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ここから本文エリア 新書の穴 昭和史の教訓 [著]保阪正康[掲載]週刊朝日2007年03月30日増大号 ■冷静に、淡々と、「バカ」と断じる 保阪正康のファンです。 この人の昭和史モノの本の何が面白いって、戦争に対する正の幻想も負の幻想も、平然とはたき落とされるところだ。2・26事件なんかだと、今どきの戦争モノでは、青年将校にやたら思い入れしてるのとか、秩父宮と昭和天皇の確執に入れ込んでるのとか、北一輝のオカルトに取り込まれてるのとか、いろいろなのがあって、どれもバランスが悪いように感じる。現実というのはもっと単純でドライなもんではないのか。 保阪さんの書く第二次大戦なんかを読むと、気持ちいいぐらい冷静で、バカな作戦について淡々と「バカ」と断じている。これがバカバカとはやし立てるふうになると下品なのだが、保阪さんの場合は哀しげに寂しげに「バカだ……」と言っているので、こちらも静かな気持ちになり、2度と過ちは繰り返しません、と決意できる。 『昭和史の教訓』も、そういう、粛然となる文章が淡々と端正に綴られていて、読みながら背筋が伸びる。終戦間際の日本軍がいかにアホなこと(バカ、とすら言うのもバカバカしい)をやっていたか、保阪さんの本は何冊も読んでいるからそういう話もいくつも知っているが、読むたびに「日本って、嗚呼……」ともの悲しい。東条英機が「畢竟戦争とは精神力の戦いである。負けたと思ったときが負けである」なんて言っていて、それにのっかって敗戦に突き進んだのかと思うと、いくら戦時中で頭がどうかしてたとはいえ、日本人、アカンのではないかと暗くなる。(そして保阪さんは、「こういう首相でも務まるというのが、戦時下の日本の首相だったのである」と淡々と哀しんでいる) しかし、自分がパート先でイジワルな同僚にイヤガラセされたりした時、報復のためにしょうもない策を弄したりすることがないか、と言われると「我の中にも旧日本軍あり」と言わないわけにはいかない。そんな自分を反省し、今後、我が国がバカな戦争に突入しないように、私は常に保阪さんの本を読んで身を律することにしている。 ここから広告です 広告終わり 新書の穴 バックナンバー
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