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新書の穴

阿呆の遠吠え2 [著]堤堯

[掲載]週刊朝日2008年02月29日号
[評者]青木るえか

■手垢がついた「辛口」コラム、これはもう様式美か?

 新書新書と言うけれど新書には新書であるための何か決まり事があるんだろうか。いちおう、新書サイズで「ナントカ新書」と書いてあればそれを新書と見なす、ということでやっていた。

 これを本屋で見つけた時、多少悩んだ。見た目は新書そのものだがナントカ新書と銘打っていない。そういえばタイトル文字の字体などにもへんに下世話なものが感じられる。帯がついてると思ったら印刷で、ビートたけしが「第2弾も面白いぜ!!」と叫んでいる。雨後のタケノコのごとく出現している新興新書の「なんでもアリ」な下品感とは一線を画した“生来の下品さが立ちのぼる感”である。これは珍しい。「珍種の新書」として紹介することにする。

 「文藝春秋」の元編集長というよりは「諸君!」元編集長でタカ派論客の堤堯が、東京スポーツでやってるコラムをまとめたものがこの本である。見開きでコラム一つ。字が少なく組んであるのでコラム一つはあっという間に読める。実にするする読める。ひっかかるということが何もない。というのも「東スポでタカ派論客がコラム書くとしたらこんなんだろうな」と想像したそのままだからだ。日曜の朝「喝だー!」と叫んでいる張本勲と大沢親分のような手垢がついて安心できる域まで達した「辛口」コラムがズラリ並ぶ。

 「白鵬のハタキ込みに敗れた朝青龍がニヤリと笑う顔を見るにつけ、もはや日本古来の相撲にあらず、国際レスリングだ。2人に神事を説いても、何のことやら分かるまい。今年は凶作かな」などというシメの文章、これを五年前ぐらいに書いてるならともかく、日付を見たら去年の三月だったのにはたまげた。このコラムのタイトルが「男芸者が土俵の上で踊っている」ときたら、何かもう浅草あたりの演芸場でやってるおじいさんのコントじゃないかと思う。一種の様式美とすら感じる。

 やはりこれは普通の新書には収まりきらなかったのだろう。といっても、普通の新書よりイイということはないんだけど。

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