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ここから本文エリア 新書の穴 郵便局を訪ねて1万局 東へ西へ「郵ちゃん」が行く [著]佐滝剛弘[掲載]週刊朝日2007年07月13日号 ■ユニクロで「風景印シリーズTシャツ」が出てもいい 郵便局マニア、というものがいるのは知っていた。確か亀和田武がそうだったと思う。郵便局で通帳記帳、というのを全国津々浦々でやってるとどこかに書いていた。郵便局というのが日本全国に2万5000局ぐらいあるのでたいへんだけどちびちびと増やしていく作業もまた楽しい、というような話だった。食玩のコンプリートを目指すような人間にはよくわかる楽しみのような気がする。 そんな郵便局マニアによる郵便局探訪の書が『郵便局を訪ねて1万局』だ。 著者は「風景印」をコレクションしている。いわゆる消印であるが、ただの愛想ない消印ではなくて、その局にかかわりのある風景のイラスト入り消印で、頼むと押してくれる。 これが切手ならまだカラーだしいろんな絵柄があるし、集める甲斐もありそうなもんだが、と思うのは早い。多数掲載されている風景印の印影を見ていると、たぶん同じ人が描いてデザインしてんだろうなという決まり切った絵柄でありながら、その土地の名物がまったく謂われも何もなくどどんと描かれたりしているそのたたずまいには独特の吸引力がある。ユニクロあたりで「風景印シリーズTシャツ」が出てもいいんじゃないかと思わせる(私がこの本で見て名作だ!と思ったのは、昭島駅前局のクジラの風景印だ。クジラが怪物っぽくて、さらに背景も異様な味をかもしだしている。東京の山寄りの昭島がなぜクジラなのかは本書を読んでください)。 そんな中で「粗製濫造の時代」という一章があり、やる気の感じられない同じような風景印が頻出した時代にも触れている。それがまたほんとにつまらない風景印なんだ。これじゃやってられまい。しかしこれも一時のことで、今はちゃんとした風景印をつくろうという機運が高まっているようだ。それはいいが、だからといってカラー印とかやけに精密なイラストとかの方向には進まないでくれ。今のあの妙な味が最高なのだから、風景印。
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