界 [著]デイヴィッド・オクエフナ

アルベール・カーン コレクション―よみがえる100年前の世界 [著]デイヴィッド・オクエフナ

■時代思想を超えた純粋無垢な写真美  フランスの大富豪、アルベール・カーンは私財を投じて最新の写真技術を携えたカメラマンを世界各地に派遣して、20世紀初頭のさまざまな様相を撮らせた。彼は国際主義者であると同時に平和主義………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年09月20日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

ジョルジュ・ブラック―絵画の探求から探求の絵画へ [著]ベルナール・ジュルシェ

ジョルジュ・ブラック―絵画の探求から探求の絵画へ [著]ベルナール・ジュルシェ

■「表現」を脱し自由な境地に到達  フォービスムから出発して、セザンヌの影響を経てピカソとキュビスムに交差、マチスをかすめてゴッホに至る、みたいな美術史的図式でブラックをとらえて何が悪かろう。換骨奪胎しない芸術家は真の………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年08月23日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

過ぎ行く人たち [著]高橋たか子

過ぎ行く人たち [著]高橋たか子

■「私」の流れつく先はどこなのか  冒頭、28歳の私(著者ではない)はノルウェーでブノワと名乗る8歳の少年に出会う。10年後、パリの聖ジェルマン通りですれ違った青年と少年が重層する。「私の超感覚のようなものが、そう囁(………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年07月26日
[ジャンル]文芸

路上のソリスト 失われた夢 壊れた心 [著]スティーヴ・ロペス

路上のソリスト 失われた夢 壊れた心 [著]スティーヴ・ロペス

■芸術を愛する魂が宿る場所とは  この本はいろんな意味で面白かった。正確には、精神疾患に関心のある著者ロペス氏の言動が興味深いと言うべきか。彼の献身的な物語(ドキュメント)に付き合わされるのだが、僕はその視点や思いこみ………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年07月12日
[ジャンル]医学・福祉 ノンフィクション・評伝

「幽霊屋敷」の文化史 [著]加藤耕一

「幽霊屋敷」の文化史 [著]加藤耕一

■身の毛もよだてば血も凍る演出  昔々、プラトンやダンテ、そしてスウェーデンボルグやルドルフ・シュタイナーが言いました。死者が死後、天国と地獄の間の煉獄(れんごく)で贖罪(しょくざい)を果たし得ない場合、その霊魂は時と………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年06月21日
[ジャンル]歴史 人文 新書

早世の天才画家―日本近代洋画の十二人  [著]酒井忠康

早世の天才画家―日本近代洋画の十二人  [著]酒井忠康

■短い生を燃焼しつくした12人  夭折(ようせつ)の画家は、なぜか天才の呼称を付与されることが多い。『早世の天才画家』には享年43歳の小出楢重を筆頭に、岸田劉生38歳、村山槐多22歳、関根正二20歳など、計12人の画家………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年06月07日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝 新書

水深五尋 [著]ロバート・ウェストール

水深五尋 [著]ロバート・ウェストール

■謎にひかれる少年らの行く先は  『水深五尋』という題名に惹(ひ)かれた。その時ジュール・ヴェルヌの『海底二万里』の潜水艦ノーチラス号を連想した。結果は中(あた)らずと雖(いえど)も遠からず。現代のイギリス児童文学を代………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年05月17日
[ジャンル]文芸

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