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新書の穴

韓国の美味しい町 [著]鄭銀淑

[掲載]週刊朝日2006年10月6日増大号
[評者]青木るえか

■食文化、韓国にぜったい負けてる

 日本に生まれて日本に育って日本語しかできず、好きな人も好きなものもみんな日本モノであるから、日本でずっと暮らしていくと思う。夏の暑いのは往生するが、それなりにいいところだ、日本。

 しかし不満は食べ物だ。

 いや、いろんな食材はあるしいろんな国の食べ物食べさせるレストランもありますけど(でも今住んでるうちの近所にはないですけど)、そうじゃなくて、日常の、食。あり合わせのもので食べる昼ご飯みたいなもの。基本の食。

 というのも、この『韓国の美味しい町』を読んでいましたら、出てくる料理出てくる料理、みんな旨そうで旨そうで。

 もちろん「美味しい町」という本だから、美味しいもんばっかり紹介しているのはわかる。いつもこんなものを家で食べてるんじゃないってこともわかる。でもどうも、基本的に韓国のほうがいいもの食べてるとしか思えないのだ。日本と韓国。同じアジア人、顔も似たようなもんなのに、こっちがたくわんでお茶漬けだとすると、あっちは「豚骨や牛肉でとったスープをかけたごはんにアミの塩辛、コチュジャン(唐辛子味噌)」とかである。それも、別に金持ちの道楽食じゃなくて、戦争で引き揚げてきた人たちの貧しい食事がそれだった、っていうんですから。まあ、日本でも、競輪場の古い食堂(新築スタンドに入ったような店ではなく)のモツうどんなんかは美味しいから、そういうことなんでしょうか。

 他にも、平壌の冷麺が旨そうである。これが日本ならコンブのダシで盛りソバとかにして食うんだろうところを、牛のスープに水キムチの汁ですよ。

 豆腐も、日本と同じようなあの豆腐なのに、韓国の豆腐定食は日本の湯豆腐定食より、旨味たっぷりでお腹もふくれそうなんだ。

 ぜったい負けてる。日本は仏教と茶道のせいで、やけに味けない食文化になっちゃったのか?

 と日本文化を否定するところまで行きかかる、韓国の食べ物の旨さを充分に感じさせてくれる本だ。


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書籍詳細

表紙画像

韓国の美味しい町

  • 著者: 鄭 銀淑
  • 出版社: 光文社
  • ISBN: 4334033687
  • 価格: ¥ 735

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