ここから本文エリア

RSS

現在位置:asahi.com>BOOK>新書の穴> 記事

新書の穴

挫折し続ける初心者のための最後のジャズ入門 [著]中山康樹

[掲載]週刊朝日2007年03月16日号
[評者]青木るえか

■「ジャズは大丈夫」とすっきりした

 もう諦めたはずなのだが、どうしても未練が残っている。ジャズ。

 自分はロックファンであり、ジャズとは相容れないのだ、とあれほど言い聞かせたのに。どういうわけか「もしかして私が知らないだけで、ジャズって素晴らしいんじゃ」という幻想から逃れられない。「やっぱりダメだと気づく」ということをすでに6回ぐらいはやっているのに、まだわからんか。

 中山康樹のジャズ本も、何冊読んだことだろうか。中山康樹という人は、すごく面白い語り口調の文章を書く人で、そもそもこの人の文章のファンなもんだから、この人がジャズを語ったものを読めばなんとかなるんじゃないかと思って……。ダメでした。中山康樹の影響で「マイルス(・デイビス)はすげえ」というのは頭に刷り込まれたけど、聴いてみてもひとつもイイと思えず、しかし中山康樹の書くマイルスは好き、という状況だけが残った。そんなゆがんだ状況はどうかと思う。なんとかジャズを良きものとして聴きたい、という気持ちはあるのだ。

 そんな私の心を見透かしたようなこの本。『挫折し続ける初心者のための最後のジャズ入門』中山康樹著!

 面白い。ジャズを聴く初心者の犯す間違いや、ジャズを聴く初心者に向けられるアドバイスのとんちんかん、などが詳しく語られている。そしてジャズに慣れるまでの具体的なアドバイスも、すごく細かいところまできっちりしてくれる。ジャズ用語はおぼえる必要なしとか、ボックスセットは買うなとか、あとジャケットに騙されるなというのも重要か。その上での、ジャズがいかに素晴らしいか、そこにいかに入り、いかに楽しむか、というのがほんとに面白く書いてある。

 なるほどなるほど、と読んで、読み終わり、すっきりした気持ちになった。この本を読んで、私はもう「ジャズは大丈夫。聴かなくても」という気持ちになりました。もう未練はない。私にとっては必要のない音楽だ。それもよくわかった。中山さんありがとう。

ここから広告です

広告終わり

新書の穴 バックナンバー

バックナンバー

このページのトップに戻る