保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

写真:保阪正康さん

保阪正康 (ノンフィクション作家)
1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

煩悶青年と女学生の文学誌 [著]平石典子/学校制服の文化史 [著]難波知子

煩悶青年と女学生の文学誌 [著]平石典子/学校制服の文化史 [著]難波知子

■明治日本学徒の外見と内実解析  期せずして同時期に近代日本(特に明治)の青年学徒の外見(制服)とその内実(精神)を解析する書が刊行された。両書とも研究書ではあるが、しかし平石書は明治の青年男女の内実が文学にどう現れて………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年04月08日
[ジャンル]歴史 教育

めぐりあい―映画に生きた熊井啓との46年 [著]熊井明子

めぐりあい―映画に生きた熊井啓との46年 [著]熊井明子

■夫と描く 戦後日本の「魂の記録」  本書は戦後日本の「魂の記録」と言えるのではないか。読み進むと分かってくるのだが、生の意味と真摯(しんし)に向き合う人には、必ずそれに応分の伴侶から師、さらには畏敬(いけい)する先達………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年03月18日
[ジャンル]文芸

動物が幸せを感じるとき―新しい動物行動学でわかるアニマル・マインド [著]T・グランディン、C・ジョンソン

動物が幸せを感じるとき―新しい動物行動学でわかるアニマル・マインド [著]T・グランディン、C・ジョンソン

■充足した生をいかに与えるか  人間は動物の支えを受けて「人間」たりえている。「食料にされる動物と人間との関係は、共生」との信念を持つ動物学者が、では個々の動物が本来の感情が尊ばれ、気持ちよくその生を終えているのかと問………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年03月11日
[ジャンル]人文 科学・生物

山本周五郎戦中日記 [著]山本周五郎

山本周五郎戦中日記 [著]山本周五郎

■戦後作品につながる重い読後感  伊藤整、高見順など作家たちの「太平洋戦争下の日記」に、新たに当時の中堅作家の日々の記録が加わった。といっても、実際には飛び飛びに書かれたもので、記録よりは記憶、あるいは覚悟を知るための………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年02月19日
[ジャンル]文芸

かれらの日本語―台湾「残留」日本語論 [著]安田敏朗

かれらの日本語―台湾「残留」日本語論 [著]安田敏朗

■国語教育の歪み示し郷愁排す  本書中に次の一節がある。〈台湾を植民地として国語教育を開始して以来、そこで話されている日本語はあくまでも「かれらの日本語」でしかなかったのではないか。たとえスローガンとして日本への「同化………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年02月12日
[ジャンル]歴史 人文

人間 昭和天皇(上・下) [著]高橋紘

人間 昭和天皇(上・下) [著]高橋紘

■皇室記者の強みに客観性加え  このところ昭和天皇伝(論)の刊行が相次ぐ。従来とは異なる視点が目立つ。確かに先行書には皇室記者会に所属した皇室記者の系譜がある。この一連の書には、昭和天皇と会話を交わしたという強みと、そ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年01月29日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

見て見ぬふりをする社会 [著]マーガレット・ヘファーナン [訳]仁木めぐみ

見て見ぬふりをする社会 [著]マーガレット・ヘファーナン [訳]仁木めぐみ

■心理を分析、時代の見方説く  正義が退嬰(たいえい)化する社会を嘆くかに見える書だが、実はそうではない。見えないふりをする人間心理を具体的な事例や近年の脳科学、社会関係学、さらには史実解析などを通じて分析している。見………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年01月22日
[ジャンル]人文 社会

人道的帝国主義―民主国家アメリカの偽善と反戦平和運動の実像 [著]ジャン・ブリクモン

人道的帝国主義―民主国家アメリカの偽善と反戦平和運動の実像 [著]ジャン・ブリクモン

■論理的な批判、切れ味も鋭く  本書を読み進むうちに、すぐに気づくことがある。とにかく自らの論を説明するのに、これには二つの見方があるとか、明確にすべき三つの点があるとかいった具合の記述が多いのだ。著者はベルギーの理論………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年01月08日
[ジャンル]人文

人と動物、駆け引きの民族誌 [編著]奥野克巳

人と動物、駆け引きの民族誌 [編著]奥野克巳

■過剰な捕食諫める伝承の深み  人間と動物との関わりは、「狩る者」と「狩られる物」との関係から家畜化を経て、現代は愛玩動物に転じた。もっとも近代医学は実験動物としても利用してきた。  人類史のこのサイクルの中で、愛玩動………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年12月11日
[ジャンル]科学・生物

物理学史への道 [著]辻哲夫

物理学史への道 [著]辻哲夫

■近代日本でどう発達したのか  本書は多様な光を放っている。つまり、いかようにも読める。物理学が近代日本でどのような発達をしたのか。西欧世界の学問の枠がいかに簡略化して日本に持ち込まれたか。ある時期まで基礎理論(石原純………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年12月04日
[ジャンル]科学・生物

生きる力の源に―がん闘病記の社会学 [著]門林道子

生きる力の源に―がん闘病記の社会学 [著]門林道子

■550冊を分析、新分野開く  人はなぜ「闘病記」を書くのか、その社会的意味は、などの問題意識をもとに、約550冊の闘病記を分析し、時代と病(主にがん)の関係を明かした書である。1970年代からの闘病記を見ていくことに………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年11月27日
[ジャンル]医学・福祉

加藤周一を読む―「理」の人にして「情」の人 [著]鷲巣力

加藤周一を読む―「理」の人にして「情」の人 [著]鷲巣力

■凝縮された人生、見事に分析  同時代の一著述家の評論や小説に生涯にわたって触れるというのは、自らの成長を確認するという意味でも極めて貴重だ。戦後社会にあって〈加藤周一〉の存在を羅針盤のように受け止めていた者は多いので………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年11月06日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

あの時、ぼくらは13歳だった [著]寒河江正、羅逸星

あの時、ぼくらは13歳だった [著]寒河江正、羅逸星

■日韓交流の真の立脚点を示す  日本帝国主義下の朝鮮で、1945年の4カ月半、中学生として共に机を並べた日本人と韓国人。41年ぶりの再会後、二人の間で忌憚(きたん)のない会話を交わし続けた。それが本書になるのだが、当時………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年10月23日
[ジャンル]社会

アニメとプロパガンダ―第二次大戦期の映画と政治 [著]セバスチャン・ロファ

アニメとプロパガンダ―第二次大戦期の映画と政治 [著]セバスチャン・ロファ

■人・資本投入、一気にレベル上昇  第二次大戦当時、アニメの世界ではアメリカが抜きんでていたのだが、そのプロパガンダの効用を求めて各国のレベルが一気に上がったそうだ。政治・軍事指導者にとって「敵のイメージ」を手っ取り早………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年10月16日
[ジャンル]歴史 政治

赤紙と徴兵―105歳、最後の兵事係の証言から [著]吉田敏浩

赤紙と徴兵―105歳、最後の兵事係の証言から [著]吉田敏浩

■狡猾、非情なシステム明らかに  「皇軍の兵士」はいかにつくられたか、その非情なシステムを一兵事係の残した記録をもとに分析した書である。末端の町村でその役割を果たすことを余儀なくされた職員の苦悩、それは戦時下だけでなく………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年10月02日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

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