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新書の穴

笑ってお料理 [著]平野レミ

[掲載]週刊朝日2008年02月15日号
[評者]青木るえか

■字は大きめ、薄く、中身は淡い。これは絵本新書!?

 新書がどんどん実用書になっている、というのは本屋を歩けばすぐわかることなのだが、新たな方向性として「新書が絵本になっている」というのも出てきたようだ。

 それは、天童荒太の『包帯クラブ』が出た時になんとなく思っていた。あれは絵本ではなくてれっきとした小説であるが、そもそも新書の小説というのは新機軸だった。ああ、この手があったかと思い、以後ばんばん出てくるかと思ったらそうでもない。小説の刊行形式としては何かムリがあったりするんだろうか。

 しかし、『包帯クラブ』のちくまプリマー新書には、あくなき「文学への欲求」みたいなものが感じられて、しかし小説はどうもちがう、ではエッセイ方面か? というような試行錯誤が感じられた。それもただのエッセイじゃなくて、ちょっぴり尖った、でも可愛さも感じられるオシャレエッセイ。ラインナップを見れば「まるっきり最近の新書にありがちな、実用新書」だったりするんだけれど、「ココロザシは文学」「でもオシャレは忘れない」という匂いが濃厚に漂っていた。なんせ装幀がクラフト・エヴィング商會。

 で、平野レミの『笑ってお料理』。レシピがちょちょっと挟みこまれた料理エッセイ。これは平野レミの本を何冊か読んだことがある人には「ぜんぶ知ってるよ」という内容だし、レシピもほとんどみんな知っている。ただ、平野レミの文章ってのは、文字の一つ一つがキャラメルみたいにコクがあるので、ふと手にとって読むのは楽しい。いくら知っている話でも。

 和田誠のイラストがぽつんぽつんと入っていて、字は大きめ。おまけにものすごく薄い。で、中身は淡い。コクがあって淡い。

 まさに絵本的です。ただし、子供が読んで喜ぶんではなくて、大人が「こういう絵本はイイ」と、読むことでほのかに自己満足を得られるような、そういう絵本の感じ。いかにも筑摩書房らしい。なお、この本の中の「白菜ほっぽり鍋」はほんとに簡単で美味しいです。もう3回つくった。

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