
書店員に聞く ドラッカー入門本
[掲載]2010年7月31日朝刊be
『もしドラ』がベストセラーになっています。その「ドラ」は青いネコ型ロボットなどではなく、「企業経営の神」とあがめられるドラッカーのこと。「ドラ」もブームなんです。(保科龍朗)
■八重洲ブックセンター八重洲本店 柏明美さんのおすすめ
〈1〉プロフェッショナルの条件 [著]P・F・ドラッカー
〈2〉ドラッカー名著集4 非営利組織の経営 [著]P・F・ドラッカー
〈3〉知の巨人 ドラッカー自伝 [著]P・F・ドラッカー
▽記者のお薦め
〈4〉女子高生ちえの社長日記 [著]甲斐莊正晃
『もしドラ』は、岩崎夏海著『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(ダイヤモンド社)の略だ。
高校野球部の女子マネジャーが、野球のマネジャー論と思いこんでドラッカーの名著『マネジメント』を買いこむ勘違いを発端とした小説仕立てのドラッカー入門書。女子マネジャーは、「企業の目的は顧客の創造であり、マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす」と説くドラッカーの教えに共鳴し、軟弱な野球部を立て直す。
ドラッカー(1909〜2005)は、日本の企業経営者に連綿と読み継がれ、熱烈に信奉されてきた。その理由を「考え方がシンプルで、伝わりやすいから」だという柏さんが、「なぜいま、ドラッカーなのかという問いかけへの答えが詰まった一冊」として挙げるのが(1)『プロフェッショナルの条件』だ。
「『働く人たち自身の仕事についての知識が成果を向上させる原点』という一文が、『現場』を知る大切さを教えてくれる。そこから組織、個人の進むべき方向が定まっていく」(柏さん)
(2)『ドラッカー名著集4 非営利組織の経営』では、学校、自然保護団体などの非営利組織(NPO)のマネジメントが論じられている。「非営利組織で測定が難しい『成果』をあげるために必要な行動が書かれているが、考えを押しつけるのではなく、そっと道しるべを示したうえで、『自分で考えてみなさい』というメッセージを感じる。自己啓発書としても読める名著」と柏さんは評する。
(3)『知の巨人 ドラッカー自伝』は最晩年に、日本経済新聞に連載された『私の履歴書』を土台とした自伝。聞き書きのインタビューのこぼれ話を交えた訳者の手厚い解説で人物像が多面的に活写されているので、彼の言説がより深く骨身にしみてくる。
記者が薦める(4)『女子高生ちえの社長日記』は、『もしドラ』手法のビジネス書の先駆本といえるだろう。
主人公の女子高生、山本ちえは、音響部品メーカーの社長だった父親が急死し、家庭の事情で後継に指名される。二つの工場と約千人もの従業員を抱える企業の経営にいや応なく巻きこまれながら、生産や在庫の管理、マーケティングなどのビジネスの基礎を吸収する女子高生ちえ。続編のパート2では、会社乗っ取りの危機が迫る!? メーカーへ就活中の大学生なら、『もしドラ』とセットで読んでおくと心強いかも知れない。
著者:P・F. ドラッカー・Peter F. Drucker・上田 惇生
出版社:ダイヤモンド社 価格:¥ 1,890
著者:P.F.ドラッカー
出版社:ダイヤモンド社 価格:¥ 1,890
著者:ピーター F ドラッカー
出版社:日本経済新聞出版社 価格:¥ 750
著者:甲斐莊 正晃
出版社:プレジデント社 価格:¥ 1,200
著者:岩崎 夏海
出版社:ダイヤモンド社 価格:¥ 1,680
著者:P・F. ドラッカー・上田 惇生
出版社:ダイヤモンド社 価格:¥ 2,100