保阪正康(ノンフィクション作家)の書評

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保阪正康 (ノンフィクション作家)
1939年北海道生まれ。ジャーナリスト。著書に『東條英機と天皇の時代』『陸軍省軍務局と日米開戦』『安楽死と尊厳死』『医療崩壊』『官僚亡国―軍部と霞が関エリート、失敗の本質』など。主宰する「昭和史を語り継ぐ会」の会誌「昭和史講座」で菊池寛賞。

かれらの日本語―台湾「残留」日本語論 [著]安田敏朗

かれらの日本語―台湾「残留」日本語論 [著]安田敏朗

■国語教育の歪み示し郷愁排す  本書中に次の一節がある。〈台湾を植民地として国語教育を開始して以来、そこで話されている日本語はあくまでも「かれらの日本語」でしかなかったのではないか。たとえスローガンとして日本への「同化………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年02月12日
[ジャンル]歴史 人文

人間 昭和天皇(上・下) [著]高橋紘

人間 昭和天皇(上・下) [著]高橋紘

■皇室記者の強みに客観性加え  このところ昭和天皇伝(論)の刊行が相次ぐ。従来とは異なる視点が目立つ。確かに先行書には皇室記者会に所属した皇室記者の系譜がある。この一連の書には、昭和天皇と会話を交わしたという強みと、そ………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年01月29日
[ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝

見て見ぬふりをする社会 [著]マーガレット・ヘファーナン [訳]仁木めぐみ

見て見ぬふりをする社会 [著]マーガレット・ヘファーナン [訳]仁木めぐみ

■心理を分析、時代の見方説く  正義が退嬰(たいえい)化する社会を嘆くかに見える書だが、実はそうではない。見えないふりをする人間心理を具体的な事例や近年の脳科学、社会関係学、さらには史実解析などを通じて分析している。見………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年01月22日
[ジャンル]人文 社会

人道的帝国主義―民主国家アメリカの偽善と反戦平和運動の実像 [著]ジャン・ブリクモン

人道的帝国主義―民主国家アメリカの偽善と反戦平和運動の実像 [著]ジャン・ブリクモン

■論理的な批判、切れ味も鋭く  本書を読み進むうちに、すぐに気づくことがある。とにかく自らの論を説明するのに、これには二つの見方があるとか、明確にすべき三つの点があるとかいった具合の記述が多いのだ。著者はベルギーの理論………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2012年01月08日
[ジャンル]人文

人と動物、駆け引きの民族誌 [編著]奥野克巳

人と動物、駆け引きの民族誌 [編著]奥野克巳

■過剰な捕食諫める伝承の深み  人間と動物との関わりは、「狩る者」と「狩られる物」との関係から家畜化を経て、現代は愛玩動物に転じた。もっとも近代医学は実験動物としても利用してきた。  人類史のこのサイクルの中で、愛玩動………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年12月11日
[ジャンル]科学・生物

物理学史への道 [著]辻哲夫

物理学史への道 [著]辻哲夫

■近代日本でどう発達したのか  本書は多様な光を放っている。つまり、いかようにも読める。物理学が近代日本でどのような発達をしたのか。西欧世界の学問の枠がいかに簡略化して日本に持ち込まれたか。ある時期まで基礎理論(石原純………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年12月04日
[ジャンル]科学・生物

生きる力の源に―がん闘病記の社会学 [著]門林道子

生きる力の源に―がん闘病記の社会学 [著]門林道子

■550冊を分析、新分野開く  人はなぜ「闘病記」を書くのか、その社会的意味は、などの問題意識をもとに、約550冊の闘病記を分析し、時代と病(主にがん)の関係を明かした書である。1970年代からの闘病記を見ていくことに………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年11月27日
[ジャンル]医学・福祉

加藤周一を読む―「理」の人にして「情」の人 [著]鷲巣力

加藤周一を読む―「理」の人にして「情」の人 [著]鷲巣力

■凝縮された人生、見事に分析  同時代の一著述家の評論や小説に生涯にわたって触れるというのは、自らの成長を確認するという意味でも極めて貴重だ。戦後社会にあって〈加藤周一〉の存在を羅針盤のように受け止めていた者は多いので………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年11月06日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

あの時、ぼくらは13歳だった [著]寒河江正、羅逸星

あの時、ぼくらは13歳だった [著]寒河江正、羅逸星

■日韓交流の真の立脚点を示す  日本帝国主義下の朝鮮で、1945年の4カ月半、中学生として共に机を並べた日本人と韓国人。41年ぶりの再会後、二人の間で忌憚(きたん)のない会話を交わし続けた。それが本書になるのだが、当時………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年10月23日
[ジャンル]社会

アニメとプロパガンダ―第二次大戦期の映画と政治 [著]セバスチャン・ロファ

アニメとプロパガンダ―第二次大戦期の映画と政治 [著]セバスチャン・ロファ

■人・資本投入、一気にレベル上昇  第二次大戦当時、アニメの世界ではアメリカが抜きんでていたのだが、そのプロパガンダの効用を求めて各国のレベルが一気に上がったそうだ。政治・軍事指導者にとって「敵のイメージ」を手っ取り早………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年10月16日
[ジャンル]歴史 政治

赤紙と徴兵―105歳、最後の兵事係の証言から [著]吉田敏浩

赤紙と徴兵―105歳、最後の兵事係の証言から [著]吉田敏浩

■狡猾、非情なシステム明らかに  「皇軍の兵士」はいかにつくられたか、その非情なシステムを一兵事係の残した記録をもとに分析した書である。末端の町村でその役割を果たすことを余儀なくされた職員の苦悩、それは戦時下だけでなく………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年10月02日
[ジャンル]ノンフィクション・評伝

評伝 ジョージ・ケナン―対ソ「封じ込め」の提唱者 [著]ジョン・ルカーチ

評伝 ジョージ・ケナン―対ソ「封じ込め」の提唱者 [著]ジョン・ルカーチ

■孤立・誤解を超え、示す外交の本質  「対ソ封じ込め」政策を主導し、東西冷戦を演出した外交官。ジョージ・ケナンには、一貫してそうしたレッテルが貼られてきた。ところが1952年に刊行されたケナンの『アメリカ外交50年』を………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年09月25日
[ジャンル]政治 ノンフィクション・評伝 国際

わが外交人生 [著]丹波實

わが外交人生 [著]丹波實

■歴史的証言に資料的価値高く  著者は1962年に外務省入省、2002年に退官するまでの40年間、外交畑の第一線に立ち続けた。その間の自らの動きを回顧したのが本書だが、幾つかの歴史的証言もあり、資料的価値も高い。  2………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年09月04日
[ジャンル]政治 ノンフィクション・評伝 国際

父・西條八十の横顔 [著]西條八束 [編]西條八峯

父・西條八十の横顔 [著]西條八束 [編]西條八峯

■子と孫が立体的に描く実像  子が父を語る、それを孫が編む。三代を結ぶ糸は畏敬(いけい)と信頼である。加えて直截(ちょくせつ)に評伝風に編んだのではなく、西條八十を見つめる子の目、その八十の家族関係、思い出の人々との交………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年08月28日
[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

戦争と和解の日英関係史 [編著]小菅信子、ヒューゴ・ドブソン

戦争と和解の日英関係史 [編著]小菅信子、ヒューゴ・ドブソン

■共有できる価値観の深化を  英国メディアは、ヨーロッパ戦勝記念日(5月8日)と対日戦勝記念日(8月15日)の報道姿勢が異なっている。前者には回顧、和解、郷愁、祝賀の四つがあり、後者にはそれが薄い。戦勝記念日50年の1………[もっと読む]

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)
[掲載]2011年08月07日
[ジャンル]歴史 国際

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