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新書の穴

日本の10大新宗教 [著]島田裕巳

[掲載]週刊朝日2008年01月18日号
[評者]青木るえか

■教祖様のつぶやきの場面さえ浮かんできた

 新興宗教と新興じゃない宗教に対して我々はずいぶん思うところが違う。はっきりいって新興宗教はうさんくさいと感じる。新興宗教によくあるでかい神殿なんか見ると反射的に「搾取」「生臭坊主」なんてことを思い浮かべる。しかし、バチカンのシスティーナ礼拝堂のゴテゴテハデハデ具合なんかはそのへんの新興宗教を軽くぶっとばすほどの勢いだ。なのに「うさんくさい」より「すげえ」が先にくる。同じ宗教なのになぜ。

 などということを考えつつ『日本の10大新宗教』を読む。ワイドショーで話題になるような宗教団体ではなく、ある程度の地位を固めた新宗教についての紹介本である。天理教や創価学会、PLや真如苑など。

 著者の島田さんは、暴くとか嗤うとかではなく対象に「寄り添う」ような接し方をするので(オウムの時はそれで大変なことになってしまったが)、新宗教のエゲツなさとかインチキ臭さの暴露などを期待して読んでもその点は裏切られる。淡々と(しかしちょっとしっとりした感じで)歴史や事実を書き連ねていく。しかしそういう筆致だからこそ、しみじみと、それぞれの宗教の教祖および教祖を取り囲む人々の人間臭さがにじみ出るように読み取れてしまう。世界救世教がどんどん分派していった有様を書いてある部分なんか読んでると、教祖様が自分の部屋で「ちっ、あいつとはどうもうまいこといかんわ」とか心の中でつぶやいたりしてるような場面が浮かんで、その下世話な風景(私の勝手な想像ですが)がしんみりと迫ってきたりした。そういう意図で書いてるんじゃないとは思うが。

 こういう本で必ず扱われるのが「大本」で、そりゃ新興宗教界のカルトスターだし歴史がハデだし登場人物も個性派揃い。それだけに、どんな解説本を読んでも物足りなかったり、ヤリスギを感じたりする。島田さんも「大本」への筆致はほんのちょっとだけドラマチック。私も亀岡の本部に行ってみたことがあって、今はただひたすら静かで普通の場所であったが。

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