■おもねっちゃってるんだもん
「爆笑問題」のお笑いがどうしても面白いと思えず、太田光の「自分が面白いと思えない人や事に対する冷たさ」は見ていて気分のいいモノでないから、テレビではなるべく避けていたので、太田光が小泉首相を批判している、なんてことは知らなかった。
こういう本が出て、太田光の考えていることがよくわかった。
太田光はちゃんとしている。真面目な人である。
ただし面白くはない。「あの爆笑問題の太田が、新たな切り口で憲法問題を語る」というようなものを期待したら裏切られる。
最初にいきなり「宮沢賢治の政治思想」なんかに言及していて、ああ、この人は、本が好きで考えることが好きな真面目な人なんだなということがよくわかる。一人の、真面目な文学好きの語り好きの人が、真面目に憲法を語った本なのだ。
面白くないとは言ったが、今、このタイプの真面目な人というのは貴重だ。人と違ったこと言おうとして偏狭な国粋主義方面に行くヤツが多い中、愚直なまでに「憲法九条の素晴らしさ」を説く。対談相手の中沢新一の発言には(笑)がいっぱい出てくるのに、太田光のほうにはほとんど出てこない。笑いながら喋る気になれないんだと思う。でも、真面目に語りながらすごく面白い憲法論議というのはあったと思うからすごく惜しい。
対談の相手が中沢新一なのが面白くない一因かもしれない。中沢新一、太田光におもねっちゃってるんだもん。テレビで広末涼子相手に「(あなたの言うことは)まったくその通りです」とか言ってたゴルデルさん(『ソフィーの世界』の作者)を思い出した。なんか幇間ぽいのだ。太田光も、相手をもっと選ぶべきだったと思う。中沢新一のほうから持ちかけた話だったようだが、ここは断る気概が欲しかった。この対談を受けてしまうセンスというのが、どうしても「爆笑問題」が面白く思えないということにつながるのか。
私は大川豊と浅田彰の憲法問題対談を読んでみたい。