横尾忠則(美術家)の書評

写真:横尾忠則さん

横尾忠則 (美術家)
よこお・ただのり。1936年兵庫県生まれ。60年代からグラフィックデザイナーとして活躍、80年に画家に転向。画集に『赤の魔笛』『横尾忠則Y字路』『人工庭園』、随想や絵画論に『インドへ』『名画感応術』、対談集に『芸術ウソつかない』、小説に『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)など。

とらわれない言葉 [編]アンディ・ウォーホル美術財団

とらわれない言葉 [編]アンディ・ウォーホル美術財団

■矛盾の塊「すべてウソ」語録  「私を知りたきゃ私の絵の表面を見ればいい、裏には何もない」。アンディ・ウォーホルの有名な言葉だ。つべこべ理屈をこく前に、包み隠さず自分の全(すべ)てを吐き出した絵を見てくれと言わんばかり………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年04月25日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

散歩の昆虫記 [著]奥本大三郎

散歩の昆虫記 [著]奥本大三郎

■人間と虫、分けて考えたらアカン  市井のド真ん中で天下国家を論じるのもええけど、奥本はんに同行して足元の草葉の陰で生存に命をかけている別の生命体の生活を覗(のぞ)いてみまへんか。  奥本はんは人間の好き嫌いは前世の因………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年04月18日
[ジャンル]文芸 科学・生物

失われた天才―忘れ去られた孤高の音楽家の生涯 [著]ケヴィン・バザーナ

失われた天才―忘れ去られた孤高の音楽家の生涯 [著]ケヴィン・バザーナ

■誰にも似ていなかったからこそ  時代が天才を渇望しているのか、近頃「天才」を表題に付した本が目につく。私もこの欄で2冊紹介した。なぜか天才には人を熱狂させる魔力が潜む。  『失われた天才』のニレジハージは、予想不可能………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年03月14日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

 ダリ・私の50の秘伝―画家を志す者よ、ただ絵を描きたまえ! [著]サルヴァドール・ダリ

 ダリ・私の50の秘伝―画家を志す者よ、ただ絵を描きたまえ! [著]サルヴァドール・ダリ

 信じられないことだが、ダリが画家の卵を対象に、1947年に技法書を書いていた。長らく絶版だったらしいが、今頃になって日本語でお目見えした。どうせダリのことだ。まともな技法書など書くはずがない。ところが中身は例によって………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年02月28日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

柳宗悦を支えて―声楽と民藝の母・柳兼子の生涯 [著]小池静子

柳宗悦を支えて―声楽と民藝の母・柳兼子の生涯 [著]小池静子

■夫支え音楽に生きる鬼気迫る姿  本書は民芸運動にその生涯を捧(ささ)げた哲学者であり美学者の柳宗悦の妻、兼子の激動の一生を綴(つづ)った評伝である。著者小池静子氏は声楽家の兼子に師事。師弟ゆえに語られた数々の内密のエ………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年01月31日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

天才の秘密―アスペルガー症候群と芸術的独創性 [著]マイケル・フィッツジェラルド

天才の秘密―アスペルガー症候群と芸術的独創性 [著]マイケル・フィッツジェラルド

■純真・不器用…資質が共通  我こそは天才なりと自認、もしくは密(ひそ)かに天才性を誇る芸術家には、この本は自分のことを書いているという妄想を呼ぶ。この思いこみがすでに軽度の自閉症、アスペルガー症候群の人である証拠とも………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年01月17日
[ジャンル]人文 医学・福祉

芸術か人生か!―レンブラントの場合 [著]ツヴェタン・トドロフ

芸術か人生か!―レンブラントの場合 [著]ツヴェタン・トドロフ

■私的な世界を排し普遍性を開く  レンブラントの作品をすべて色と形だけで解明することはできない。そう考える多くの評者は、その背後にある彼の思考に光を当てようと試みてきた。  ピカソと同様、レンブラントの大量の自画像にそ………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2010年01月10日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

わがままこそ最高の美徳 [著]ヘルマン・ヘッセ、[編]フォルカー・ミヒェルス

わがままこそ最高の美徳 [著]ヘルマン・ヘッセ、[編]フォルカー・ミヒェルス

■内部の声に従い宿命を生き抜く  一般的に「わがまま」といえば、相手や周囲の者の意に反して自分の思い通りにならなければ気が済まないという、実にはた迷惑な行動をする自分勝手な人間を指す場合が多い。だけど同じ「わがまま」で………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年12月06日
[ジャンル]文芸

醜の歴史 [編著]ウンベルト・エーコ 

醜の歴史 [編著]ウンベルト・エーコ 

■悪魔の想像力か、醜は美を生む力  どのページでもいい、めくってごらん。きっとあなたは「オエーッ」と言いたくなる図像が目に刺さってきて、次の瞬間「やべぇ」と思い、音を立てて本を閉じるだろう。  この本は、博覧強記で知ら………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年11月22日
[ジャンル]歴史 人文 アート・ファッション・芸能

フリードリヒへの旅 [著]小笠原洋子 

フリードリヒへの旅 [著]小笠原洋子 

■絵に宿る精神を追う「巡礼の書」  フリードリヒはドイツ・ロマン派の画家である。10年ほど前に、著者は彼の「樫(かし)の森の修道院」という作品の存在を初めて知った。この絵に衝撃を受けた著者は何かに取り憑(つ)かれたよう………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年11月15日
[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

46年目の光-視力を取り戻した男の奇跡の人生 [著]ロバート・カーソン

46年目の光-視力を取り戻した男の奇跡の人生 [著]ロバート・カーソン

■手術後に見た世界は驚異の連続  3歳で失明した男が46歳を過ぎて視力を回復したらどうなるか? 視力を得て初めて見る世界は驚異の連続だ。この男マイク・メイは盲目時代に何ひとつ不自由なく、幸せな人生を生きていたので、特に………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年11月01日
[ジャンル]科学・生物 医学・福祉 ノンフィクション・評伝

パラダイスの乞食たち [著]アーヴィング・ステットナー

パラダイスの乞食たち [著]アーヴィング・ステットナー

■芸術と生活体験の歯がゆい不一致  ヘンリー・ミラーの「北回帰線」に影響を受けた米ブルックリン生まれのアーヴィング・ステットナーはミラーがしたようにパリに渡って創造的人間を目指し、作家を夢み、芸術のための人生を実践しよ………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年09月27日
[ジャンル]文芸

アルベール・カーン コレクション―よみがえる100年前の世界 [著]デイヴィッド・オクエフナ

アルベール・カーン コレクション―よみがえる100年前の世界 [著]デイヴィッド・オクエフナ

■時代思想を超えた純粋無垢な写真美  フランスの大富豪、アルベール・カーンは私財を投じて最新の写真技術を携えたカメラマンを世界各地に派遣して、20世紀初頭のさまざまな様相を撮らせた。彼は国際主義者であると同時に平和主義………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年09月20日
[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

ジョルジュ・ブラック―絵画の探求から探求の絵画へ [著]ベルナール・ジュルシェ

ジョルジュ・ブラック―絵画の探求から探求の絵画へ [著]ベルナール・ジュルシェ

■「表現」を脱し自由な境地に到達  フォービスムから出発して、セザンヌの影響を経てピカソとキュビスムに交差、マチスをかすめてゴッホに至る、みたいな美術史的図式でブラックをとらえて何が悪かろう。換骨奪胎しない芸術家は真の………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年08月23日
[ジャンル]アート・ファッション・芸能

過ぎ行く人たち [著]高橋たか子

過ぎ行く人たち [著]高橋たか子

■「私」の流れつく先はどこなのか  冒頭、28歳の私(著者ではない)はノルウェーでブノワと名乗る8歳の少年に出会う。10年後、パリの聖ジェルマン通りですれ違った青年と少年が重層する。「私の超感覚のようなものが、そう囁(………[もっと読む]

[評者]横尾忠則(美術家)
[掲載]2009年07月26日
[ジャンル]文芸

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