新書の穴
感じない男 [著]森岡正博
[掲載]週刊朝日2005年4月8日増大号 [評者]青木るえか
『感じない男』という本を読んでいたら、ミニモニ。のビデオで、矢口真里がミルクを飲まされるシーンがあるのを「少女に白い液体を飲ませるというこの光景が、何を意味するのか、それは言うまでもないであろう」とか書いてあるので力が抜けた。こんな聞き飽きたような、今さら書くのも恥ずかしくなるようなことをこう堂々と書いてある本があったとは。
いや、この本は面白いです。ある意味読みどころ満載。出だしでまず著者の森岡さんが、自分の実感をもとに「男の不感症」について延々語る。ビンビンになるけどまったく快感がないぜ!という話ではなく、射精は気持ちいいが、溜めてたおしっこ出した程度の気持ちよさでしかなく、女の絶頂にくらべてその快感はぜんぜんたいしたもんじゃなく、それはつまり不感症であり、しかし男はそれを言えないように仕組まれている、男性優位の社会にあって、それを言ってしまうのは「王様は裸だ」と言ってしまうようなもんだ、と。
そりゃねえだろう〜。
と、思いつつも、これが男性側から出てきた意見だというのはけっこう斬新なのかもしれない。森岡さんは徹底して、射精という行為につきまとうところの(自分の)みっともなさとか、射精した後のペニス近辺の汚らしさとか、そこから「男性の肉体の美しくなさ」みたいなものを書きまくる。そして「汚らしい男がロリコンに走る理由」を解き明かしていこうとする。こういう評論にありがちな、「自分のみっともなさを直視していない恥ずかしさ」はないのだが、読んでいてツメの甘さと、何か別の恥ずかしさを感じ、恥ずかしいままに読み終わり、本を裏返す。森岡さんの著者近影がそこに。う。ラフなカッコの写真だが、そこには「オレ東大卒の大学教授だけど射精とかオナニーとかロリコンも追求してるワケ」的な念の入ったナルシシズムを感じた。最後にこの写真を見てすべて了解できた気分だ。ほんとに読者はこの人のオナニーにつき合わされたのか。だから恥ずかしかったのか。
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関連情報
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書籍詳細
感じない男
- 著者:
森岡 正博
- 出版社:
筑摩書房
- ISBN:
4480062211
- 価格:
¥ 714
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